『キスダム KISSDUM -ENGAGE planet-』(キスダム エンゲージプラネット)は、日本のテレビアニメ。テレビ東京系ほかで、2007年4月3日から9月25日まで放送された。放送開始から約4年半後の2011年に初映像ソフト化されるという、近年のテレビアニメ作品としては非常に珍しいケースの作品となった。この項目では、映像をリテイクし新作話を1話加えて2008年4月から10月にかけて放送された『キスダムR -ENGAGE planet-』(キスダムアール エンゲージプラネット)についても記載する。以降、2007年にテレビ東京系にて放送されたものを『キスダム』、2008年に放送されたリテイク版を『キスダムR』と呼称する。また『キスダム』と『キスダムR』で一部話数の表記が違っているため、この項目では公式サイトに準じて(特に『キスダム』版について述べる場合を除き)『キスダムR』での話数を記載する。サテライト発のオリジナルアニメーション作品第6弾。近未来の地球を舞台に主人公の哀羽シュウ(ネクロダイバー)が異形生命体“ハーディアン”との肉弾戦を繰り広げるいわゆる熱い・燃える展開が見所の1つとなっているSF超人バトルアクションアニメであり、主人公が人類を滅亡の危機から救うという一種の王道ヒーローアニメ的な側面も持つ作品である。さらに河森正治デザインによる変形ロボットや森木靖泰デザインによる潜水艦も登場し、物語の根底には全人類対侵略者“ハーディアン”(こちらも森木靖泰デザイン)の全面対決という構図が描かれている。またキャラクター名や用語・ストーリーの端々などにクトゥルフ神話をも含む世界各地の様々な神話を取り込んでおり、監督の佐藤英一によれば「『キスダム -ENGAGE planet-』という作品自体も神話であり、クトゥルフ神話のように様々な者の手によって創造され続けるもの」であるという。この他、台詞に洋画の吹き替えなどに見られる独特の台詞回しを意識したものを採用したり、編集作業では通常のアニメ作品と異なり実写作品の間合いを取り入れて編集するなど他作品との差別化が図られた。放送開始前は河森正治デザインの変形ロボットを宣伝材料に多く使っていたことで、「河森メカによるロボットアニメ」という印象を視聴者に持たせていたが、これは当初主要登場人物の一人であるヴァルダの存在を隠していたことと同様にミスリードを狙っていたものであり、実際には前述した通り超人戦闘がメインとなっているアニメである。また、ストーリー展開が読めないことも本作の特徴であるが、これは監督の佐藤によると1960年代や1970年代の日本映画などのように制作側が視聴者に預けるような作りをしたためであるという。このように本作は超人戦闘物であることも含めて、2000年代の深夜アニメとしては珍しい題材のアニメーションとなっている。なお、総監督の長岡康史は、放送開始前のインタビューにて「自分が関わってきた全ての作品の要素が詰まっている」と語っていた。本作は当初、日本国外のあるベストセラーSF小説を『マクロス ゼロ』のスタッフでアニメ化すべく企画された。長岡はSFアニメ『星界の紋章』『星界の戦旗』の監督を担当した経験を買われてアニメ制作会社サテライトより監督の依頼を受け、制作を進めていたが、日本受けさせるために内容の大胆なアレンジを行なったという。すると原作者からの許可が下りなかったため、アニメ化の企画自体が流れてしまう。しかし、アレンジの段階で出てきた様々なアイデアを組み直すことで、オリジナル作品として再スタートを切ることとなった。そのため、当初原作となっていたSF小説の要素は全くなくなったが、組み上がったものは2006年3月に開催された東京国際アニメフェア2006にてサテライトオリジナル作品第6弾の『無限機甲ネクロダイバー』として発表された。このような経緯から、長岡は原作者としてもクレジットされることとなる。当初発表されたスタッフについては#スタッフを参照。その後、2006年12月に『キスダム -ENGAGE planet-』とタイトルを変更して、アニメ雑誌などで再発表された。主要なスタッフは長岡康史が選出して大枠部分を作り上げていたが、体制に無理が生じ放送に間に合わなくなる恐れが出たため原作・監督・シリーズ構成を兼ねていた長岡が総監督・シリーズ構成へ、監督を佐藤英一、副監督を神戸洋行がそれぞれ務める形となったことが、放送開始間近の2007年3月頭に発表された。またこの際に、原作の表記が「長岡康史、サテライト」から「サテライト、ワールドビジネスエンタープライズ」へと変更されている。佐藤は長岡から「細かい設定は気にせずに、視聴者が楽しめる絵作りをして欲しい」との言葉を受けて実制作を担当していくこととなるが、その際引き継ぎと呼べるものはなかったという。そこで、長岡の残した絵コンテなどを再構築して制作を進めていったが、これによって当初長岡が目指していた作品とは若干違うものになった。このことについて、佐藤はインタビューで「長岡さんが変身ヒーロー物をやりたいのは何となく感じたが、長岡さんしか作ることが出来ないものを僕は制作できない。そこで、決められた時間内でフィルムをまとめるにはどうするか、“僕の”変身ヒーローものをやることによってキスダムをまとめようと思った」という趣旨の発言をしている。また副監督の神戸は、サブキャラクターや小物のデザインを担当した他、絵コンテ以降のビジュアル面を佐藤より任され、演出の総括を行なっていた。なお長岡は、この変更に伴って制作を外れたわけではなく、シナリオの調整や音響立会いにも参加しており、佐藤とも意見を交わすなどして『キスダム』の制作には最後まで関与していたという。このように、他作品における通常の「総監督・監督・副監督」という関係性ではなく、全く違う形で制作が進行していった。制作体制の変更の結果、9月に2クールの放送が終了した。しかし、第4話に想定外の総集編が挿入されたり、オープニング映像の完成が第17話になるなどの点で、制作状況の逼迫の影響は散見された。だが逆に制作スタッフからは「制作状況が厳しく追い込まれているライブ感のある現場であったため、このような他に類を見ない魅力的な作品が完成したのでは」という主旨の発言もあり、さらに「自分のやりたいことが出来る現場」でもあったという。なお、大まかなシナリオは放送前にほぼ完成していたため、第1話から最終話までストーリーがぶれることなく、伏線も交えつつ話が進行した。2007年7月よりDVDが発売される予定だったが、諸般の事情により現在もDVDに関しては発売延期のままである。しかし2011年に『キスダムR』のBD-BOXが発売された。詳細は#映像ソフトを参照。上記の通り『キスダム』では制作上の不具合が散見されたことから、作画のリテイクや新作カットの追加を施したり、元の第4話をカットし、最終話の次に後日談にあたる新作話を追加するなどした『キスダムR -ENGAGE planet-』が、地上波から1年遅れで2008年4月27日よりAT-X・同年5月9日よりBS11で放送された、5月16日よりバンダイチャンネルやYahoo!動画他で無料配信。したがって、『キスダムR』はいわゆる続編ではない。新作話の制作には総監督の長岡は既に絡んでおらず、佐藤が中心となって制作されている。また、オープニングとアイキャッチに表示されるタイトルロゴは『キスダム』当時と同様であったが、『キスダムR』の宣伝などには新たに制作されたタイトルロゴが使用された。なお、BS11での初回放送時には各話放送後に『キスダムRへの道』と題して、約1分間のスタッフや出演声優のインタビューが放送された。このインタビューは、当時の制作状況をスタッフ自ら面白おかしく語ったり、作品の細かい設定が明かされるなど非常に濃い内容であった。『キスダムR』は2011年4月9日よりBS11で再放送されたが、『キスダムRへの道』は放送されず、代わりにBD-BOX(詳細は後述)の情報などを伝えるコーナー『キスダムR INFORMATION』が第1話から第18話まで放送された。また再放送中に、公式サイトでは『キスダムR BD化への道』と題して、監督の佐藤がBD-BOX化に向けて作業を進める様子を映した映像にドキュメンタリー番組風のナレーションを付けて無料配信を行った。BD-BOXには『キスダムR BD化への道』の完全版が収録され、ナレーション担当者が特殊効果やエンディングイラストなどで本作に参加していた天神英貴であることが明かされている。なおこの再放送では、2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で第1話および第2話の豪華客船セイレーン2世沈没シーンに修正が加えられ、特に第1話ではタイトルコール前のイントロダクションをほぼカットし、代わりにOPを挿入して放送した。BD-BOX予約締切前日の2011年8月7日、ニコニコ動画のライブストリーミングサービスニコニコ生放送での全話一挙配信「ニコニコアニメスペシャル」で、『キスダムR』が配信された。バンダイビジュアル製作作品のニコニコ動画一挙配信はこれが初めてである。DVDは2007年7月27日発売予定と発表されたが、同年6月4日に延期を決定して以降、現在も無期延期となっている。なおレンタルDVDも現在までリリースされていない。告知当初の予定は、全9巻リリースで第1巻は2話・第2巻以降各3話(全26話)収録。価格は5250円(税込)。新作カットが加えられたディレクターズバージョン。初回封入特典のみEDイラストカード(8枚組)が付属、全巻封入特典はライナーノーツ。本作は2007年に『キスダム』がテレビ放送されてから、映像ソフトやレンタルDVDが出ない幻のアニメとなっていた。そのため、2008年に『キスダムR』が放送されるまでは当時のテレビ放送以外では観ることが出来ず、『キスダムR』放送後もバンダイビジュアルの動画配信サイトバンダイチャンネルでの有料視聴しか出来ない状況にあった。2011年2月28日にBS11での『キスダムR』再放送がアナウンスされ、それと同時にブルーレイ化への動きが発表された。翌3月1日には、新宿ロフトプラスワンにて開催されたイベント『どろひよおもちゃ箱 〜大好きなアニメ語っちゃうんだからね!!〜』に出演したバンダイビジュアル広報の廣岡祐次から『キスダムR』のBD-BOX一般販売(受注生産ではない)などが発表され、アニメ コンテンツ エキスポなどの様々なイベントにてPVなどで宣伝することも後日リリースされた。しかし、3月11日に発生した東日本大震災の影響でイベントが軒並み中止となり、予定していた宣伝が十分に出来ないまま再放送が開始することとなる。その後、BS11での『キスダムR』第1話放送後に挿入された『キスダムR INFORMATION』にて、『true tears』や『ゼーガペイン』のBD-BOXと同様に予約数・入金数2000個以上で生産が決定する完全受注生産方式でのBD-BOX化と、発売日が2011年9月26日であることが発表された。なお、販売方法の変更に関して、バンダイビジュアルからの正式な発表はない。予約受付は5月9日より開始され、6月6日に1次予約期間が終了した。この時点で予約2000個は突破していたが、パッケージ化を勘案して2次予約期間を設け、8月8日まで予約期間を延長した。そして7月16日に汐留スペースFSにて行なわれたイベント『キスダムR -ENGAGE planet- 裏返り決起集会』で、入金数が2000個を突破してBD-BOX生産が決定したと発表され、予定通り9月26日に購入者への発送をもって発売した(製品番号:BCXC-0037、レーベル:HONNEAMISE)。これによって『キスダム』は放送開始時から約4年半の時を超えて、ついに初パッケージ化が実現した。BD-BOXには発売延期中のDVDに収録予定だった映像コンテンツ全てや、キャラクターデザインのすしお描き下ろしイラスト多数、音声の入った新作話の「人片 オモカゲ」、『キスダムR』ではカットされた『キスダム』第四節の総集編「炎幻 カギロヒ」、一次予約時の予約者を対象とした『キスダム』の収録話数アンケートによって選ばれた上位3話の第10・19・26話(『キスダムR』では第9・18・25話に相当)などが収録されている。詳細は公式サイトを参照。時にA.D.2031年。繁栄を続ける人類の前に、「ハーディアン」と呼ばれる未知の変異生物が確認された。それから20年。人類は、その言いし得ぬ脅威に対し結成された、国際防衛組織「N.I.D.F.」(Neo International Defence Force)の総司令、燻 京香を中心に持てる科学力を結集させ、戦闘機NES-1ヴァイパー&NES-2ドルフィンなどの開発をはじめ、人類の英知を結集させた数々の兵器を拡充し、来るべき“その時”に備えていた。NES機パイロット候補生の哀羽シュウ達は、日々その目撃数が増す変異種の調査、そしてその出現に何らかの関係を持つという遺物「死者の書」の調査を進めていた。そして、科学主任・流姫那由乃の手によって死者の書は発見される。由乃が死者の書を持ち帰還する途中、ついにハーディアンが世界中に出現。東京を始めとした全世界の都市では人類による迎撃が為されていたが、ハーディアンの圧倒的な攻撃力を前に全く歯が立たない状態にあった。そんな中、由乃は自分を救うために傷付いた哀羽に伝承の遺物「死者の書」の力を与えてしまい、伝承者・哀羽シュウが誕生する。しかし人類を裏切った総司令の京香によって、科学主任の由乃は行方不明となってしまうのであった。こうして由乃を探すため、かつての仲間達と関わりながら哀羽シュウの長く辛い戦いの旅が始まった。主要人物であっても、「しもべ」や「裏返り」に関しては、それぞれ別節を設けた。後に「裏返った」キャラクターについて記載する。裏返りの詳細は後述の用語の項を参照。BD-BOX付属ブックレットに各ハーディアンについての詳細な記述が無いため、グラウコス以外の正式名称は不明。BD-BOXに収録された『キスダムR』全話のスタッフクレジットでは、原作の表記が放送当時記載されていた「サテライト、ワールドビジネスエンタープライズ」ではなく、『キスダム』発表当時と同様の「長岡康史、サテライト」となっている。ワールドビジネスエンタープライズが原作から外れたことに関して、公式サイドからの説明は無い。これらオープニングテーマ・エンディングテーマは映像や歌唱コーラスなどの違いにより、全部で32種類存在する。第1話はオープニングなし。この他『キスダムR』の再放送が、AT-Xにて2008年12月7日から2009年3月1日まで日曜 21:00 - 22:00に2話連続放送(リピートあり)で、BS11にて2011年4月9日から10月1日まで土曜 23:00 - 23:30に行なわれていた。BDなどの映像ソフトに関しては#映像ソフトを参照。以上3点は発売元:コピーライツバンク、販売元:ジェネオンエンタテインメント。以上2点はSME Recordsより発売。ヴァルダ役の明坂聡美が出演する『明坂聡美の「明けテレ」』でのスポンサー募集に『キスダムR』が応募し、2011年5月11日放送回と6月1日放送回の2回に渡って番組内にて明坂によるBD-BOXの宣伝やCM放送などが行なわれた。この他にもニコニコ生放送の『電波研究社』2011年8月4日配信回に明坂とバンダイビジュアル広報の廣岡祐次が出演、BD-BOXとニコニコ動画での一挙配信の宣伝を行なった。また一挙配信1時間前には『一挙放送直前「キスダムR -ENGAGE planet-」 裏返り特番!』が配信され、明坂と廣岡の他に監督の佐藤英一も出演した。なお上記の宣伝映像は全てBD-BOX未収録である。また2011年6月24日に秋葉原限定で配布が開始されたフリーペーパー『週刊アスキー 秋葉原限定版』の裏表紙に高橋典子描き下ろしの新作イラストが掲載され、中身においても見開き2ページに渡ってBD-BOX化に際する特集が組まれている。この中では声優MAKOのコラム(MAKOのアニメミルミル!)内にて、明坂との『キスダムR』対談も掲載された。なお裏表紙を飾った描き下ろしイラストは2011年7月の間、秋葉原駅の山手線・京浜東北線ホームに「バンダイビジュアル今月の推しタイ!!」として設置されている看板にも使用されていた。
出典:wikipedia
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