『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(ヒトラー さいごのじゅうににちかん、原題:'、英題:' )は、2004年公開のドイツ、オーストリア、イタリア共同制作による戦争映画。原題はドイツ語で「失脚」「没落」の意。1945年4月のベルリン市街戦を背景に、ドイツ第三帝国総統アドルフ・ヒトラーの総統地下壕における最期の日々を描く。混乱の中で国防軍の軍人やSS(親衛隊)の隊員が迎える終末や、宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルス一家の悲劇、老若男女を問わず戦火に巻き込まれるベルリン市民の姿にも焦点が置かれている。ヨアヒム・フェストによる同名の研究書、およびヒトラーの個人秘書官を務めたトラウドゥル・ユンゲの証言と回想録「私はヒトラーの秘書だった」が本作の土台となった。撮影はベルリン、ミュンヘンおよび当時のベルリンに近い雰囲気を持つロシアのサンクトペテルブルクで行われた。1942年11月、ナチ党結成の地ミュンヘン出身のトラウドゥル・ユンゲは、東プロイセンのラステンブルクにある総統大本営ヴォルフスシャンツェ(狼の巣)を訪れ、ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーの秘書採用試験を受ける。ヒトラーはトラウドゥルがミュンヘン出身だと知って彼女に興味を持ち、秘書として採用する。1945年4月20日、トラウドゥルはヒトラー総統の愛人エヴァ・ブラウンや先輩秘書官のゲルダ・クリスティアンたち総統地下壕の同僚と共に、ヒトラーの誕生日の準備を進めていた。ソ連軍は既にベルリン近郊に迫っており、ドイツの敗北は時間の問題となっていた。各地からナチスの高官たちが集まっての誕生祝賀パーティーが開催され、国家元帥ゲーリングやSS長官ヒムラーなどの最高幹部たちは口々にベルリン脱出をヒトラーに進言するが、ヒトラーは頑なにベルリン脱出を拒否した。ヒトラーは高官たちに各地の防衛指揮を任せ、祝賀パーティーは終了した。4月22日、地下壕ではソ連軍に対処するための作戦会議が開かれる。ヒトラーはベルリン周辺に駐屯する部隊に攻撃を命令するが、ヨードルやブルクドルフら将軍たちから「部隊の消耗が激しく、攻撃は不可能」と指摘されて激怒し、自殺する旨を宣言して会議を終了させる。ヒトラーはトラウドゥルたちに地下壕から退避するように指示するが、彼女たちは退避を拒み地下壕に残った。4月23日、「ゲーリングが総統権限の委譲を要求する電報を出した」という報告をボルマンから受け取ったヒトラーはゲーリングの全権限剥奪と逮捕を命令した。高官から裏切り者が出たと地下壕に動揺が広がる中、軍需相シュペーアが地下壕を訪れ、ヒトラーと退去の挨拶を交わす。シュペーアはヒトラーから受けていたインフラ設備の破壊命令を無視していたことを告白してヒトラーと別れ、地下壕を後にする。4月26日、空路でソ連軍の包囲網を突破したグライム将軍と空軍パイロットのハンナ・ライチュが地下壕に到着し、感激したヒトラーはグライムをゲーリングの後任の空軍総司令官及び空軍元帥に任命する。グライム元帥やゲッベルス、エーファ、トラウドゥルたちと食事をとるヒトラーの元に、ヒムラーが連合軍と和平交渉を行っているという報告が入る。「忠臣ハインリヒ」と呼んで信頼していたヒムラーの裏切りにヒトラーは激怒し、ヒムラーの逮捕と地下壕にいるヒムラーの代理人であるフェーゲラインSS中将の逮捕を命令する。ヒトラーはグライムに前線指揮を命令し、エーファとマクダはそれぞれ妹のグレートルと息子のハラルトに宛てた手紙をライチュ飛行士に託す。グライムとライチュが地下壕を退去した後、トラウドゥルはヒトラーに呼び出されてのタイプを依頼される。トラウドゥルは自室で遺書のタイプをするが、そこにゲッベルスが現れ「総統と共に死ぬ」と告げ遺書のタイプを依頼する。同じ頃、愛人宅にいたフェーゲラインは逮捕され、義姉であるエヴァが助命を嘆願するが、ヒトラーはフェーゲラインを処刑する。4月29日未明、ヒトラーはエヴァと結婚式を挙げ、ささやかな祝宴を開く。トラウドゥルたちから祝福を受けたヒトラーは、市街地で負傷者の治療に当たっていた軍医のシェンクとハーゼ教授を呼び出し、自殺方法について相談する。4月30日、ヒトラーは地下壕に残った人々と別れの挨拶を交わし、エーファと共に居室に入る。トラウドゥルは気を紛らわせるため、と食事をしていたが、その最中に銃声が響き渡り、ヒトラー夫妻の死を知る。ヒトラー夫妻の遺体はゲッベルスたちによって地上に運び出され、焼却される。5月1日、参謀総長クレープス大将はソ連軍のチュイコフ元帥と停戦交渉を行うが、「無条件降伏以外は認められない」と返答され、交渉は失敗に終わる。地下壕の人々はベルリン脱出の準備を進め、ゲッベルス夫妻は子供たちを毒殺した後、自殺する。トラウドゥルは官庁街防衛司令官・モーンケ少将の率いる第一陣と共に地下壕を脱出し、脱出する人々を見送ったクレープスはブルクドルフと共に拳銃自殺する。モーンケたちは敗残部隊と合流するが、ソ連軍に包囲されて降伏する。一方、トラウドゥルはシェンクやゲルダに勧められて包囲網を脱出し、無事に逃げ延びる。5月8日、ドイツは無条件降伏を受け入れ、ヒトラーの帝国は崩壊する。※括弧内は日本語吹き替え戦後60年を迎えてなお、芸術作品におけるナチス政権下のドイツの描き方には制約が伴う中で、本作はアドルフ・ヒトラーを主題に据え、その役者にドイツの国民的俳優、ブルーノ・ガンツを起用した(ガンツ自身はスイス出身)。ドイツ国内ではヒトラーの人間的側面に踏み込んだ描写が議論を呼んだものの、世論調査では7割近くが本作を肯定的に評価する結果となった。監督のオリバー・ヒルシュビーゲルはインタビューにおいて、ヒトラーを「誰でも知っているのだが、誰もその実像を知らない」人物だとし、本作を契機に若者が過去の歴史的事実について考えてくれればと述べている。本作は第77回アカデミー賞アカデミー外国語映画賞にノミネートされた。また、2005年のBBC Four国際映画賞を獲得し、2010年にはイギリスの映画誌である「エンパイア」誌による「国際映画100選」で48位に選ばれた。本作はおおむね史実に依拠しているが、一部には事実と異なる部分がある他、いくつかの重要な事実についてあえて触れていない点を問題視する意見がある。作中においてヒトラーが側近との会議中に激昂するシーンは動画投稿サイトにおいてパロディの題材として広く用いられている。YouTubeではドイツ語を英語字幕で面白おかしく置き換えたものが投稿され、話題となった。一時は著作権法違反のクレームにより禁止の動きがあったが、2010年10月にYouTubeは方針を転換し、これらの動画をブロックすることを取り止めた。なお、監督のオリバー・ヒルシュビーゲルは一連のパロディに対しては好意的な姿勢を示している。日本においても、このシーンのパロディは多く存在する。主にニコニコ動画において「総統閣下シリーズ」と題されたこの作品群はネット上で話題になっている事柄などを対象としたもので、あるフレーズが日本語に聞こえるいわゆる「空耳」が特徴となっている。さらに2012年頃から中国の動画サイトでも大ブームとなり、日本とは異なった独自の中国語空耳や激怒する動画も少なくない。映画『アイアン・スカイ』『帰ってきたヒトラー』にもこの映画のパロディと思わせるシーンがいくつか登場する。
出典:wikipedia
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