近鉄9020系電車（きんてつ9020けいでんしゃ）は、近畿日本鉄道の保有する一般車両（通勤形電車）であるシリーズ21の1系列。本項では9820系電車、6820系電車についても記述する。2000年に登場した2両編成のシリーズ21。奈良線用は2000年から、大阪線用は2003年から製造されている。電算記号は奈良線用はEEで、大阪線用はEW。主電動機はかご形三相誘導電動機の三菱電機製MB-5085A形(185kW×4)を採用。歯車比は6.31に設定された。制御装置はIGBT素子によるVVVFインバータ制御装置を採用しているが、シリーズ21では制御装置の製造会社による系列名の区別を行っておらず、同一系列内に三菱電機製と日立製作所製が混在している。本系列では9021F - 9026F・9028F - 9034Fは三菱電機製で、9027F・9035F - 9039F・9051Fが日立製作所製を搭載している。集電装置はMc車2基搭載で、9026F・9037F - 9039F・9051Fが下枠交差式を搭載している以外は全てシングルアーム式を搭載している。新造時の9023F・9024F・9027F - 9036Fは下枠交差式を搭載していた。台車は全軸片押し踏面制動方式の積層ゴムブッシュ式ボルスタレス台車であるKD-311系を装着する。併結車両は特に限定されておらず、性能面では起動加速度3.0km/h/sで最高速度120km/hであるが、営業上の最高速度は110km/hに抑えられている。奈良線所属車は2006年度より全19編成に阪神直通対応工事を行っている。2016年4月1日現在、東花園検車区に2両編成19本38両が配置されている。本系列単独ないし他形式併結による4両 - 10両編成で運用されるが、6両固定編成車と併結した8両編成以上で阪神線直通列車に充当される際は原則として奈良方に増結される。2016年4月1日現在、高安検車区に2両編成1本2両が配置されている。1編成のみ配置で原則他形式と併結して運用するため、単独2両編成での運用や名古屋線、信貴線の定期列車には充当されていない。2001年から製造された9020系の6両編成仕様または5820系のロングシート仕様である。電算記号はEH 。性能面や主要機器は9020系に準拠する。本系列では9821F、9823F、9825F - 9828Fは三菱電機製で、9822F、9824F、9829F、9830Fは日立製作所製の制御装置を搭載する。パンタグラフはM車1基搭載の1編成3基搭載で、9822F - 9825F、9830Fが下枠交差式（PT-4811形）を装備している以外は全てシングルアーム式（PT-7126）を搭載している。増備途中から設計変更が行われ、9823F以降は奈良・橿原神宮前側の先頭部分にも貫通扉に幌枠および桟板が設けられた（阪神電気鉄道直通運転対応工事と同時に9821F、9822Fにも設置）。2006年製の9826F以降は天井の蛍光灯カバーが省略されている。2007年までに全編成に阪神電気鉄道直通運転対応工事が行われ、阪神用の列車選別装置とATSと電鈴が取り付けられた。2016年4月1日現在、西大寺検車区に6両編成10本60両が配置されている。5800系および5820系、1026系1026F - 1029Fと共通運用で、奈良線および阪神線直通列車を中心に運用されている。基本的には京都線・橿原線・天理線も含めた一体的な広域運用をしているため京都線系統での運用もある。2002年から製造された南大阪・吉野線用の「シリーズ21」である。電算記号は AY 。本系列では日立製作所製の制御装置を採用しているが、主回路は標準軌線車両の1C4M制御に対し本型式では16400系と同様の1C2M制御に変更されて二重系となっており、単独編成での運用を考慮したものとなっている。南大阪線系統の通勤車の最高速度が100km/hとされているため、モータ出力は160kWである（標準軌線用「シリーズ21」は185kW）。シングルアーム式パンタグラフが採用されている。2016年4月1日現在、古市検車区に2両編成2本4両が配置されている。ワンマン運転には対応していないため道明寺線では運用されない。2008年までに3形式合計で104両が製造されたが、大部分の98両は奈良線に投入されており、大阪線には9020系2両編成1本、南大阪線には6820系2両編成2本の投入に留まっている。当初の計画では、9020系や9820系の大阪線および名古屋線新造投入も予定されており、9200系のサ9350形をサ9310形に改番したり、大阪線系統での長距離試運転を行うなど、両線に導入する準備が進められていたが、車両運用の見直しに伴って抵抗制御車に対しB更新工事を追加施工する計画に変更されたため新製投入は中止となっている。

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