クラス373 () およびTGV TMSTは、イギリスのロンドン・セント・パンクラス駅とフランスならびにベルギーを結ぶユーロスターで使用されている動力集中方式の高速鉄道車両である。イギリスと英仏海峡トンネルでの運行向けにTGVに小改良を施して開発された。主な改良点はイギリスの車両限界規格へ適応するための車体小型化とイギリス式の非同期動力、そしてトンネルでの火災に備えた広範囲に渡る耐火処理である。イギリス側の車両形式はTOPSでの分類に基づいて割り当てられた「クラス373」で、車種は電車(Electric Multiple Unit)に分類される。フランスではTGV 373000系と呼ばれる。計画段階においてはTrans Manche Super Trainの名称で認知されていた。車体はGEC-アルストム社のラ・ロシェル、ベルフォール、ウォッシュウッド・ヒースで生産され、1993年に運用が開始された。クラス373はイギリスの列車では最も速い334.7km/h(208 mph)の最高速度記録を持っている。2種類の編成が製造された。「三首都編成」は2両の動力車と2つの電動ボギー台車を含む18両の客車で構成され、もう一種類「ロンドン北部編成」は2両の動力車と2つの電動ボギー台車を含む14両の客車で構成された編成である。1編成は編成の中間部半分ずつに分けた物を一つとして構成されており、非常時の際は英仏海峡トンネルで編成の半分を切り離して走行することも可能である。前後のいずれかの車両に火災が発生した場合、片側の車両に乗客を避難させ、脱出させる為この構造を採用している訳である。それぞれの半編成は別に数えられる。38編成のフル編成に1両の予備動力車を足して鉄道会社により発注され、その内訳はフランス国鉄16編成、ベルギー国鉄4編成、イギリス国鉄18編成(うち7編成はロンドン北部編成)であった。イギリス国鉄保有の編成はイギリス政府による国鉄民営化によって、ユーロスター運営会社の子会社であるロンドン・アンド・コンティネンタル・レイルウェイズに売却された。現在、ナショナル・エクスプレスグループが40%、フランス国鉄が35%、ベルギー国鉄15%、ブリティッシュ・エアウェイズから成り立つ共同体によって管理されている。三首都編成の整備はノース・ポール国際車両基地で行われている。車両基地は西ロンドンのグレート・ウエスタン本線に隣接している場所にあり、現在使われていないロンドン北部編成と予備動力車を常備している。CTRLの2期区間が完成すると、現在イースト・ロンドンのストラトフォード国際駅近くに建設中のテンプル・ミルズ車両基地に置き換わる。フランスでの列車整備はパリの北にあるル・ランディ車両基地で行われている。ベルギーではブリュッセル・フォレスト車両基地で行われている。ユーロスターで運行されている27編成は2004年から2005年に更新され、フィリップ・スタルクによる新しい内装とデザインに変わった。2等車はグレーと黄色のタイプからグレーと茶系の色に変わり、1等車はグレーとオレンジ系統の色に変わった。大半の編成はセント・パンクラス駅とパリ北駅、ブリュッセル南駅間のユーロスターで運行されている。一部はディズニーランド・パリや夏季のみアヴィニョン、冬季はフランスアルプスに程近い“Bourg-Saint-Maurice”にスキー列車として運行されている。フランス国鉄持分のうち3編成はフランス国内で現在使用され、他のTGVと同様に銀に青の塗装となっている。ロンドン北部編成は当初は大陸ヨーロッパから東海岸本線や西海岸本線を利用しロンドン以北の都市に直行するユーロスターの運行を目的としていた。しかし、航空機との時間的、料金的な競争から断念された。近年の格安航空会社の台頭も影響している。5編成はグレートノースイースタン鉄道(Great North Eastern Railway、GNER)に貸し出され、深紺色の塗装でキングス・クロス駅とリーズ駅間の白バラサービスに使用されていた。GNERへの貸し出しは2005年12月に終了し、2007年より6編成がフランス国鉄に貸し出されパリ - リール間のTGVで使用されている。後継車両となるクラス374電車の導入に伴い車両の置き換えが開始され、2015年から運用を離脱する車両が現れている模様である。また延命更新を受ける車両については、外装のカラーリングが従来の白基調の物から、クラス374電車と同様のブルーとシルバーメタリックを基調としたものに改められている。三首都編成は定員766名(1等206名、2等560名)で、ロンドン北部編成は定員558名(1等114名、2等444名)である。全ての編成は交流25,000V 50Hz(LGV、CTRL、および英国内の架線電化区間)、直流3,000V(ベルギー国内の在来線)、直流750V(英国内第三軌条電化区間)の3電源に対応している。フランス国鉄所有の5編成は更に直流1,500Vを含む4電源に対応し、パリ以南のフランス国鉄在来線も走行可能である。 2007年のCTRLの二期区間がセント・パンクラス駅まで開業すると、リールから英仏海峡トンネルを経由してテンプル・ミルズ新車両基地、本来計画されていた西海岸本線や東海岸本線への直通運転も可能になる。余分になる第三軌条に対応した設備は編成から除去される可能性もある。様々な地域で運行されるために全ての地域に対応したシステムが装備されている。
出典:wikipedia
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