『グランサッソの百合』(グランサッソのゆり)は、宝塚歌劇団星組により1991年に宝塚バウホールにおいて上演されたミュージカルである。(翌年、日本青年館・愛知厚生年金会館において再演された。)白城あやかがバウホールで初ヒロインを演じた。第二次世界大戦中、イタリアの山頂ホテルを舞台にイタリア海軍士官とホテルの娘の悲恋物語。『リラの壁の囚人たち』(1988年月組公演)、『ツーロンの薔薇』(1988年雪組公演)とあわせて、通称・第二次世界大戦レジスタンスシリーズと呼ばれる。作・演出はいずれも小原弘稔。白百合の花束を抱え、アントニオがホテル「グラン・サッソ」を訪れる。ステラと再会し、かつてこの場所で起きた悲しい出来事を回想する。1943年8月、ロープウェイを止めれば登頂不可能といわれる山頂ホテル「グラン・サッソ」にイタリア前首相ムッソリーニがイタリア軍により監禁された。口外を避けるため、ホテルの従業員や宿泊客は無期限下山禁止を言い渡された。人々が困惑する中、ホテル支配人・フェデリコは一行を受け入れる。ムッソリーニを護送してきた部隊の仕官・アントニオ・ルチアーノは、他の隊員とは馴染まずいつも独りでいることが多かった。ホテル経営者の養女・リリーはそんな彼を心配する。やがてお互いに心に秘めた哀しみ(アントニオはアメリカを追放されたギャング、ラッキー・ルチアーノの甥であるため、連合軍に内通していると中傷されている。また、ギャング同士の抗争で幼い頃に両親を亡くしていた。リリーはイギリス人の実母を目の前でファシストに殺されていた。)を話す内にお互いに惹かれあい、次第に愛し合うようになる。ホテル長期宿泊客である侯爵令嬢・ステラもまたアントニオに惹かれていたが、自分の想いを隠し二人の恋を見守るのであった。ホテル経営者で、リリーの養父・ピエトロと、ホテルの支配人で、リリーの婚約者・フェデリコは、実は隠れファシストであり、イタリア軍の目を盗んで、ムッソリーニの脱出計画を進めていた。そんな時、大きな事件が起こる。ロープウェイを止めれば登頂不可能と言われているホテルに登山家・オットーが現われたのである。オットーも無期限下山禁止となる。9月8日、戦争終結の報が入った。人々が歓喜する中、登山家オットーは、実はムッソリーニ奪回作戦の偵察のためにきたドイツ・ナチ親衛隊特殊部隊の隊長・オットー・スコルツェニーであると正体を明かす。9月11日夜、アントニオとリリーの逢瀬を目撃したフェデリコは逆上し、リリーの実父がムッソリーニだと明かし、養父・ピエトロと自分も隠れファシストであると告げた。ショックを受けるリリーをアントニオが励まし、二人で南フランスのツーロンに行くことを誓う。リリーを取り戻すことはできないと悟ったフェデリコは、ムッソリーニ奪回作戦の日にアントニオを殺害することを決意する。翌朝、ドイツ部隊がムッソリーニを迎えにきた。もはや成す術を失った護衛隊であったが、アントニオはただ一人、命令を果たすためムッソリーニを盾に取り、ドイツ軍に抵抗した。そのアントニオの前で、フェデリコはリリーを人質に取り、アントニオに銃口を向ける。アントニオを庇い倒れたのは、リリーだった。混乱の中、ムッソリーニはドイツ部隊により解放される。そして、愛するアントニオの腕の中でリリーは息絶えるのであった。アントニオはリリーとの想い出を語り終えると、彼への愛を胸に秘めたステラに見送られながら、ツーロンへと旅立った。※( )内は再演時の役替り。時系列に並べると、『ツーロンの薔薇』→『グランサッソの百合』→『リラの壁の囚人たち』となる。いずれもナチスに対する抵抗が描かれている。イタリアを舞台にした「グランサッソの百合」では、ファシズムへの抵抗が描かれている。「ツーロンの薔薇」、「リラの壁の囚人たち」には共通した登場人物、ピエール・バルビエリ<レジスタンスの青年>(轟悠)が登場するが「グランサッソの百合」には登場しない。前二作品とは上演時期が異なり、舞台となる国も異なる為、姉妹作と言うほど関連性はないように思える。しかし、リリーがかつて母と過ごした場所として南フランスのツーロンが登場するなど、「ツーロンの薔薇」を思い起こさせる台詞がある。3作品共、主人公を庇ってヒロインが亡くなる。
出典:wikipedia
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