大母音推移(だいぼいんすいい)とは、イングランドの言語である英語の歴史上、中英語期後期(1400年代初頭)にはじまり、近代英語期(1600年代前半)に入って完了した、母音体系の一連の歴史上の変化(→英語の音韻史)である。最初に研究を行った言語学者オットー・イェスペルセンによる英語の術語Great Vowel Shiftの直訳。母音大推移ともいう。英語は、中英語期に、強勢のある長母音の舌の位置が一段ずつ高くなり、これ以上高くなることのできない はいわゆる「音の割れ」を起こして二重母音化した。このため、該当する英単語の発音と綴り(スペリング)とが一致しない現象の大きな原因となった。この大母音推移以前は、英語の綴りはその発音にほぼ忠実に書かれていたため、他の言語とほぼ同様の「発音と綴り」の一致関係を持っており、日本におけるローマ字の読み方に近かった。しかし大母音推移後は、綴りと発音との一定のずれが生じた。その後、15世紀中頃以降の活版印刷の技術向上と、それに付随した書物等の文書の普及などに伴って、語の綴りは固定化される一方で、発音だけが変化を続けて、現在のようなずれがみられるようになった。注)ea, oaはそれぞれe, oの広音を表していた。わずか200~300年という短期間にこれほどの変化が起きた原因は特定されておらず、現在も謎のままであるが、黒死病により少数の知識階級の人々が死んだため、大多数を占める下層階級の人々の間で使われていた発音が表に出てきたという説もある。
出典:wikipedia
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