311系電車(311けいでんしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)の直流近郊形電車。同社の新快速用車両として1989年から翌1990年にかけて製造された。1989年7月9日のダイヤ改正にあわせて登場した車両で、211系5000番台・213系5000番台に続きJR東海が3番目に製造した電車形式である。本系列が登場したダイヤ改正では新しくターミナル駅として金山総合駅が開業し、東海道本線では豊橋駅 - 大垣駅間で新快速・快速が増発された。本系列はこれらの列車にあてるために新製されたものである。構成はクモハ311形・モハ310形・サハ311形・クハ310形の4形式からなる4両編成である。車体やシステムは211系電車5000番台に準じているが、前頭部の形状など一部に変更が加えられている。製造は日本車輌製造・日立製作所・近畿車輛・川崎重工業の4社が担当した。車体は211系と同様の軽量ステンレス鋼製である。先頭部は繊維強化プラスチック (FRP) 製で、前面に大形の曲面ガラスを使用、また曲面を強調したデザインとしたため100mm車体が長くなっている。出入口は片側3か所ずつで、両開き扉としている。客室の側窓は、戸袋窓を除き1段下降式の2連窓という形態が通常だが、一部編成では2連窓も固定式とされている(後述)。車体に巻かれた帯の色はコーポレートカラーがベースになっており、前面はアイボリーのFRPにオレンジ色の帯で、側面にも窓下および幕板部にオレンジ色の帯を配している。前面および側面窓下の帯は白色の縁取りがある。搭載する主電動機は211系と同型の直流直巻整流子電動機(120kW、社内形式C-MT61A形)で、電動車1両あたり4基搭載する。最高速度は120km/hである。制御方式は直並列組合せ抵抗制御・界磁添加励磁制御で、制御装置の形式はC-CS57A形である。補助電源装置はブースタ式コンバータ (SCV) 方式で、制御方式とともに211系5000番台で実績のある方式を採用している。台車は空気バネ式の軽量ボルスタレス台車で、形式は電動車用がC-DT56形、付随車用がC-TR241形である。いずれも高速運転に対応するためヨーダンパが取り付けられている。ブレーキ方式は、電気指令式である。回生ブレーキ・抑速ブレーキを搭載するほか、110km/h以上のブレーキ初速度で作用する増圧システム(15%増圧)も付加されている。その他にも保安ブレーキとして直通予備ブレーキを搭載し、滑走検知ブレーキ・耐雪ブレーキの準備工事が新造時より行われている。基礎ブレーキ装置は、C-DT56形が片押し式踏面ブレーキを、C-TR241形が片押し式踏面ブレーキとディスクブレーキを装備する。内装はグレー系の色調で統一されている。客室の座席はすべてクロスシートで、出入口脇と車端部は固定式、それ以外の中央部は転換式のクロスシートが配置されている。座席間隔(シートピッチ)は910mmで、ドア間に6列、車端部に2列のクロスシートが並ぶ。転換式クロスシートは213系5000番台に使用されたものを基本にシートバックの高さを約30mm高くし、座り心地の向上を図っている。車内照明も、117系と同様にカバー付きで客室全長に亘るものとされた。313系4次車登場後には一部の編成において、同区分からのフィードバックで優先席のヘッドカバーとつり革の黄色のものへの交換・靴ずり部への黄着色追加が行われている。クハ310形には和式トイレが設置されている。このトイレの外側壁面にはJRの普通車両では初めてとなるテレホンカード式公衆電話が設置されたが、2007年3月ダイヤ改正で使用停止とされ撤去された(屋上のアンテナは撤去されていない)。車内の情報サービスを充実させるため、発光ダイオード (LED) 式の車内情報案内装置が各車両の妻仕切壁に取り付けられている。この装置には、列車種別・行先・停車駅名・乗り換え案内・営業案内が表示され、デジタル時計と一体化されている。先頭車両の前面貫通扉上方には列車種別表示器が、その右側には行先表示器が設置されている。また、側面にも左側が列車種別・右側が行先と独立して動く表示器が設置されている。冷房装置は当初、全車が集約分散式のC-AU711D形 (18,000kcal/h) 2基を搭載したが、先頭車については高速運転を行うことから能力の不足が目立つようになったため、より能力の大きいC-AU713形に交換された。工事は1996年度までに完了している。2003年8月から2005年12月にかけて、クハ310形全車に車椅子対応設備(車椅子スペース)の整備工事が実施された。改造の対象は車両の1位側(乗務員室次位の山側)で、改造内容は以下のとおりである。本系列は1989年から1990年にかけて製造され、形態的には3種に分かれる。1989年7月のダイヤ改正にあわせて第5編成までの20両が登場。1989年後期製の第6編成からは、先頭車前面の列車番号表示器が省略され、車外放送用のスピーカーの取付位置が車体吹寄せ部から屋根上の冷房装置カバー内に移り、カバー側面のスリット形状が変更された。列車番号表示器は車両番号を表しているだけで、列車番号表示器としては機能していない。1990年製の最終増備車2本(第14・15編成)は、中央部ドア付近の8か所と車端部の窓が当初から固定式とされた。窓構造を除いた形態変更は、同時期製造の211系5000・6000番台や213系5000番台にも踏襲されている。なお、1990年製の2本と同様にその他の編成も中央部ドア付近の8か所と車端部の窓は固定式に変更されている。ただし、落成時点の構造を生かしていることもあり、外観からは隣の開閉可能な窓との区別がつかない。本系列に該当する形式には、以下の4つがある。2015年4月現在、全車(4両編成15本・60両)が大垣車両区に配置されている。登場当初から東海道本線の新快速を中心とした運用で使用されていたが、1999年に後継車種の313系が投入されると主として浜松駅 - 岐阜駅間の普通列車が中心となったほか、113系に代わり静岡駅までの運用を開始した。また、313系との併結運用も多数組まれていた。さらに2006年に313系の増備車両として5000番台が大量投入され、同年10月1日のダイヤ改正以降は終日普通列車運用にほぼ限定された形となっていたが、大垣車両区への出入庫および米原地区と浜松地区への送り込み回送兼用として2008年3月15日改正から1運用のみであるが新快速の運用が復活し、2015年3月のダイヤ改正では、改正以前と比べて豊橋 - 大垣間の快速運用が増加している。2016年3月26日ダイヤ改正からは一部に特別快速の運用にも就くようになった。日中は豊橋駅・浜松駅 - 掛川駅間の区間運転にも多く用いられる。1999年12月ダイヤ改正から静岡駅までの運用を開始。当初2往復だったが、2007年3月のダイヤ改正で1往復に減便、2013年3月のダイヤ改正で静岡駅までの運用は消滅し、2015年3月のダイヤ改正で菊川駅までの運用も消滅した。米原駅 - 大垣駅間の区間運転列車にも一部充てられており、通常は313系2両を使用する美濃赤坂線では夜の最終のみ使用していたが、2012年3月改正で313系3000番台によるワンマン運転開始に伴い運用は消滅した。2016年3月26日のダイヤ改正からは、JR西日本の221系6連1往復及び223・225系4連2往復の運用が本系列の4連に置き換えられた。313系との併結はダイヤ改正毎に番台単位で消滅と復活を繰り返しており、2012年3月改正で同系列との併結は一旦消滅したが、2013年3月改正以降は本系列のみの単独運用の他に、飯田線車両の送り込み回送を兼ねて313系3000番台と併結した上り新快速の運用を開始している。過去には211系(0番台、現在は神領車両区へ転属)との併結もあった。なお、213系や313系5000番台6両との併結は存在しない。2015年3月の改正で、電化した武豊線でも名古屋駅直通の区間快速を中心に使用されるようになった。かつては中央本線でも使用されており、2009年3月改正以降では平日は8両で多治見駅まで、土休日は313系300番台との併結で中津川駅までの快速を中心に運用された。期間によっては「ナイスホリデー木曽路」として塩尻駅まで運転されることがあったが、2012年3月改正で、313系300番台との併結運用は313系0番台に置き換えられたため、中央本線の運用は多治見駅までとなり、現在はすでに撤退している。定期運用がない飯田線や関西本線には臨時列車としての入線経験があるが、身延線や愛知環状鉄道線への入線経験はない。北陸本線田村 - 長浜間直流化直後の1991年から、臨時列車扱いで西日本旅客鉄道(JR西日本)管内の北陸本線(琵琶湖線)長浜駅まで乗入れたこともあった(列車名は「ナイスホリデー近江路」)。また、1989年からしばらく、静岡 - 浜松間の「花の木金号」にも一時期使用されたことがあった。
出典:wikipedia
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