サルヴァトーレ・ジュリアーノ（Salvatore Giuliano、1922年11月16日 - 1950年7月5日）はシチリア島の山賊。男性。彼の父サルヴァトーレは1904年に一攫千金を夢見てアメリカへ渡るが、その夢を果たせずに1922年にシチリアへ帰る。その後パレルモ近郊の村モンテレプレで四男として生まれた。学校が嫌いで12歳の頃から働き始め、色々な職を経験したがどれも長続きしなかった。気が短い性格で雇い主と何度も喧嘩したという。20歳のときに電話敷設工事の仕事を解雇され家族の生活を支えるためと、そのころ連合国軍がシチリアに上陸して布いた配給制度を利用して小麦などの闇取引に手を染めた。しかし1943年9月2日午後、小麦をロバに積んで村に戻るところ、憲兵の検問所で持ち物を取り上げられ、憲兵詰め所に来るように命令された。この厳しい措置に怒り、憲兵2人を射殺した。その時にジュリアーノ自身も撃たれ足を怪我した。その後、傷が治ると憲兵に復讐するため、山賊になった。憲兵隊は12月22日にジュリアーノの家族や親戚を含めて126人を拘留した。その夜にジュリアーノは復讐をする。憲兵詰め所に押しかけ、機関銃を乱射し、1人を射殺した。山賊になってから警察や地主の家々を襲撃し、金品や食料を奪った。金持ちから奪い貧乏人に物を与え恩を売った。そうしてロビン・フッドのイメージが作られ、民衆から尊敬を受けるようになり人気も得た。最盛期には彼の山賊団は500人はいたといわれている。彼の山賊団は7年間活動したが、その間だけで149人を殺害している。さらに殺人未遂事件は172件もあった。シチリア独立運動のときは独立派に参加し、50人ほどの部隊で警察の宿舎を襲撃し武器を奪い書類を焼き払ったりし、刑務所も襲った。1947年5月1日にはポルテッラ・デッレ・シネストレの虐殺事件を起こす。この事件の首謀者はジュリアーノの山賊団だった。彼らは無防備の社会主義者2000人が開いていた集会場所に向かって発砲し、11人を射殺し、27人を負傷させた。その後も、各地の社会党や共産党の支部を襲撃した。独立運動が収まると再び山賊となる。その後、政府や警察による山賊一掃が始まると、ジュリアーノはマフィアの大物にそそのかされ（この頃、カロジェロ・ヴィッツィーニの部下のサント・フレーレスと付き合いがある）、ジュリアーノの一団は自分たち以外の山賊の情報を警察に与えたり、他の山賊団を殺し、ジュリアーノの山賊団以外はほぼ全滅してしまった。多くの山賊は自分たちの友人や仲間と信じていたジュリアーノによって殺された。しかし、それまでの山賊一掃は、マフィアに利用されていただけだと気づく、山賊一掃が終わるとマフィアはジュリアーノに用がなくなり彼を消そうとした。ジュリアーノはそれに気づき、自分を操り人形に使っていたフレーレスを血祭りにあげ、さらに大ボスのドン・カーロに対して脅迫、威嚇を始めた。そのためドン・カーロは身の危険を感じ一時的に身を隠した。ジュリアーノの山賊一掃は、今までの自分の犯罪を帳消しにするという密約があった。しかし、その約束は実行されず、ジュリアーノはシチリア社会から孤立化していった。1950年7月5日に片腕で従兄弟のガスパレ・ピッシェッタに裏切られ、寝ているところを射殺される。ピッショッタは後の裁判で山賊とマフィアと警察の関係を暴露した後、終身刑を受ける。刑務所でマフィアによる報復を恐れ独房に入るが、そこでコーヒーに毒を盛られ殺害される。ピッショッタ殺害の犯人は捕まらず、この事件はマフィアの殺人事件の傑作のひとつと言われている。ジュリアーノの墓はちょっとした観光地にもなっている。マリオ・プーゾの『ザ・シシリアン』で取り上げたせいもあってか、生前貧しい人たちに金や食料を分け与えたためもあってか、生まれ故郷では英雄化されている。しかしその最期については疑問も持たれており、死を偽装してアメリカへと亡命したのではないかという説も根強い。その為、2010年に遺体のDNA鑑定を行う事が決定された。鑑定の結果、90%以上の確率で本人の物という結果が出たという。

出典:wikipedia