タイの階級は非常に複雑な構成になっており、タイ人の間においても一般的な知識とは言えないほど難解である。またこうした階級に基づく称号などはしばし省略されることもある。国王はこのような階級を授与・剥奪する権限を持っている。ただし、階級を授けられたことによって、その子孫の位が上がることはない。一般に以下の二つの称号が使われている。プラバートソムデットプラチャオユーフワ () は国王に使われる称号の内、一般的な物である。使い方には以下の形式がある:ソムデットプラチャオユーフワ () 即位前の王に使われる。プララーム ()いわゆるラーマ3世などに見られる「ラーマ」称号で主に外国などで利用されている。ラーマ6世(ワチラーウット)によって制定されたが、ラーマ7世(プラチャーティポック)によって廃止されたためタイ国内では国王に対する名称として利用されていない。ただし、道路の名前などには利用されている。タイ国外では以下で記述する「ラッチャカーン」の表記の訳語として使われる。ラッチャカーン ()ラッチャカーンとは「治世」と言う意味の言葉であり。この後ろに数字を配置してチャクリー王朝何番目の王かを明らかにする用途に使われる。たとえばラーマ6世を言う場合、ラッチャカーン・ティーホック () と表記する。この場合「六番目の治世様」という意味となる。パラミン () およびパラーメン ()この称号はラテン語における「Rex」の訳語で、国王が署名をする際、利用される自称するための称号である。敬称を付けない王の名の後に追加される。ラーマ1、3、5、7、9世には前者が、2、4、6、8世には後者の称号が利用されている。いずれもป.ร.と省略されることが多い。たとえばソムデットプラ ()外国の君主やアユタヤ王朝の君主に用いられる称号である。ソムデットプラチャクラパット ()日本の天皇に用いられる称号である。ちなみにチャクラパットとは転輪生王と言う意味で、中国やヨーロッパの皇帝を表すのに用いられる語である。通常は追号ではなく、「裕仁」や「明仁」などの様に名を用いて呼ぶ。伝統的に王妃に対する称号の授与は結婚までに有していた称号で決まるが、きわめてルーズである。基本的には王女(すなわちチャオファー、プラオンチャオ、モームチャオイン)でない者のみがチャオチョーム以下の階級を授与されることが多かったとされる。ここでは1924年にラーマ6世によって確立された王室典範を元に称号を記述する。ソムデットプラボーロマラーチニーナート () は王妃の中で最高の階級を持つ称号である。この称号を持っている王妃は摂政を経験したことのある王妃に限られる。この敬称の形式としては以下のような物がある:たとえばラーマ5世(チュラーロンコーン)の正妻であるシーパッチャリンは摂政経験の後ソムデットプラシーパッチャリンボーロマラーチニーナートという称号を得ている。またラーマ9世の妃、シリキットはソムデットプラナンチャオシリキットプラボーロマラーチニーナートの称号を得ている。ソムデットプラボーロマラーチニー () は摂政を経験していない王妃に対して与えられる称号である。前述シリキットは摂政経験前はソムデットプラナーンチャオシリキットプラボーロマラーチニーとして知られていた。ソムデットプララーチニー () 即位していない王の王妃に使われる称号である。前述シリキットはラーマ9世の即位決定から即位までの7日間この称号を保有していた。以下は王女(すなわちチャオファー、プラオンチャオ、モームチャオイン)出身の側室に与えられる称号である。正室と併せてこれらの階級に居る王妃をプラパンヤーチャオ () と呼ぶ。なお、以下の階級はラーマ8世以降、側室を抱える習慣がなくなったため、事実上の廃止状態にある。ソムデットプラボーロマラーチャテーウィー () チュラーロンコーンによって作られた階級で、側室の中で最高の階級にある妃に対する称号である。一人のみがこの称号を保持することができ、事実上の第二の正室となる。ラーマ5世の妃の一人、スナンタクマーリラット王妃はこの階級を保持しソムデットプラナーンチャオスナンタクマーリラット プラボーロマラーチャテーウィーの階級を保持した。プラナンチャオ...プララーチャテーウィーおよびプラナンチャオ...アックララーチャテーウィー () 上記の階級よりも一つ下の階級にある王女出身の側室に与えられる称号。プラナーントゥー () 上記の階級よりも一つ下の階級にある王女出身の側室に与えられる称号。Phra Akra Chaya Ther () 上記の階級よりも一つ下の階級にある王女出身の側室に与えられる称号。この称号は特殊で出身称号も同時に保持する形となる。すなわちプラオンチャオ階級の王女でラーマ5世の側室であった、サオワパークナーリーラートはプラアクラチャーヤートゥー "プラオンチャオ" サオワパークナーリーラートと名乗っていた。プララーチャチャーヤー()上記の階級よりも一つ下の階級にある王女出身の側室に与えられる称号。ラーマ5世が外部の王室から側室を迎えるためにもうけた階級であるが、これを冠した王妃は史上一人で、ラーンナー王室のダーラーラッラミー王女のみである。ラーマ8世以降、側室を抱える習慣がなくなったため、事実上の廃止状態にある。チャオチョーム () は下級王族(すなわちモムラーチャウォン、モムルワン)や平民出身の側室のうち、男子を五人出産した者に与えられる階級であり、上記よりも格が下と考えられている。なお、シリキットはモームラーチャウォンの階級を保持していたが、正室であったためこれを冠したことはない。女性の場合チャオチョームマーンダーと呼ばれる基本的に王族の階級を保持している者の子供はその階級よりも一つ下の階級を頂くことになるが、これは男性家系の場合のみになる。女性の階級保持者の場合、自分より下の階級の男性と結婚する場合は自分の階級を保持するが、産まれた子供は男性の階級に基づいた物となる。また、伝統的に似つかわしくないと考えられている。たとえばラーマ9世の娘、ウボンラットの場合、外国人(平民)と結婚したので、王族籍を剥奪された。ただし、ウィーラユット・ティッサヤーシリン(軍人)と結婚したチュラーポーン王女はウィーラユットなどが軍人でもあったため、特例として階級を引き続き保持することを認められた。以下で紹介する王族の称号すべては、名前の前につけて名乗る。以下のような階級があり、国外ではPrince/Princessとして扱われる。チャオファー ()王族の最高階級に与えられる称号である。王とチャオファー位の間に生まれた子供に与えられる。プラオンチャオ () 上記の階級よりも一つ下の階級に与えられる称号。以下に相当する王族に授与される。モムチャオ(男)/モムチャオイン(女)(, 略語は )これらは王族の最下級の階級に対する称号である。チャオファー(男)と下級王族、平民との間に生まれた子供やプラオンチャオ同士の間に生まれた子供がモームチャオとなる。また、モームチャオ以下名字が下賜される。敬称はタンチャーイ(男)/タンイン(女)となる。英語においてはしばしば、M.C.と書かれる。以下の階級は王族とされているが、実際には王族としての特権である王位継承権を全く保有しておらず、名誉的な階級である。モムラーチャウォン (, 略称は ) モームチャオの子供に与えられる階級に対する称号。敬称はクンチャーイ(男)/クンイン(女)である。英語に置いては、M.R.、M.R.W.、M.R.V.という略称が使われる。モムルワン (, 略称は )モームラーチャウォン(男)の子供に与えられる階級に対する称号。敬称は平民と同じく「クン」である。英語に置いてはM.L.と言う略称が使われる。モムルワン以降は完全な平民となるが、王の親族であることを示すため、「ナ・アユッタヤー (ณ อยุธยา) 」を名字の後ろにつける。訳すと「アユタヤの」と言う意味である。「ナ」はすなわちフランス語の「de」、ドイツ語の「von」、イタリア語の「di」などと通じる。アユッタヤーという語が使われているのはチャクリー王朝がアユタヤ王朝の正当な継承者であるという立場をとっているからである。モム () はモームチャオの下、モームラーチャウォンの上にあると一般的に考えられている階級に対する称号である。モームラーチャウォン階級の人物が大きな功績をなした際や、王子/王女などで大罪を犯し、階級を剥奪された際に与えられるもの。クン () は平民と結婚した王女の子供に用いられる。なお、バンダーサックに用いられる"クン" () とは綴りが違う。近年では平民に対する敬称として用いられている。王子の妻も称号を持っている。以下はその一覧である。Phra Chaya () は王女でチャオファーないしプラオンチャオの称号を持つ王子と結婚した者に与えられる称号である。王子の妻として呼ぶ場合「プラチャヤーナイ(夫の名前)」で呼ぶ。チャーヤー () は王女でモムチャオの称号を持つ王子と結婚した者に与えられる称号である。王子の妻として呼ぶ場合、「チャーヤーナイ(夫の名前)」で呼ぶ。モム () モムは平民で王子と結婚した者に与えられる称号である。名字の後ろにナ・アユッタヤーをつけて、モム=(個人名)・マヒドン・ナ・アユッタヤーという風に呼ぶ。王子の妻として呼ぶ場合、「モムナイ(夫の名)」で呼ぶ。
出典:wikipedia
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