診療報酬(しんりょうほうしゅう、)とは、保険診療の際に医療行為等の対価として計算される報酬を指す。「医師の報酬」ではなく、それだけでなく医療行為を行った医療機関・薬局の医業収入の総和を意味する。医業収入には、医師(または歯科医師)や看護師、その他の医療従事者の医療行為に対する対価である技術料、薬剤師の調剤行為に対する調剤技術料、処方された薬剤の薬剤費、使用された医療材料費、医療行為に伴って行われた検査費用などが含まれる。日本の保険診療の場合、診療報酬点数表に基づいて計算され点数で表現される。患者はこの一部を窓口で支払い(自己負担)、残りは公的医療保険で支払われる。保険を適用しない自由診療の場合の医療費は、診療報酬点数に規定されず、患者が全額を負担する。米国の公的医療制度であるメディケアおよびメディケイドについては、連邦政府機関である(CMS)が所管している。それらの診療報酬は、CMSが(PPS)にて価格を定めており、外来、入院、その他のサービスに適用される。メディケアは米国において最大の医療サービス購入者であるため、市場に対して大きな価格リーダーである。その価格はCMSが様々な医療サービスの労働費および資源コストを分析して決定する。台湾の医療では包括払い制度、および総額予算支払制度が導入されており、政府が年間の総額医療費を決定し、その予算内で1点あたりの診療報酬金額を調整される。保険診療機関は実施した診療内容等にもとづき、診療報酬明細書(レセプト)を作成し公的医療保険を請求するが、明細書の各項目は金額ではなく点数化されている。診療報酬点数は厚生労働省が告示する(健康保険法76条)。1点=10円。医療機関等で保険を使って診断・治療を受ける(保険診療)ときに用いられる医療費計算の体系となっている。診療報酬点数には医科・歯科・調剤の3種類がある。急性期病院で用いる診断群分類点数 ((DPC点数表)もある。患者は診療報酬によって計算された一部(3割負担など)を医療機関窓口で支払う。日本では、中央社会保険医療協議会の答申により診療報酬は決定される(健康保険法第82条)。改定は原則として2年に一度行われる。診療報酬の全体引き上げ率で語られることが多い。しかし増額は患者窓口負担や健康保険保険料上昇になるので、増額より配分の見直しが先決ではないかとの意見がある。収入の低い診療科や勤務医に重点配分して、医師不足を是正しようとの考え方である。厚生労働省による医療経済実態調査によれば、診療科ごとの報酬の格差や開業医と勤務医の収入の格差が存在するとしているが、同調査は収支の定義、調査期間、調査客体選定の公平性など、統計処理上の問題点が数多く指摘されており、このデータを元に議論するのは不適切との批判が多い。現在の診療報酬体系では診療報酬を上げても「ドクターフィー」と「ホスピタルフィー」の区分けがないので、病院の維持管理(経営管理)(ホスピタルフィー的なもの)に回り、医師の技術部分を評価(ドクターフィー的なもの)することにつながりにくいとの報告や議論がある。医療機関等で処方される医薬品の価格は、診療報酬の薬価として定められている。以前は、薬価が実際の医薬品の納入価格よりも高額であったために、医薬品をたくさん処方すればするだけ病院が利益を上げることができた。社会的な問題として「薬漬け医療」の元凶となっていた。その後厚生労働省の方針により、度重なる大幅な薬価引き下げが行われ、また医薬分業が導入されたことにより、薬価は病院経営と切り離された。現在の薬の納入価は先発品といわれるものについて対薬価基準で88~90%前後、特許切れ後の後発品とよばれるものでも80~85%前後である。消費税を含めるとそれぞれ 95%,85%である。薬剤の管理費用や借入金利などを考慮すれば、むしろ「薬価差損」が生じているという声もある。医療機関等において患者から採取された検体の検査は、検査ごとに診療報酬が定められている。医療費配分で効率化の余地がある領域の項の中で、医薬品、医療材料、検査等は「もの代」として市場実勢価格を反映して診療報酬が決められる。多くの検査はその医療機関内で実施されるが、登録衛生検査所や医師会検査センターなどの検査受託機関に検査を外注することもしばしばである 検査外注では、検査受託機関が検査料金を割り引くと保険医療機関のもうけが生じる。これが検査差益である。日本臨床検査医学会を含む臨床検査関連6団体協議会からは「医療制度改革における検体検査の取扱いに関する要望書」(平成13年12月20日)が出されており、この要望書の中に検査差益の記載がある薬価差益が小さくなるにつれ、その役割が検査差益に移ったのではないかとの指摘がある。一種のゴム風船効果(balloon effect)である。
出典:wikipedia
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