南海1000系電車（なんかい1000けいでんしゃ）は、1992年（平成4年）に登場した南海電気鉄道の一般車両（通勤形電車）の一系列である。形式名として、1987年に初代1000系が全車廃車となって以来、空番となっていた1000番台を割り当てられた。南海線用4扉通勤車である9000系の後継系列として、高野線大運転用2000系で導入された新技術を採り入れつつ、1994年の関西新空港開業を見据えた南海グループ全体の新CI戦略に従う新しいデザインを盛り込んだ、南海本線・高野線の双方で共通運用可能なハイグレードな次世代汎用通勤車として設計され、1992年より合計76両が東急車輛製造で製造された。本系列は新造の度に機会を捉えて様々な改良が加えられ続けており、第1次車、第2 - 5次車、第6次車（50番台）の3グループに大別される。6両編成の基本編成と2両編成の増結編成を組み合わせて運用される。形式は6両編成は、モハ1001-サハ1801-モハ1301-サハ1601-モハ1101-クハ15012両編成は、モハ1001-クハ1701となり、2両編成側のモハ1001形を30番台に区分してある。2両編成を2本組み合わせた4両編成も存在するほか、試作要素の多い第6次車は例外的にモハ1051-サハ1851-モハ1151-クハ1751の4両固定編成として製造されている。2000系で初採用された、有限要素法によって設計された20m級軽量構造ステンレス車体を採用するが、外板はひずみを避けるべく、板厚を増してビードを廃した平滑な仕上げとなっている。車体断面は第1次車は従来どおり2,744mm幅であったが、第2次車以降は南海空港線開業に伴う車両限界の変更で裾絞りが入った2,850mm幅の大断面車体となった。窓配置はdD2D2D2D1（d：乗務員扉、D：客用扉）あるいは1D2D2D2D1で、戸袋窓のない幅1,300mmの両開き扉を備える。前頭部は工作の容易性などを考慮して2000系と同様、FRP製の縁覆いを使用するが、平面的な構成であった2000系と異なり、上部が曲面を描いて後退し貫通扉部も上方が傾斜する、スピード感を強調したデザインとされている。前照灯と標識灯は横並びで一体型のケースに収められたものが前面左右の腰板部に組み込まれており、標識灯はLEDを使用する。南海では長らくライトグリーンとダークグリーンの塗色が一般的であったが、前述のとおり南海グループ全体の新CI戦略展開に伴い、1000系においてはブルーとオレンジのニューカラーが採用されたのが特徴である。この新カラースキームは在来の9000系・8200系などのステンレス車や7100系・21000系などの鋼製車に対して適用され、高野線の特急「こうや」用30000系と廃車時期が迫っていた1521系と1201形を除く全車が塗色変更された。なお、第1 - 5次車については車体全体をグレーで塗装していたが、第6次車では無塗装に変更されている。座席は従来どおりロングシートを基本とするが、車端部のみはボックス式クロスシートを設置しており、いずれも新設計のバケットシートを採用して1人分ずつ区切った構造の座席とされ、着席マナー向上を誘導するデザインとなっている。当時、南海では特急車両も含め座席モケットの色は赤色を採用していたが、本系列と特急用の11000系から灰色に変更された。在来車においても更新編成を中心に後に同色に変更されたが、本系列の6次車以降、大半の車両が紺色に近い色に再変更されている。2000系に続き、南海線の一般車としては11001系以来久々の採用となるアクリル製蛍光灯カバーが復活しているのも目立たないが大きな特徴である。また、扉上部にマップ型LED停車駅案内表示器およびLED情報案内表示器が千鳥設置されていたが、第6次車でマップ型LED停車駅案内表示器が廃止され、在来車も通常の路線図で塞いでいる。さらに、第6次車では座席端部へのスタンションポール設置と扉開閉時のドアチャイムの設置が実施されている。本系列は2003年に本線・高野線に女性専用車両が導入された時点では6両編成以下の編成での運転が基本であったため、導入対象外となっていた。2005年のダイヤ改正で南海線から高野線へ1032編成が再度転属して高野線において本系列による8両編成での運転が可能になったことから、まず1001編成のみ難波方から4両目（4号車,サハ1601形）に設定された。1002編成も高野線所属であったがやや遅れての設定となった。これは同編成が当時専門学校の全面広告車であったため、デザイン上女性専用車ステッカーを貼付できなかったことによる。2012年10月から1003編成が、翌年の4月から1004編成が高野線所属となり、現在はこの2編成にも設定されている。なお、本線所属車は原則として女性専用車の設定対象外であるが1007編成は一時的に8両編成を組成されていたことで、1005編成は2014年7月から一時的に高野線で運用されその間は設定されていた。なお、同編成は後述の1004編成が車両の不具合から運用に復帰したため後に南海本線へ戻った。1003編成は本線所属時代も2009年6月から9月まで高野線に貸し出されていたことがあり、その間も設定されていた。冷房装置は冷凍能力14,000kcal/hの東芝RPU-4014を各車3基ずつ搭載する。ただし、外観上は連続したクーラーキセをかぶせて一体化してある。全電動車がかご形三相交流誘導電動機を各4基ずつ装架する。第1 - 5次車は三菱電機MB-5046-Aを、第6次車は改良型の三菱電機MB-5091-Aを採用する。駆動システムはWNドライブ方式で、TDカルダンドライブを採用した2000系とは異なる。歯数比はいずれも99:14 (7.07) で、設計上120km/h運転可能な性能を備える。第1 - 5次車まではVVVFインバータ制御器の日立製作所VFG-HR1420Fを各電動車に搭載する。このVFG-HR1420Fは設計当時一般的であった耐圧4500V・2500A級GTO素子をスイッチング素子として使用し、容量の関係上1制御器で4基の主電動機を制御する構成とされている。これに対し、第6次車ではGTOに代えて最新の2レベルIGBT素子を使用する日立製作所VFI-HR1420Gに変更されて静粛性が大幅に向上し、また純電気ブレーキ使用が可能とされている。なお、本系列は一世代前の量産通勤車である9000系とも併結可能なよう、制御シーケンスの読替機能などが搭載されている。しかし、実際に営業運転で併結された実績はない。パンタグラフは、第1 - 5次車は従来どおり下枠交差式の東洋電機製造PT-4826-A-Mを、第6次車はシングルアーム式の東洋電機製造PT-7144-Aをそれぞれ搭載する。全車とも、軽量化を目的として、住友金属工業製ボルスタレス台車を装着する。ただし形式は第1・2次車と第3 - 5次車、それに6次車で異なっており、第1・2次車は2枚の板ばねで軸箱を支持する平行支持板式（SU式）のSS-127（電動車）・027（付随車）を、第3 - 5次車は同じく平行支持板式（SU式）で改良型のSS-127A（電動車）・027A（付随車）を、第6次車は新開発のモノリンク式のSS-159（電動車）・059（付随車）を、それぞれ採用する。9000系の三菱電機MBS-Rを基本としつつ、電動車の回生制動能力を有効活用する遅れ込め方式を採用した、MBSA電気指令式電磁直通ブレーキが採用されている。南海線には6両編成8本・4両編成1本（6次車）・2両編成5本の計62両が、高野線には6両編成2本・2両編成1本の計14両が在籍する。（2016年8月時点）概要は下記のとおり。主に南海線（南海本線・空港線・和歌山港線)に配置されている。1004編成と1034編成は2013年4月から高野線に在籍していたが、2015年6月から南海線に復帰し、同年9月末までに引退する7000系の一部を置き換えている。また、2014年7月に約1週間1005編成も高野線に在籍していた。・6両編成・4両編成・2両編成6両編成は編成単独で全車一般席特急列車から普通車まで幅広く用いられ、2両編成は2組つないだ4両編成で普通車に、1051編成あるいは8000系もしくは8300系と組んで6両編成で優等列車などに用いられる。1009Fはみさき公園、1010Fはminapitaのラッピング編成であったが、現在はいずれも解除している。また一社貸切のジャック広告が行われることがある。8000系や8300系との併結は可能だが、同様の性能を持つ12000系との併結で「サザン」の一般席(なんば寄りから8〜5号車)に使用された実績はない模様である。8300系と併結している場合は全車一般席の特急～各駅停車(普通車)までの全種別で、8000系と併結している場合は、全車一般席の特急・急行・空港急行の場合、車内自動放送を行う。1051編成は新製以来ほとんど編成単独の4両編成で普通車に用いられてきている2両編成は殆どが8000系との併結運用に充当されている。南海線配置の2両編成が5本体制となり、4両編成を組むと1編成余るためである。ただし、2両編成が検査などや、8000系との併結運用に充当されていて余らない場合は、従来どおり編成単独の4両編成で普通運用に充当される。なお、南海線、高野線とも8両編成の設定があるが、南海線では本系列の6両編成と2両編成をつないだ8両編成は本系列竣工直後と、2010年1月から2月にかけてのわずかな期間に留まっている。また2012年9月から2015年7月までは1031F、同年10月に1003Fと1033F、2013年4月に1004Fと1034Fが高野線に転属していた時期もあった。4両編成での運用はほとんど見られなくなった。女性専用車は8両編成にしか設定されないので、南海線の本系列はその対象外となっていたが、2010年1月から2月に一時的に8両運用が設定され、現在1007F(4号車に当たる、サハ1607番車)のみ「女性専用車」ステッカーが貼付されている。また、試運転にて1051編成も8000系との併結による8両編成が実現しているが、営業運転で8両編成運用に充当された実績はない。8000系も全編成に女性専用車の設定がなされているため、実質的には1051編成をこれらの和歌山市方に連結させた8両編成の運行が可能である。第1次車登場時には淡路島航路連絡急行「淡路号」が運行されていたため、多奈川線にも入線実績がある。1003編成と1033編成が、新製配置先の高野線から南海線に転属した時期もあったため、在籍全編成が南海線での運用実績を持つこととなった。6両組成と2両組成を併結した8両編成で快速急行・急行・区間急行・準急行、各駅停車（河内長野駅 - 橋本駅間運転の一部列車、泉北高速線内のみ）に、6両組成編成単独で急行などの優等列車から各駅停車まで、高野線区間運転の特急系以外の各列車種別に幅広く用いられる。2両組成は、2編成併結の4両編成(各駅停車用)や、3編成併結の6両編成は行われていない。この為、高野線内は急行系列車(快速急行・急行・区間急行・準急行)の増結専用(8両編成の橋本寄りの7〜8号車)となっている。また、6000番台系列で行われていた10両編成運転は、当系での実績はなかった。泉北高速線にも乗り入れるが、20m級大型車両の入線ができない橋本駅以南には乗り入れない。また南海線からの転属時に三日市町以南へ入線出来るように抑速ブレーキなどが追加された。一時期2両組成の配置がなくなり6両組成単独編成以外には使用されない時期もあったが、2005年に1032編成が南海線から移籍して8両編成での運用が復活した。2009年6月から9月の間は6300系6314Fが更新工事のため入場し、補充として本線所属の1003Fが高野線に一時的に配置された。この間はオリジナル塗装の8連も見られた。10月には6314Fが更新工事を終え出場したため1003Fは本線へ復帰している。2012年9月には1031Fが、同年10月には1003Fが1033Fと組になって再び高野線へ転属、翌2013年4月には1004F、1034Fが南海線から転属し、第2次車（広幅車）が高野線でも運用されるようになった。かつては6両単独で各駅停車の運用に入ることも多かったが、1003F+1033F、1004F+1034Fが転属してきてからは終日8連で運行されることが多くなり、準急行以上の優等種別を中心に運用されるようになっている。現在も6両単独で運行される事もある。2014年7月には1004Fが車両の不具合を起こしたことにより、本線所属の1005Fが一時的に高野線に貸し出されていた。この間は難波側から4両目(4号車)に女性専用車が設定され、同じ広幅車の1034Fと組んで8連で運転されることもあった。その後1004Fが運用復帰したため1005Fは本線へ復帰している。高野線・泉北線では、車内自動放送は実施されていない。1001FはPARKS、1002Fはminapitaのラッピング編成であったが、現在はいずれも解除している。

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