『マジカル・ミステリー・ツアー』(Magical Mystery Tour)は、イギリスのロックバンドビートルズによるテレビ映画用サウンドトラックである。『マジカル・ミステリー・ツアー』は1967年8月27日にマネージャーのブライアン・エプスタインが死去後、初めて自分たちで取り組んだプロジェクトであった。ポール・マッカートニーはビートルズがアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を制作した後、ビートルズと自分たちの音楽に基づいた映画を制作することを考えた。『マジカル・ミステリー・ツアー』のコンセプトは様々な「普通の」人々(ジョン・レノンの叔父、チャーリーを含む)が観光バスに乗り込んで旅行し、予測できない「マジカル」な冒険をするというものであった。そうした制作コンセプトのため脚本とプロの映画監督無しという状況で撮影は行われたが、エプスタインの判断が無い結果として無秩序な映画制作となった。『マジカル・ミステリー・ツアー』の撮影において彼らが望んでいたような「マジカル」な冒険はまったく起こらず、撮影中に非常に多くの自動車が手書きで彩られたバスに追尾し、バス内の乗客が何を行おうとしているかを見たがり、交通渋滞を起こすまでに至った。見せ物はジョン・レノンが怒りながらバスのそばを立ち去ったことで終了した。映画の評判は芳しいものではなく、イギリスでは最初、BBC one(白黒放送局)において1967年のクリスマス休日をまたいでテレビ2回放送されたが、発表したことへの非難が集まった。しかしその番組は、映画学校時代のスティーヴン・スピルバーグに言及されている。アメリカではABCで放送するという予定がキャンセルされ、『マジカル・ミステリー・ツアー』は公には1976年まで見ることが出来なかった。見ることが出来た場合でもそれはミッドナイト・ムービーや大学での興行などであり、どちらも一般的にはアンダーグラウンド扱いであった。サウンド・トラックの6曲は英国オリジナルでは2枚組EPという特殊なフォームで、1967年12月8日にリリースされた。しかしアメリカではEP盤方式が既に1950年代で廃れていたため米キャピトル・レコードはA面にサウンド・トラック6曲を任意に配列し、更にB面にシングル盤既発売曲の5曲を任意に配列した11曲入りコンピレーション・アルバムを、1967年11月27日にリリースした。この米キャピトル編集盤は扱いの簡便さからイギリスでも輸入盤として人気を集めた。イギリス・EMIレコードによるLP盤としては、1976年11月27日にリリースされた。その後1987年のCD化において、この米キャピトル編集盤はイギリス盤公式オリジナル・アルバムと同等に扱われた。更に、2009年9月9日にリリースされたデジタル・リマスター盤においては、アメリカからの輸入盤発売日に基づき9作目のオリジナル・アルバムの位置に順番付けられている。映画とは対照的にサウンドトラックは非常に好意的に受け入れられた。プロデューサーのジョージ・マーティンのクレジットには "BIG" という称号が付いた。ヒット・チャートではイギリスにおいては「ミュージック・ウィーク」誌では、EP盤(しかも2枚組)としては異例のシングル・チャートに登場し、最高位第2位を獲得している。ちなみにこの時、第1位だったのは「ハロー・グッドバイ」であった。なお米キャピトル編集盤は前述の通り輸入盤として人気を博しアルバムチャートの31位にまで達した。アメリカでは『ビルボード』誌アルバム・チャートで8週間連続第1位に輝いた。1968年度年間ランキングでは第4位を記録している。『キャッチュボックス』誌でも、8週連続第1位を獲得し、1968年度年間ランキング第9位を記録し、アメリカだけで600万枚以上のセールスを記録している。また、1968年度のグラミー賞ではベストアルバムとしてノミネートされた。なお日本盤LPのジャケットは通常の厚手の紙ではなく、欧州盤同様薄手の紙で出来ていた。当時EP盤はモノラルが原則であったが、英オリジナル2枚組EPはステレオとモノラルの双方が発売された。ビートルズのオリジナルEP中唯一ステレオでリリースされたEPである。米キャピトル編集ステレオ盤の「ペニー・レイン」、「ベイビー・ユーアー・ア・リッチマン」、「愛こそはすべて」の3曲はステレオ・ミックスが未制作だったことから、発売予定に間に合わせるためにモノラル・ヴァージョンを疑似ステレオ化したヴァージョンが収録された。また「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」は後に英国盤『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』で発表されるものとは別のステレオ・ミックスが使われた。米キャピトルでのビートルズのモノラル・アルバムは本作が最後のリリースとなり、次作『ザ・ビートルズ』以降はステレオのみの発売となった。「ペニー・レイン」、「ベイビー・ユーアー・ア・リッチマン」、「愛こそはすべて」の3曲を含む全曲リアル・ステレオのアルバム『マジカル・ミステリー・ツアー』は1971年に西ドイツでリリースされた。同盤のA面曲は「アイ・アム・ザ・ウォルラス」を除き、英オリジナルEP用のミキシングが使われていた。前述の通り米キャピトル編集盤は取り扱いの利便性からイギリスでも人気を呼んだため、1976年には英パーロフォン盤からもリリースされるようになったが、西ドイツ盤とは異なり米キャピトル盤と同内容であった。EP『マジカル・ミステリー・ツアー』は後にEPコレクションのボックス・セットのCD化でモノラル盤・ステレオ盤共に収録された。また、アルバムは英EMIから1987年にコンピレーション・アルバムである『オールディーズ』を除く、ビートルズの全オリジナル・アルバムがCDとして再発売されたが、その際に米キャピトル編集盤であるにも関わらず『マジカル・ミステリー・ツアー』のみ例外的にCD化された。CD化されたEPおよびアルバムは、1967年のオリジナルEPおよび1971年に西ドイツでリリースされたアルバムのものとほぼ同じである。前述の通りビートルズ解散後英国でもリリースされた。
出典:wikipedia
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