ポンポン砲(Pom-Pom Gun)とは20世紀前半にイギリスで開発されたヴィッカース QF 2ポンド砲(Vickers QF 2 pounder gun)の別名である。頭文字の“QF”とは「Quick Firing」の略語で、速射を意味する。イギリス陸軍にもオードナンス QF 2ポンド砲(Ordnance QF 2-pounder)という対戦車砲が存在するが、本砲はビッカース社製の対空砲であり、別物である。そのため、本砲は区別のために「QF 2ポンド海軍砲(QF 2-pounder naval gun)」とも呼称される。強力な対空火力をもち、濃密な弾幕展開ができたため、各国とも同型を採用した。しかし、後述するように不具合や故障等が多い問題を抱えていた。主にイギリス海軍の艦艇などに搭載され、対空砲として使用された。独特の射撃音から「Pom-Pom Gun」と呼ばれた。40mmという口径は当時の艦載対空連射火器としては非常に大きなもので、それを多連装としたMk.V/Mk.VI、Mk.VIIは高い対空攻撃力を持つとして期待されていた。しかし、有効射程が短く、弾道特性も悪かった為、対空砲としてはその後出現した新型航空機に対してはすでに能力不足であったとされる。曳光弾が用意されていないために射撃を行いながらの照準修正が困難で、効果的な近接信管が登場しない時期では発射速度の低い本砲は効果的な弾幕を形成できない上、給弾機構や機関部の不具合も多く、射撃中に弾体と薬莢が分解して頻繁に弾詰まりを起こすという問題を持っていた。主な動作不良データとして、第二次世界大戦中に起こったマレー沖海戦では、戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」搭載のQF 2ポンド砲 Mk Vは一基だけで12回も故障を起こし、もう一基も8回も射撃中止に陥ったとされる。また、キング・ジョージV世級戦艦に装備されたHACS対空レーダーは測距儀またはレーダーからの情報をもとに対空兵器(ポンポン砲や高角砲など)を管制する機械式コンピューターであるが、プリンス・オブ・ウェールズが装備していたものは改良前であったため、レーダー対空射撃の効果をあげられなかった。その後、イギリス海軍では、艦に射程・重量及び性能ともに優れたボフォース社製の40mm機関砲やエリコン社製20mm機銃が配備されるようになると、QF 2ポンド対空砲は順次取り替えられ、1943年には更新が完了した。その後、余剰となったQF 2ポンド砲は高速魚雷艇など小型艦に装備され、Sボート掃討などに使われた。しかし、小型艦には重量や構造など取り回しの悪さから適さず、これも撤去され、陸上用の対空兵器として1944年まで使用された。なお、本砲はライセンス生産型が日本海軍でも「毘式四十粍機銃」として艦載用に用いられているが、同様にトラブルが多発し、フランスのオチキス(ホッチキス)系である十三粍機銃や二十五粍機銃に置き換えられている。イギリス海軍において最初に“ポンポン砲”と呼ばれる火砲は、QF 1.5ポンド砲 Mk-1のことを指し、機関部にはマキシム 37mm 機関砲が使用されていた。弾薬も1ポンド弾を使用し、最大射程も約3,000ヤード(約2,740m)あったとされる。主に第二次ボーア戦争時にイギリス海軍の小型砲として運用され、その後の第一次世界大戦では対空砲としてイギリス海軍のアリシューザ級軽巡洋艦に試験的に搭載された。しかし、威力不足から不採用となった。QF 1.5ポンド砲の代わりにビッカーズ社は、威力・射程を高めたQF 2ポンド砲 Mk IIを開発した。俗に言う「ポンポン砲」とは、このQF 2ポンド砲を指すことが多い。QF 2ポンド砲はQF 1.5ポンド砲をさらに発展させたもので、ビッカーズ社製の水冷式機関砲を搭載し、口径も37mmから40mmに変更した。初期型が1915年以降、イギリス海軍の巡洋艦クラスに搭載された。日本海軍により導入されライセンス生産された「毘式四十粍機銃」は、このQF 2ポンド砲 Mk.IIである。イギリス海軍では、個艦防衛に使える対空砲の必要性を感じていたが、まずは第一次世界大戦前後に生産された莫大な数のQF 2ポンド砲とその弾薬を有効に活用できないか模索させた。これを受け、1923年から開発が始まったが、延々と試験と設計し直しを繰り返し、1930年にようやく、QF 2ポンド砲 Mk VIIIが採用された。これを連装として上下に組み合わせたものが4連装のQF 2ポンド砲 Mk VIIであり、連装のものを横に2組並べて4連装とし、更にそれを上下二段式とした8連装がQF 2ポンド砲 Mk V及びMk VIである。多連装砲の射撃動作は半自動式で、射撃時に上下が交互に射撃を行うため、その様子がピアノの内部動作に似ていたことから、「ピアノガン(Piano-Gun)」または「シカゴピアノ(Chicago-Piano)」というニックネームが付けられていた。4連装のMk VIIは1935年頃から巡洋艦や駆逐艦などに装備され、サイズが大きく、重量のあった8連装のMk VシリーズとMk VIは戦艦や航空母艦の標準対空砲として装備された。
出典:wikipedia
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