『ファイナルファンタジーIX』(ファイナルファンタジーナイン、FINAL FANTASY IX、略称:FFIX、FF9)は2000年7月7日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたコンピュータRPG。ファイナルファンタジーシリーズのメインシリーズ9作目に当たる。スピンオフ的な内容だが、シリーズで初めて『テトラマスターFrom FINALFANTASY IX』というナンバリングの続編が登場した(『FFXI』の同梱ソフト)。なお、シリーズの後作である『FFX』、『FFXI』と共に本作が発表されたイベント「スクウェア・ミレニアム」についても本項で詳述する(後節参照)。PlayStation(以下PS)における最後の新作ファイナルファンタジーシリーズ(以下FFシリーズ)となった本作は、数々の賞を受けている。第5回日本ゲーム大賞において優秀賞、グラフィック賞、サウンド賞を、PlayStation Awardsにおいてユーザー大賞、グラフィック賞、サウンド賞、シナリオ賞、キャラクター賞を受賞した。また、2000年「ザ・プレイステーション・オブ・ザ・イヤー」において、第1位に輝いた。本作におけるテーマは「原点回帰」と「生命讃歌」。タイトルロゴには「クリスタル」が描かれている。本作ではキャラクターの頭身が『FFVI』までのSDサイズに戻り、世界の根幹をなすクリスタルという概念の復活、『FFVI』、『FFVII』、『FFVIII』と続いたSF要素の強い世界観から児童文学のような世界観への転換のほか、メディアに対する情報においても大きな影響をもたらした。しかしシナリオに関しては児童文学のような世界観とは裏腹に哲学的でやや難解な内容となっている。過去のFFシリーズに登場したキャラクター、地名、音楽のメロディーが登場する。また『FFII』のエピソードが語られるシーンがある。バトル時のミュージックも『FFVII』以前まであった、イントロ部分(エンカウント→戦闘突入時)が復活し、勝利時のファンファーレも『FFVII』以前と同じように後半部分(イントロ以降)のメロディーも復活した。イメージアートに天野喜孝がフィーチャーされ、CGイラストや関連商品が総て劇中ムービーのスクリーンショットか設定画のコラージュで、専用の書き下ろしCGイラストは一切存在しない。一時は『FFVII』、『FFVIII』と共にPlayStation 2(以下PS2)にリメイクするという話もあったが、中止されたとされている。しかし、多くのユーザーからの要望を受ける形でPlayStation 3・PlayStation Portableのゲームアーカイブスで提供することを和田社長自らビデオレターおよびTwitterで発表、2010年5月20日より配信を開始した。全世界で15万DLを突破した『FFVII』と同等の購入者評価数を得ている。2016年にスマートフォン&PCで販売することを発表、同年2月10日よりiOS版とAndroid版の配信を開始した。追加要素としてゲームの達成状況に応じたアチーブメント機能、高速モードやエンカウント無しなどの設定が可能な7種類のブースト機能、オートセーブ機能を搭載、キャラクターやムービーの高解像度化が行われている。アレクサンドリアの王女ガーネットは記憶に無い悪夢に悩まされていた。嵐の中、荒れ狂う波に襲われるイカダに乗っている自分…。夢から覚め窓の外を見ると劇場艇プリマビスタがちょうど到着したところだった。盗賊団タンタラスとその団員である主人公・ジタンらは、ブラネ女王が統治するアレクサンドリア王国の王女ガーネットの誘拐を試み、自らを劇団と名乗り、王国に潜り込んだ。劇は順調に進み上手く城に潜り込んだジタンとブランクは、二手に別れた。早速探索を始めたジタンだが、階段でフードを深くかぶった美少女に出会う。その美少女こそまさに、たった今探しているガーネットだった。ガーネット自身もちょうど城からの脱出を試みていた最中で、両者は一致団結し、飛空艇に乗り込み逃亡を試みる。このとき、女王ブラネの命令でガーネットを追ってきた男兵隊「プルート隊」の隊長スタイナーと、成り行きで船に乗り込んでしまった黒魔道士の少年ビビも、航行を共にすることになる。しかし、飛空艇は攻撃を受け、魔の森に墜落してしまう。魔の森で目を覚ましたジタン・スタイナーは、ビビとガーネットがいないことに気付く。いがみ合う2人だがそこに悲鳴がこだました。怪物に捕らえられたガーネットを助けようと必死になったジタンの体は光り輝き、トランス能力があることに気付いた。途中深手を負った怪物はガーネットを連れ去るとともに逃走し、再度現れると今度はビビを人質にして再び襲ってくる。ビビの黒魔法の力を借り窮地を脱した後、ジタンはタンタラスを離れ、ガーネットを救出する道を選ぶことに決めた。ガーネットを見つけ森の主を倒し、石化を始めた森の中を走りぬける一同は、ブランクの犠牲により魔の森を脱出した。一同はガーネットの希望に沿ってリンドブルムへ行くことに決め、その道中氷の洞窟に立ち寄った。そこでガーネット奪還のために差し向けられた「黒のワルツ」の1号を倒し、ダリの村にたどり着く。ここで、ガーネットは身分を偽るためダガーの偽名を使うことに決める。ダリの村で休息していた一同は、いつの間にかビビがいなくなっていることに気付いた。捜索を進めるとダリの村の地下でビビに酷似した黒魔道士の「人形」が生産されていることを知る。どこかから流れてくる霧を原料に作られる黒魔導士たち、その輸送先はアレクサンドリアであった。ビビは自分とそっくりの姿の黒魔道士たちに話しかけるが、所詮彼らは「人形」、心の無い彼らに取り付くしまもなく、落胆するビビ。人形の輸送艇をハイジャックしリンドブルムを目指すことにした一同の前に「黒のワルツ」2号が現れるもこれを倒し、船に乗り込む。そこでも必死に黒魔導士たちに話しかけるビビ。「黒のワルツ」3号が立ちはだかるものの、魔道士たちを「人形」としかみない3号にビビが怒りを露にする。傷を負い、暴走する三号を振り払った一行はようやく、リンドブルム城に到着する。城に到着したジタンたちはリンドブルムの王シドと面会、ダガーの誘拐計画が彼の命令によるものであったことを知る。シドはブラネの様子がおかしいことに気付き、旧友バクーに頼み、密かにダガーを保護しようとしていたのだ。城下町へ繰り出したジタンは、そこで旧友の女竜騎士フライヤと再会。リンドブルムで開催された「狩猟祭」に参加し、束の間の楽しみを得る一同。祝勝会で楽しんでいると、次第にその場にいる全員がうとうとし始めた、いや全員ではなかった、2人を除いて…。目を覚ました一同に驚愕の知らせが届く。フライヤの故郷ブルメシアが黒魔道士兵団に襲われ、壊滅的打撃を受けたというのだ。ジタンとビビはフライヤの助太刀を申し出、3人はブルメシアへ向かうことにしたが、ダガーとスタイナーがいないことに気付いた。実はダガーは祝勝会を抜け出すため食事に眠り薬を盛り、母ブラネを説得するためスタイナーをつれて一路アレクサンドリアを目指していたのだった。ジタンたちはその道程で大食漢のク族のクイナを仲間に加え、ブルメシアを目指していた。途中、ギザマルークの洞窟でギザマルークにおそわれる。どうやらギザマルークの暴走にはブルメシアの異変が関与しているようだった。ブルメシアでフライヤが目にしたのは無残に破壊され、冷たい雨にぬれる、最早廃墟と化したブルメシアだった。王宮に進むとそこには、ブラネと、アレクサンドリアの常勝女将軍ベアトリクス、そして銀髪の謎の男クジャの姿があった。3人に詰め寄る一行だったが、ベアトリクスの圧倒的な力を前に手も足も出ず、完敗を喫してしまうのだった。壊滅したと思われたブルメシアだが、ブルメシアの王たちはブラネたちが着くよりも早く聖地クレイラへと逃げていた。ジタン達はクジャの言葉を聞き、聖地クレイラに先回りすることができた。が、ここも程なく黒魔道士の襲撃にあってしまった。一行は再度現れたベアトリクスにまたも敗れてしまう。間一髪、敵の黒魔道士のテレポート魔法に便乗しクレイラを脱け出すジタンたち。壊滅状態のクレイラにブラネが光り輝く宝玉をかざすと、空から召喚獣・オーディンが現れ、一撃でクレイラを壊滅に追いやってしまった。衝撃によりクイナとはぐれてしまったが、一行はアレクサンドリアの軍艦、レッドローズに忍び込み、恐ろしき事実を知る。ブラネによれば召喚獣の力はダガーよりひきだしたものであるという。ジタンらは、さらなる力を引き出すため、召喚士としての力を秘める娘を手にかけようとするブラネからダガーを救うべく、アレクサンドリアへ急ぐ。一方、リンドブルムを抜け出たダガーとスタイナーはアレクサンドリアを目指していた。南ゲートを抜け山頂の駅で彼女らは盗賊団のメンバー・マーカスとの再会を果たした。直後、ダガーを追ってきた黒のワルツ3号と対決。もはや正気を失い、それでも執念だけで立ち向かってくる彼を見て「どうしてそこまで……」とショックを受けるダガー。黒のワルツ3号を倒した一行はブランクの石化を直すためにやってきた盗賊団のメンバーとともにトレノへと向かう。トレノで石化を直すための道具を手に入れた彼らは、ダガーの昔の家庭教師であったトットと再会する。彼らはトットに導かれ、ガルガントという生物を利用した乗り物に乗り込み、アレクサンドリアへと急ぐ。しかし、アレクサンドリアにたどり着いた途端に一行は罠に掛かり、マーカスとスタイナーは幽閉され、ダガーはゾーンとソーンによって捕まってしまい、眠りの魔法をかけられ目を覚まさなくなってしまった。レッドローズに乗ってやってきたジタン達と檻から抜け出したスタイナー達は合流し、ゾーンとソーンによって召喚獣を抽出されているダガーを助けに向かう。ゾーンとソーンを倒した一行はベアトリクスと遭遇。3度目の戦いも彼女に追い詰められてしまうが、ジタンの言葉によりベアトリクスは目を覚まさないダガーに気づく。そして今まで自分のしてきたことの間違いに気づき、眠りの魔法を打ち消した。ベアトリクスはジタンたちを逃がすためブラネに反旗を翻し、スタイナーもまたジタンにダガーのことを頼むと頭を下げる。フライヤも加勢のため一行を離れた。ジタン、ダガー、ビビはガルガントに乗り込み、トレノへと脱出しようとするがモンスターに追いかけられてしまい、トレノではない、リンドブルムの東にあるピナックルロックスへとたどり着く。ピナックルロックスにいたラムウの力を借りて、ダガーは召喚獣の力を使いこなせるようになったが、ピナックルロックスを抜けた一行が見たものは、炎上し、ブラネに召喚されたアトモスによって壊滅状態に追いやられたリンドブルムであった。リンドブルムでシドと面会した一行は、クジャは外側にある大陸の方へ消えていったという情報とク族の沼が外側の大陸に通じているかもしれないことを聞き、ク族の沼へ急ぐ。ク族の沼でクイナと再会した一行はフォッシル・ルーを発見し、進んでいく。ブラネに雇われた殺し屋のラニの襲撃を受けるも、一行はフォッシル・ルーを抜ける。すると、外に広がっていたのは、霧のない赤土の大地――「外側の大陸」だった。たどり着いたドワーフの住む里コンデヤ・パタで「クロマ族」の噂を聴いた一行は、マグダレンの森の中にある、枯れた森にたどり着く。そこは意識を獲得した黒魔道士が集まってつくった黒魔道士の村であった。そこでクジャの居所を聞いたジタン達はドワーフ達に聖地と呼ばれている場所に行くために、しきたりとなっている神前の儀を終え、聖地を目指す。その途中に出会った召喚士の少女エーコに誘われ、一行は廃墟となった召喚士の村マダイン・サリに訪れる。エーコはそこで友達のモーグリ達と暮らしていたのだった。その後、クジャの手がかりを探してイーファの樹を訪れた一行は、イーファの樹の奥深くで霧を作り出していたザ・ソウルケージを倒し、霧を消滅させることに成功する。だが、イーファの樹を抜けた一行にマダイン・サリの宝が盗まれたという知らせが入る。急いで戻ったのも束の間、エーコ自身もその泥棒に捕まってしまう。泥棒の正体はラニであった。しかし突如現れた「焔色の髪の男」の手により撤退。彼の正体はブラネによって雇われた2人目の殺し屋であった。ジタンとの一騎討ちに敗れ、で命を救われた焔色の髪の男はサラマンダーと名乗り、ジタンとの決着を付けるために旅に同行することを決める。また、エーコも村を出てともに旅をする決意をする。そのころ、クジャがイーファの樹に現れたことを知り、一行はイーファの樹へと向かう。そこへ現れるクジャ。そしてブラネ率いる艦隊の姿。もはやクジャを用済みと断じたブラネは彼を抹殺し、そして外側の大陸まで支配するべく現れたのだった。バハムートを召喚し、ブラネ艦隊はクジャに攻撃を仕掛けるが、空から現れた謎の目によって捕らわれ、洗脳されたバハムートに返り討ちにあってしまう。今まで他国を滅ぼしたように艦隊もまた召喚獣によって滅ぼされ、クジャはまたもや姿を消し、ブラネはダガーに「思うように生きよ」と残して息を引き取った。ブラネの死によりダガーはアレクサンドリア女王に即位した。一行は情報収集も兼ねトレノを訪れる。しかし、即位の混乱も収まらないまま、クジャが召喚獣バハムートを使ってアレクサンドリアに攻撃をかける。ダガーとエーコは、不思議な力に引き寄せられて魔力を解放し、聖なる召喚獣アレクサンダーを召喚してこれに応じる。そこに突如、ダガーの故郷が焼き払われたときと同じ不気味な赤い光を放つ飛行船インビンシブルと、それに乗り込む謎の男・ガーランドが現れ、アレクサンドリアに壊滅的なダメージを与える。この余波をまともに受けたジタンは、数日にわたり意識を失ってしまう。ジタンが目覚めたとき、ダガーは、自責の念とショックのあまり、完全に心を閉ざし、人と話すことが出来なくなってしまった。シドを加え、再び訪れた黒魔道士の村で、クジャの本拠地・デザートエンプレスの情報を得た一行は、これに乗り込む。が、クジャの謀略にはまり全員見事につかまってしまった。ジタンは捕虜をとられ“忘れ去られた大陸”のウイユヴェールへおつかいをさせられる。呪文の使えないウイユヴェールで待っていたのは自分たちの姿を精確に模写する魔物だった。苦労するジタンたちだが、何とかお使いの品グルグストーンを手にいれ、急いでデザートエンプレスへと戻る。一方、捕虜組はデザートエンプレスから脱出を図り、戻ってきた連行組と合流するものの、クジャの謀略にはまり、エーコと連行組が手に入れたグルグストーンを奪われてしまう。クジャを追った一行は“閉ざされた大陸”のグルグ火山を訪れ、エーコを救い出すことに成功した。アレクサンドリアに戻ったダガーは、母の墓前で決意を新たにし、長い髪をばっさりと切り、閉ざされた心を解き放つ。そして程なく、クジャの陰謀の実体が、この世界ガイアと、別世界テラをつなぐことにある、ということが判明。それを阻止するため、飛空艇ヒルダガルデを駆り、世界をつなぐ鍵のあるイプセンの古城へと行く。鍵となる4つの鏡を手に入れた一行は2人ずつ4手に別れ、4つの祠を訪れた。そこには祠を守るガーディアンがいた。ガーディアンを倒し、鏡を祠に収め、ついにテラへの道を開き、ここへ飛び込む。ジタンがテラで目にしたのは、自分と瓜二つの外見を持つジェノムなる人造人間だった。ジェノムはガーランドが作り出したテラの仮の住人。黒魔導士のようにこころの存在する個体はごくわずかであった。パンデモニウムでガーランドを打ち破ったジタン達の前にクジャが立ちはだかる。クジャはジタン達との戦闘の過程で「トランス」に成功し絶大なパワーを手に入れる。ところが、勝ち誇るクジャに向けてガーランドは、それまでクジャ自身も知らなかった残酷な事実を告げた。クジャはジタンに比べ旧型のジェノムであり、黒魔道士のようにいつかは活動が停止してしまうという。自らの寿命が近いことを知ったクジャは猛烈な恐怖心から自暴自棄になり、トランスし暴走を始める。クジャの魔法乱射により崩壊するテラから、ジタン達は間一髪脱出した。ところが一行が目にしたのは、全世界が霧に飲まれた、変わり果てたガイアの姿であった。ジタン達は、助け出したジェノム達を黒魔道士の村に預け、イーファの樹上空に生じた時空間のひずみから、「記憶の場所」へと踏み入れ、クジャとの最後の決戦に突入する。アクティブタイムイベントシステムを略してATEと称する。「一方その頃…」といった形で操作中キャラクター以外の行動をイベントで見ることができる。複数のイベントが存在し、選択したイベントしか見れないものもある。戦闘シーンでは各キャラに固有のコマンドが設定されているほか、ATBゲージの下にトランスゲージと呼ばれるゲージがある。トランスゲージは敵から攻撃を受けることで蓄積され、満タンになると一定ターンの間与えるダメージの量が1.5倍になり(スタイナーは3倍だが、ブラッドソード装備時は1.5倍)、キャラ毎に異なる形のパワーアップが発生する(この状態をトランスと呼ぶ)。例えばビビであれば黒魔法を2回連続で使う、サラマンダーであれば奥義の効果が全体に及ぶ、など。また弱点属性を突いた攻撃およびジャンプでのダメージ倍率が、それまでの2倍から1.5倍に軽減された。ディレクターの伊藤によるとバトルの難易度はやや高めに設定されているとのこと。本作でのアビリティシステムは、魔法やアビリティなどはアイテムから抽出される物となっており、アイテムを装備することによって使用できる。アイテムを装備した状態で戦闘を重ねアビリティポイント(Ability Point,AP)をためることで、そのアイテムを外しても引き続き使えるようになる。基本的にキャラクターの個性ともいえる「コマンドアビリティ」は固定になっており『FFVIII』にあった「エンカウントなし」のアビリティも存在しないが、戦術や能力をカスタマイズできる「サポートアビリティ」を大量にセットできるので、プレイヤーによってキャラクターの戦い方は大きく異なり、戦術自由度の高い設計になっている。一例としてジタンをあげると、といった相乗効果がある。上記のサポートアビリティは攻守バランス良くセットするのも、一点集中で性能を追求するのもプレイヤーの自由だが、レベルに比例する上限が設定されており、レベルを上げても全てをセットすることは不可能である。なおこのアビリティセットシステムは『キングダム ハーツ』に継承された。またアイテムからのアビリティ摘出システムは『ファイナルファンタジータクティクスアドバンス』に継承された。数多くのミニゲームや現時点での上述のアクティブタイムイベント(ATE)など、物語の本筋以外の部分も充実している。『FFVII』から続く手法で、プリレンダによる1枚絵の2DCGをフィールドマップにしている。大幅に進化した点として、先にホノルルスタジオがムービーと同一解像度の3Dフィールドを作り上げてから、写真のように画面のアングルを決めて2Dカットを撮る形式を採用している。そのため画面の奥行き・立体感が増し、同一フィールドでもシーン毎に別アングルのカットに視点が変わる。またフィールドを移動するキャラクターポリゴンも常に計算処理されているため、近くに気になる物があるとキャラが移動しながらでも勝手に見つめるといった演技も演出されるようになった。今回はフィールド移動中の仲間の表示は採用されていないが、ベアトリクスが一時的にプレイヤーに追尾して行動するイベントが存在する。この3Dフィールドの2D化技術はハードの進化によるポリゴン描画力の進歩で無用と化したが、『FFX』の一部2Dフィールドや、ゲーム映像を2Dからフル3Dに進めるための過渡期での大きな土壌となった。登場キャラクターの増加に伴い武器系統も12種類に増えたが、武器はすべて4種のカテゴリー内に分別されている。追加効果という設定が存在し、攻撃後に一定確率で追加の状態異常が発動する。基本的に攻撃力は武器への依存度が高いが、4カテゴリーに共通して倍率式はキャラクターLvと力の影響が大きい。「物理ダメージ=(武器攻撃力-敵の物理防御)×武器専用倍率式」物理ダメージは上記の式で計算されており、武器専用倍率式は下記の4種のカテゴリー別に依存するステータスと計算式が異なる。物理ダメージはすべて上記の式の範囲で、下限から上限までの幅でランダムに倍率が決まる。さらに様々な条件からもダメージ計算式に倍率処理され、アビリティの有無・属性影響・状態異常・隊列・クリティカル等が影響する。『FFVI』以前のように防具の種類が大幅に復活した。装備者は「軽装備」「重装備」「女性装備」「ローブ」から得意な分野を装備できる(「アクセサリ」は一部を除きほぼ全員が装備可能)。盾は存在しない。主に「物理防御・回避」「魔法防御力・回避」「能力値補正」「属性補正」「アビリティ」のデータに影響する。キャラクター固有の必殺技システムが登場しない代わりに、本作ではアクションアビリティ欄に物理攻撃技が登場する。ジタン、フライヤ、クイナが修得するアビリティ。特定の行動で内部カウントした数字が蓄積され、無属性の固定物理ダメージを与えることが出来る。条件さえそろえば少ないMPの消費で容易に大ダメージを与えられるため、3大奥義とも呼ばれる。ビビとのコンビネーションで使用できる、スタイナーが物理攻撃にボーナスと魔法属性を得られる技。敵の弱点魔法属性だった場合は1.5倍増しになる。物理攻撃力につくボーナスは5から60まで範囲の5進法で各魔法剣毎に決まっている。※魔法剣の属性は対応する防具によって更に強化できるが、スタイナーが装備できる防具では「雷」「風」「聖」「闇」の4属性しか強化できない。アビリティ内から選択できる技。通常の物理攻撃計算式の「武器攻撃力」を各アビリティ毎に1.5倍から4.0倍まで倍増することが出来る。トランスしている場合は更に1.5倍増し(スタイナーの場合は3.0倍、ただしブラッドソードのみ1.5倍)される。シリーズ伝統の「白魔法(聖白魔法)」「黒魔法」「召喚魔法」「青魔法」の4形態で登場。基本的に白・黒・召・青の攻撃系魔法には魔法攻撃力が設定されており、ステータスの魔力や特定アイテムの所持によってダメージは大きく変動する。「魔法ダメージ=(魔法攻撃力-敵の魔法防御)×魔力〜魔力+(魔力+キャラクターLv)÷8」魔法ダメージは上記の式で計算されており、魔力による倍率補正は魔力のみの数字を下限とし、最大で魔力とLvを足した値を8で割った数までの範囲をランダムに魔力にプラスする。また属性強化装備をすれば対応する魔法が更にダメージを1.5倍できる。リンドブルムを拠点に活動する盗賊団。ジタンにとって家族といえる存在でもある。ブランクとマーカス、シナは物語序盤で一時的に戦闘に参加する。本作の世界は、宇宙を漂いながら他の世界を乗っ取ることによって繁栄してきたテラ(Terra)が、文明の規模が小さいガイア(Gaia)を取り込むのに失敗してできた世界である。本来テラはもっと文明の小さい、それこそできて間もない世界をターゲットとしてその世界を乗っ取るのだが、対象となる世界がなかったためやむなくガイアを選んだ。その影響は、いくつかのテラに関する施設がガイアに存在することや、現在のガイアが2つの月(本来のガイアの物とテラの物)を持っていることなどに顕れている。ガイアやテラはそれぞれ自らの世界の核としてクリスタルを持ち、それは死者の魂に刻まれた記憶を取り込んで成長していく(『FFV』までのクリスタルと違い、クリスタル自体は属性を持たない)。魂の循環の中でクリスタルが取り込む記憶が少なくなればその世界の成長は鈍り、いずれ世界そのものが消滅していく。テラは幾度となくこの状態に陥ったが、そのたびにできて間もない他の世界のクリスタルを乗っ取ることにより世界を維持してきた。テラの管理者であるガーランドがガイアを乗っ取るのに失敗した際、ガイアの復興を早めるためにテラに存在する魔法樹イーファの根をガイアの地上に送り、後にそれは2重となった魂の循環を分離する役目を担うようになった。これは彼の本来の目的であるクリスタルと世界の乗っ取りのために使用された。また、その過程で彼は魂そのものが生物に与える影響を知り、これをそのまま地表に送り込むことで戦乱を誘発させた。これにより魂の循環を意図的に発生させ、テラに属する魂を集めるようになった。その結果ある大陸は霧に覆われるようになる。本作の世界であるガイアは、主に4つの大陸からなる。また、テラはその一部を地表に残した状態で、ガイアの裏の世界として存在している。ガイアに存在する4つの大陸のうち、もっとも文明が発達しているのがこの大陸である。ガーランドが魂をむき出しのまま地表に送り込むことにより、かつて存在していた統一王国は滅び現在は以下の3つの国が存在する。物語序盤の中心となる大陸で、この大陸以外は未開の地とされている。この他にも幾つかの村や町が存在している。霧の大陸の北に位置する大陸。イーファの根はこの大陸の西に出ている。その他、以下に挙げる集落などが存在する。霧の大陸から見て西にある大陸。その大半が荒涼とした大地である。以下に挙げるテラの施設があるほか、南西の小島には大図書館“ダゲレオ”が存在する。霧の大陸から見て北西にある、雪に覆われた大陸。中央よりやや南に位置する“エスト・ガザ”の地下にはテラの施設“グルグ火山”があるほか、エスト・ガザの南にはガイアとテラを結ぶ扉である輝く島が存在する。『FFIX』の世界には人間の他に、様々な特徴を持つ多様な種族や生き物が登場する。この世界においては、どの種族も共通の言語を使い、また異種族を異種族だと区別することはまれで、多くの地でこれらの種族が見事なまでの共存を果たしており、独自の暖かい世界観をかもし出している。当時のマジック・ザ・ギャザリングを初めとするカードブームの流れに乗り、今回もNPCとのフリー対戦カードゲームができる。しかしルールが『FFVIII』から変更されており、アイテムへの精製も廃止されているため純粋なコレクターアイテム(一部イベントに関わる)になっている。カードを5枚以上所持した状態で、街やダンジョンにいるカード好きのNPCに「□ボタン」を押すことで対戦を申し込むことができ、勝者は敗者から裏返したカードを一枚奪える。ただしゲーム終了時に敗者がカードを全部裏返されていた場合は敗者の使用した5枚のカードは全て勝者に奪われてしまう。引き分けの場合はその時点で所有者が入れ替わっていてもカードを入れ替えることはなく、始めの状態に戻る。12星座で唯一の女性と思われる「ヴァルゴ」をめぐって他の星座たちが奮起する。ステラツィオごとに名前を冠した星座の行動が記されている(「星宮オフィユカス」の隠し場所はこのステラツィオものがたりがヒントになっている)。2000年1月29日に行われたFF最新作のデモンストレーションをかねた企業説明会。FFIXに加えて『X』『XI』の計3作を同時発表するというサプライズパーティーであり、当時スクウェアの副社長であった坂口博信により以降のFFシリーズを全てオンラインゲーム化するという電撃発表も行われた。以下は、同説明会で発表された主な内容である。上記のような壮大な計画であったが難航し、結果的にFFIXは出版の商業機会を逃すことにもなりFFシリーズで初めて前作より販売本数が減少、さらにFFXもネット非対応、PlayOnlineもゲーム提供のみのサービスに落ち着くこととなった。一方、FFXIの商業的成功はスクウェアのネット事業を推進する上で大きな成果を上げている。本作は前述の通り、雑誌や書籍においてゲーム攻略などの情報公開が長年禁止されていた。これはプレイヤー同士が情報交換をして遊んで欲しいという坂口博信の意向で、一部の難度の高いダンジョンのみ例外的に掲載されたが、雑誌での連載だけでなくムック書籍の販売も例外ではなかった。本作から続いたスクウェア・ミレニアム3部作は『FFXI』の発売をもって終了し、2002年にすべての情報規制が解禁され、本作の攻略本などが無事書籍化を迎えることとなった。コカコーラのCMにFFIXのキャラクターが登場。主にアレクサンドリアの街を舞台にジタン達がコカコーラを追いかけ、最後には盛大なパレードができるといった内容。ゲームCD-ROM用に解像度が落ちている製品版よりも映像が美しく、高いクオリティに達している。タイアップ商品のコカコーラ500mlペットボトルには塗装済みFFフィギュアがオマケとして梱包されており、当初は応募者限定であったが、後に以下の商品が数量限定で発売された。このコラボレーション企画を契機に、スクウェアのソフトにおけるタイアップや企業コラボレーションが増加することとなった。なお、後の作品である『FFXII』のコラボレーション企業はサントリーになっている。本作ではゲーム中では内蔵音源、ムービーでは生録音のオーケストラと使い分けている。『FFVII』と『FFVIII』でディスクアクセス対策としてとられた「特段の事情がない限り、ひとつの共通音源を使いまわす」形から「曲ごとに音色データを持たせる」形に仕様変更された。このため、音質が前2作と比べて向上している。たとえば、クジャのイベント用音楽「背徳の旋律」とトランスクジャ戦の「破滅への使者」のイントロはまったく同じであるがパイプオルガンの音色が若干異なっており、後者のほうが重厚になっている。また音楽の曲数がFFシリーズ中最多の140曲で、本作のオリジナルサウンドトラック4枚組にはその全ての曲が入りきらず、このサウンドトラックからは主にCGムービーシーンで流れる曲がカットされたが、後に発売された「オリジナルサウンドトラックプラス」に入りきらなかったCGムービーシーンの曲が収められた。全曲を作曲した植松伸夫の当時の公式サイト日記(現在は消滅)には、「全曲作曲するのは今回で最後」と決意したともとれる記述をしており、開発終盤にかけて壮絶な精神状態になっていたことをうかがわせる記述が見られた。2004年の退社後も全曲作曲自体は続けているが、本作の後、植松がFFナンバリングの全曲作曲を手がけるのは10年後の『FFXIV』であった。しかし発注漏れや新生版への移行で祖堅正慶の曲がかなりの割合で加わったため全曲作曲ということではなくなってしまい、本作が「植松が全曲作曲した最後のFFナンバリング」になっている。
出典:wikipedia
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