オハ30形客車(おは30がたきゃくしゃ)は、かつて日本国有鉄道およびその前身である鉄道省に在籍した、車体長17m級の半鋼製三等客車である。本項では同時に同様式で製作された三等緩急車のオハフ31形についてもあわせて取り扱う。なお、オハ30形・オハフ31形も共にオハ31系を改造した同名の和田岬線用通勤客車が後に存在したが、これとは全く別の車両である。1937年12月27日に発生した、準急12列車(鹿児島 - 門司間)の発火事故で全焼した、大形2AB車と国鉄部内で呼称されていた大形車体断面を備える17m級木造2軸ボギー客車グループに属するナハ22000形(ナハ22985・23049)およびナハフ25000形(ナハフ25029)の計3両を小倉工場で1940年7月に復旧する際に、試験的に鋼製車体化したものである。試作の少数形式であったことから当初はナハの鋼体化車はスロハフ31750形(後のスロハフ30形)とオハ32000形(後のオハ31形)の間に、そしてナハフの鋼体化車はオハフ34000形(後のオハフ30形)とスハフ34200形(後のスハフ32形)の間に、それぞれ隙間を縫うようにして押し込まれ、オハ31980形(オハ31980・31981)、オハフ34180形(オハフ34180)と付番された。焼け残った種車の台枠を延長せずに再利用したため、後の60系とは異なり、17m級のままで鋼製車体が製作されている。台枠は種車のUF12(オハ31980形)とUF15(オハフ34180形)を流用しているが、UF12は大形2AB車用台枠の中でもインチ制で設計された古いタイプの物であり、寸法面でもそのままでの使用が不可能であったため、大改装が実施されてUF12改となっている。これに対しUF15は後のオハ31系に使用されたUF17の基本となった、強固な構造の魚腹台枠であり、ほぼそのままで流用されている。側面の窓配置はオハ31980形がD3 3 3 3 3 1D(D:デッキ)、オハフ34180形がD1 3 3 3 3 1 1Dと3枚の窓を1セットとする種車のレイアウトを踏襲しているが、窓周りの寸法はスハ32系に準じて高さ740mm、幅600mmとされ、種車の窓寸法は引き継がれていない。もっとも、デッキ部の寸法は台枠を引き継いだ関係で種車に準じており、側扉も幅675mmと大形2AB車の標準寸法に従いつつ、鋼製車の標準仕様に準じた様式のものが設計製作されている。また、窓配置や窓周り以外の構体設計は製造当時、小倉工場でも量産中であったオハ35系のそれが流用されており、全溶接構造、屋根は丸屋根、側面は窓の上下の補強帯(ウィンドウシルおよびウィンドウヘッダー)を外板の内側に隠したノーシル・ノーヘッダーと呼ばれる平滑な構造の近代的な外観として完成している。車内の座席等は種車のそれを流用したが、内部構造そのものはオハ35系に準じており、結果的に本形式は大形2AB車の窓配置と車内設備、スハ32系の窓寸法、それにオハ35系の基本構造を備えるという、3世代の様式が混在する特異な設計となった。座席定員はオハ31980形が80名、オハフ34180形が72名、自重はそれぞれ29.35tと29.20tで、種車より約2 - 4t程度の自重増となっている。台車は種車のものを流用しており、全車とも球山形鋼を側梁に使用するイコライザー台車のTR11が装着された。ただし、これらはTR11でも初期のタイプで心皿荷重上限に不安があったため、振り替えを実施してより新しいタイプのものと交換することも検討されていた。だが、結局台車交換は実施されないままに終わっている。ブレーキは当時標準のA動作弁による自動空気ブレーキ装置であるAVブレーキ装置が搭載されていた。これも種車からの流用品である。便所の給水装置は、22000系で標準であった屋根裏の水タンクからの重力落下式ではなく、ブレーキ管からの空気圧を動力源とする、床下水タンクからの揚水式が採用された。これについては、オリジナルの水タンクを改造して床下吊り下げとするオハ31系で採られた改造方法が踏襲されており、本形式における数少ないオハ31系との共通点となっている。竣工後は鳥栖区(門トス)に配置され、鹿児島本線を中心に増結車として運用され、1941年の称号改正時にオハ30形(オハ30 1・2)、オハフ31形(オハフ31 1)と改番されているが、このうちオハフ31 1は1945年夏の空襲時に被災し廃車となっている。戦後は残されたオハ30形2両が篠栗線をはじめとする北九州地区各線で運用されたが、1959年に国鉄長野工場で側面中央部に荷物扉を新設するなど改造の上で配給車のオル31形に編入され、それぞれオル31 26・27と付番された。廃車は26が1970年、27が1969年である。
出典:wikipedia
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