中国人民武装警察部隊(ちゅうごくじんみんぶそうけいさつぶたい)は、国内の治安維持や国境防衛などを担う中華人民共和国の準軍事組織である。略称は「武装警察」あるいは「武警」。公安部が行政上管轄しているが、同時に中国共産党中央軍事委員会の指導下にもある。隊員は中国人民解放軍の兵士・将校と同様に、現役軍人としての資格・権利を持つ。このことから、党所有の準軍事組織であると解する向きもあるが、中国のような社会主義国家においては党が国家を指導すると憲法上規定されていることの具体的な表れにすぎず、その機能は、ロシアの内務省治安部隊、内務省軍、アメリカの州兵、日本の機動隊(地方警察の警備部門)、ドイツのGSG-9のような対テロ警察部隊、アメリカ国土安全保障省のシークレットサービスといった各国の機関に似た側面を有する中国独自の存在である。中華人民共和国成立以前、中国人民解放軍の補助任務や後勤業務を担い、同国成立後の1949年12月に組織化された人民公安部隊がその前身である。当初は、各地の公安部門の元に各部隊が配置され、統一的な組織としての実体がなかったが、1950年以降、統一編成が試みられ、1952年に人民解放軍公安部隊、1955年に人民解放軍公安軍へと改称された。この頃から、各地の公安部隊は人民武装警察と呼ばれるようになった。そして1957年に再び人民解放軍公安部隊に戻り、1958年に人民武装警察、1963年に周恩来の意向により人民公安部隊の名称に戻った。だが、1966年に文化大革命が始まると人民解放軍に統合され、人民公安部隊は一旦消滅した。現在の武装警察部隊は、1982年に人民解放軍の装備や人員の一部を公安部に移管し、省・市・自治区毎に設けられた武警総隊からスタートしており、治安維持部隊としての機能だけでなく、国境警備・入国管理・要人警護・消防・建設などにも当る、各種の専門家を擁するタスクフォースとして再編され、今日に至っている。1989年6月に発生した天安門事件に際して、中国は正規軍部隊の火器・装甲車輌を投入した鎮圧を行って多数の死傷者を出し、国際的な非難を浴びたため、非致死性兵器を中心とした暴動鎮圧能力や、鎮圧行動に際しての情報収集能力を武装警察部隊に付与する事が図られた。また、国際的なテロ活動の脅威が高まる中、テロリスト制圧部隊の新設や、北京オリンピック・上海国際博覧会など国際的な大規模イベント会場などでの警備活動も、武装警察部隊内に専門部隊が置かれて対応が図られており、2008年8月には、新疆ウイグル自治区で発生したテロ事件の容疑者の拘束に際して、容疑者側が抵抗したため、6人を射殺、3人を拘束した事が報道されている(このとき殺害された容疑者の中には、ウイグル族テロ組織の幹部も含まれていたという。)。2008年3月にチベット自治区などで起きたチベット族による暴動でも武装警察部隊が鎮圧に当り、同年5月の四川大地震では災害復旧活動に当った。なお、2008年に世界中で開催された北京オリンピックの聖火リレーには、武装警察学校(幹部候補生育成学校)の生徒から選抜された警護グループが編成され、聖火に随伴して走る姿が各国で報道された。近年では、武装警察部隊の有する暴徒鎮圧や対テロ警備のノウハウが、中国の援助を受けている諸国の要望に応えて輸出されている事でも知られている。管轄の公安局が対応できないような重武装の犯罪者や、大集団による暴動などを取り締まる内衛部隊を中心に、武警には各種の専門部隊が存在しており、組織は機能を中心とした区分がなされている。専門部隊としては、辺防部隊(国境警備)、消防部隊、警衛部隊(要人警護)、黄金部隊(金鉱の地質調査や発掘)、水電部隊(水力発電所の建設)、交通部隊(港湾や都市施設の建設)、森林部隊(森林の維持管理や防災)などがある。辺防部隊は公安部辺防管理局が管轄し、国境地帯の警備や密貿易の取り締まり、入国管理(中国語では「辺境検査」)業務を行っている。同部隊の一部門として、沿岸警備隊に相当する中国公安辺防海警部隊があったが(内陸国境や海岸がない地方には設置されず)、2013年3月の機構改革でこの役割は国家海洋局傘下の中国海警局に移譲された。消防部隊は公安部消防局が管轄し、その名の通り、消防や防災に当たる。警衛部隊は公安部警衛局が管轄し、党・政府の要人警護や重要施設の警備を任務としている。武装警察部隊は準軍事組織のため、制約の多い人民解放軍と異なり、国外から容易に最新装備の調達が可能であり、各国の文民警察機関との交流も盛んであるため、その装備・訓練は欧米や日本からの影響を強く受けている。特に内衛部隊の装備は非常に充実しており、一般的な暴動鎮圧用装備としての盾・棍棒・電気警棒・催涙弾・ゴム弾・放水銃といった非致死性兵器のほかに、武装した暴徒やテロリストを制圧するための各種火器や装甲兵員輸送車などの大型装備も有している。航空機からのエアボーン(空挺)やヘリボーンなども行われており、相手がかなりの重武装あるいは大規模暴動であったとしても、これを余裕を持って鎮圧できるだけの装備を有し、チベットや新疆などでの暴動鎮圧やテロリスト制圧を通じて豊富な実戦経験を積んでいる。武装警察は外国のメディア報道では人民解放軍と混同されることが多いが、ワッペンや階級章が独自のデザインとなっている点、また制帽・制服・盾などに二本の黄線が入る点が人民解放軍と異なる。局長は、武警少将。指揮部主任は、武警少将。各省、自治区、直辖市には、武警総隊が設置されている。総隊長は、武警少将又は武警大校で、総隊第一政治委員は、現地公安庁(局)長が兼任する。また、新疆生産建設兵団には、武警新疆生産建設兵団指揮部が設置されている。計14個師団。師団長は、武警大校。現行の階級()制度は、人民解放軍と同様に1988年から実施されている。1998年に下士官の階級呼称の全面的変更などの制度改正が行われている。呼称は、人民解放軍の階級の前に「武警」を冠する。正軍(少将)級以下の補職は、人民解放軍に準じる。
出典:wikipedia
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