大六天神社（だいろくてんじんじゃ）は、埼玉県飯能市に鎮座する神社。創建年不明で、社殿は1986年（昭和61年）に建て替えられた。この神社から小字大六天の地名が生まれた。かつての祭神であった第六天魔王は当地の伝承によれば「天狗である」という説があり、当社には「向かい天狗の絵馬」もある。伝承によると、「当社周辺は昔は林で、天狗に小屋を揺さ振られたり姿を現し脅かされたりした」という。当社の天狗伝説については岩井宏實（民俗学者・帝塚山大学名誉教授）の著書にも掲載されている。なお、さいたま市岩槻区に鎮座する武蔵第六天神社でも御使役の天狗様や社殿に大天狗・烏天狗が宿っているとされるなど天狗と関連付けられており、当社と同じく「向かい天狗の絵馬」が有名である。「本郷大六天 青石塔婆と樫樹」という市指定文化財（史跡）が当社拝殿（祠）の裏にあり、大樹と共に板石塔婆が建っている。大樹は白樫（シラカシ）で、樹幹は落雷によるものと思われる大きな裂け目ができて空洞化している（ただし、現在も葉を茂らせており生存している）。また、この白樫の根元には2基の板石塔婆が食い込んでいる。磨滅しているため造立年は不明だが、板石塔婆の形や梵字から鎌倉時代のものと推測される。この板石塔婆は元久2年（1205年）に武州二俣川（現・神奈川県横浜市旭区二俣川）で敗れた畠山重忠の墓という伝説がある。伝承によると、重忠の遺骸を家臣が車で秩父に運んでいる途中、当時この付近にあった「飯能の車返しの坂」で動かなくなり、重忠の霊がそうさせていると察してこの地に葬ったと言われている。さらに、この光景を見た当地の人々は重忠が鎌倉にいた頃を懐かしんでここから振り返ったのだろうと思い巡らせ、この坂を「見返り坂」と名付けたという。ただし、史実では重忠が二俣川で敗れた後、遺骸はそのまま同地に葬られたとされており、墓所についても重忠生誕の地である旧武蔵国男衾郡畠山郷（現・埼玉県深谷市畠山、「畠山重忠公史跡公園」内）に所在している。埼玉県飯能市大字飯能字大六天320番1号（飯能市立飯能西中学校南西）

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