大阪市営バス(おおさかしえいバス)は、大阪府大阪市が経営するバス(公営バス)である。大阪市営地下鉄とともに大阪市交通局が担当する。大阪市全域を運行エリアとするほか、隣接する守口市(営業所も所在)、門真市、東大阪市、堺市、松原市、摂津市にも乗り入れている。かつては豊中市や八尾市にも乗り入れていたが、現在は廃止されている。総営業キロ数は648.5km(平成21年3月31日当時)、保有車両数は719両(平成22年9月1日当時)であったが、赤バスの廃止を含めた路線再編により縮小により、2013年度の車両数は556台である。2002年1月の路線改編以降は、一部営業所を外郭団体の大阪シティバス(旧・大阪運輸振興)株式会社に管理委託しており、運営コストの削減を進めている。また、2007年4月から井高野営業所を南海バスに委託している。かつては日本初のワンマンバスや、「赤バス」と呼ばれる100円料金のコミュニティバスの運行を行い、現在でもカード乗車券に限り地下鉄との乗継割引制度の導入など、サービス改善にも積極的な部分がある。市内のバス運行のほとんどを独占している状態で(一部に阪急バスや近鉄バス、阪神バス、日本城バス、北港観光バスなどがある)、2002年2月の参入規制緩和以降も、民間の参入はほとんどない(市営モンロー主義の項も参照)。大阪都構想に関連する大阪市の市政改革に伴い、府市統合本部より改革案が示され、赤字幅の大きい市バスの運行については民営化や他の交通サービス(乗合タクシーなど)への転換が検討されている。採算性のある58路線は民間譲渡などで維持を図り、不採算とされている一般バス41路線、赤バス29路線は原則廃止し、各行政区で必要性を判断するとした。しかし各区の調整が遅れたため、2012年度末に廃止したのは「赤バス」のうち26路線(3路線は存続)に留まった。また、存続した「天王寺ループ」「西淡路〜区役所」「長吉長原西〜瓜破西」の3路線は一般バスに組み込み、ダイヤ改正および料金の200円への値上げが行われた。その後、2013年3月31日の運行をもって赤バスは廃止となり、残留路線はそれぞれ「西淡路〜区役所」系統が11号系統(東淀川駅前経由の便は途中の新大阪駅東口までは11A号系統)、「天王寺ループ」は68号系統、「長吉長原西〜瓜破西」系統は出戸バスターミナルを境に16号系統と66号系統に分割され(ただし一部の便を除きこの2系統は連続運転)、一般系統として同年4月1日から運行していたが、このうち68号系統は1年後の2014年4月1日で廃止され、また同日には66号系統も14号系統に統合され(統合により14号系統の一部区間で経路を変更している)事実上廃止された。これにより16号系統は連続運行を終了した。乗降方式は後乗り前降り(旧赤バス用車両は乗降口併用で前側一箇所)。一般バスの乗車料金は、乗車距離にかかわらず1乗車大人210円均一。小児(小学生以下)は110円。1歳以上小学生就学前の幼児は、料金を支払う人1名につき、2名まで無料、3名以上は小児料金を支払う。1歳未満の乳児は無料である。2014年4月1日よりバス-バスの乗継およびバス-地下鉄の乗継は各種カード乗車券(PiTaPa・ICOCAなどのICカード、レインボーカードなどのスルッとKANSAIカード、回数カード)利用時に限り適用され、現金利用および紙回数券利用(バス-バス乗継のみ)による乗継制度は廃止された。(バス→地下鉄【地下鉄側から100円引き】)(地下鉄→バス【バス側から100円引き】)(バス→他交通機関→地下鉄など)なお、同局では、バス利用の対価として支払う金銭等のことを「運賃」と呼ばずに「(乗車)料金」という表現で統一している。同局の料金収納機(他事業者で言う運賃箱)は、近畿地方のバス事業者としては少数派である「つり銭式」を採用しているため、事前に両替をする必要はない。従って、原則として「料金は1人ずつ」支払う必要があり、降車ドアが開いている間、その旨が料金収納機から合成音声でアナウンスされる。小児1人での利用でつり銭が必要な場合や、複数人員の乗車料金を一度に支払う場合は、運転士に申し出ることにより、運転士の機器操作で合計料金が表示されるので、その後料金を投入する。たとえば大人5人分をまとめて支払う場合、千円札1枚を使ったまとめ払いも可能である。この場合、千円札は紙幣挿入部に挿入しなければならず、(自動計数機能のない運賃箱のように)硬貨投入部に紙幣を挿入すると、故障の原因になる。ただし大阪市内でも路線バスを運行する阪急バス、近鉄バスのほか、神戸市バスなど、近隣の事業者の多くが(自動計数運賃箱や均一運賃を採用していても)両替方式である。大阪市外に発着する路線でも、大阪市内と同様、料金は大人210円均一であり、神戸市バスや京都市営バスに見られる、該当地区の均一料金を配慮した料金調整などは一切行われていない。たとえば、南海バスの堺市内均一区間の運賃は220円であり、大阪市営バスと併走する区間でも同じであるため、この区間では二重運賃となっている。一方、大阪市バスは南海バスの堺市内均一区間相当部のみを使用しても210円均一である。現金や定期券のほか、以下の乗車券類、カードが利用できる。☆マークのついた乗車券類は、バス=バス乗り継ぎ、バス=地下鉄乗り継ぎ割引が適用されるケースでは、自動的に乗り継ぎ割り引き料金が適用される。なお、以下は主要なものであり、各々の詳細は大阪市交通局の記事か、大阪市交通局の公式ホームページなどを参照されたい。PiTaPa専用の申告制割引制度。あらかじめ定期券発売所やインターネット(ピタパ倶楽部)で「市バスプラン」の利用を申請すると、バス全線1ヶ月定期料金(2キロ未満7,560円)が支払い上限額となる。1ヶ月の利用料金がそれ未満の場合、利用額割引「フリースタイル」の割引額計算式で計算された割引後料金が引き落とされる。利用者のメリットとして、インターネットでも申請できるため、ネット環境があれば定期券発売所に出向く必要がなく、また利用が少なかった月は定期料金よりも支払い金額が少なくなる、乗り継ぎ割引などをうまく使えば、利用額の抑制ができる点などがあげられる。また、交通局のメリットとしては、定期券発売所の混雑緩和、定期券発売コストの抑制などがあげられる。「地下鉄+バスプラン」もある。「利用額割引」については大阪市交通局#PiTaPaによる割引の記事を参照。ループ系統とは、片側一方通行の起終点を持つ系統のうち、起終点を同じ停留所としている系統のことである。循環系統とも呼ばれる。系統数が多く、さらには行き先、経由地によって細分化されている。そのため利用者には複雑でわかりにくい一面もある。系統番号の表記については、2002年の改編時に従来のゾーンバスシステムによる「幹線1号系統」「支線1号系統」といった区別があったものを、大きく番号を変えない形で幹線・支線(および特、幹臨等)の区別をなくした。旧・支線1号系統(甲・乙・甲A・乙A)の場合、「1A号系統」〜「1D号系統」というように、末尾にAやBを付けて「1号系統」になった旧・幹線1号系統と区別した。また、従来どおり同一系統の区間便でも同じように末尾にAやBを付けている例もあり、これらのケースが複合した系統番号も存在する。本数毎に幹線系統・フィーダー系統・地域系統・コミュニティ系統に区分されるようになり、一般系統においては路線図で表記を変えている。開設・廃止日については大阪市交通局百年史(大阪市交通局 2005年)P.242・243ほかも参照。大阪市営バスでは、かつては(概ね1970年代後半頃まで)ダイヤ管理は営業所ではなく操車場で行っていた。運転手は、操車場で初めて自分が担当する便を知らされていた。このような仕組みを総合操車制と呼んでいた。このため、総合操車制の実施当時は実質的に全部の営業所が全系統を担当していたため、担当営業所と言う概念はなかった。また、乗務員も他の公営バスや民営バスで一般的な、営業所に配属される方式ではなかった。この総合操車制は、バスが遅延した場合は遅延先に最も近い営業所から代走を送り込んだり、逆に遠く離れた営業所から車両が応援に入りやすいなど、直ちに対処しやすい利点はあったものの、逆に前述にある通り実質的に全営業所が全系統を担当していたことから、乗務員は大阪市営バスの全系統の経路や全営業所および全停留所の位置などの熟知を必要とし、結果的に乗務員の負担が大きく生じてしまうと言う欠点もあった。総合操車制廃止後は、ダイヤ管理は営業所で直接行うようになり、運転手も営業所所属の形態に変更されたものの、総合操車制の名残りで長らく各系統の担当営業所を正式に定めておらず(現在では公式サイトや、地下鉄駅およびバス営業所で配布している「市営交通のご案内」において、営業所別担当路線図や担当営業所一覧表が掲載されるようになった)、1つの系統を複数の営業所で担当するケースも多数あった(早朝・深夜の数便程度のみ担当する営業所もあった)など、公営バスの中ではかなりの臨機応変な運行操車を行っていた。その後、2014年4月1日のダイヤ改正より、一旦は原則として1つの系統は1営業所専属で運行するようになったが、同年9月21日のダイヤ改正で98号系統が鶴町と酉島の2営業所の担当、2015年4月1日のダイヤ改正で60号系統と88号系統が中津、鶴町、酉島の3営業所、36号系統、53号系統、97号系統が中津、酉島の2営業所の担当となった。同年秋以降は再び複数の営業所で運行される系統が増えている。廃止各営業所の配置車種には一部の例外も存在する(九条・春日出の電気バスはいすゞ)。各路線の詳細は営業所記事も参照のこと。大型・中型は国産4車種(いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックス(旧:日産ディーゼル)製)が入り、かつては営業所毎に車種もほぼ統一されていた。また、西日本車体工業(西工、NSK)のボディを架装した車両も多く存在し、営業所によっては、西工架装車で統一した営業所も存在した(守口、春日出→酉島など)。しかし、2002年の路線再編や大阪運輸振興への委託などで車両が転属するなどしたため、統一性は崩れてきている。また、購入車種もバス製造メーカーの業界再編や入札方法の変更などもあって年度ごとに変わるようになり、その傾向が強くなった。いすゞ・エルガや同型の日野・ブルーリボンII(ジェイ・バス統合車種)、日産ディーゼル・スペースランナーRA(およびそのOEMである、三菱ふそう・エアロスター-S)の導入が特に目立っている。また、AT車の導入にも積極的で、近年投入の車両についてはMT車の設定しかない車種を除き、全車両がATを採用している。行先表示機(方向幕)については幕式の車両が多数を占めているが、2006年投入の一部車両からLED式が採用され、2008年以降投入の車両は全車LED式が採用されている。ただし、2010年現在で、幕式からLED式に改造された車両は存在していない。バスチャイムは、1991年度投入の車両より、従来のブザータイプを改め、「ウェストミンスターの鐘」のメロディチャイムを採用している。2012年以降に導入の三菱ふそう・エアロスターのみチャイムを改め、2打音タイプ+音声案内を含んだものとなっている(日野・ブルーリボンシティハイブリッドや赤バスから転用した日野・ポンチョは従来どおり「ウェストミンスターの鐘」のメロディチャイムが使用されている。また、エアロスターでも「ウェストミンスターの鐘」を継続使用している車輛もある)。また、1991年度に導入された車両より、エアサスペンションを用いた車両に切り替えられ、順次リーフサスペンションの車両を置き換えていった(2002年に終了)。なお、大型短尺車や中型長尺車については、現在導入はされていない。最終便については、幕式車両については赤色のランプを点灯(終車灯)、LED式については行先標示の後に「終」マークを表示する(側面については系統番号の右横に)。また、赤バスについては、小型ノンステップバスオムニノーバ・マルチライダーが導入されたが、2004年度購入の車両については、メルセデス・ベンツT1Nとなり、車内の半分はワンステップと後退した。なお、2012年4月からは、従来の車輛に加え、日野・ポンチョが導入された。この車両は2013年の赤バス廃止後は塗装を変更して一般路線バスに使われている。ワンマンカーの場合、1997年にノンステップバスが導入されるまで、一部の例外(ビジネスバスなど)を除き、全て前―後扉方式に統一されていた。その他に、大阪市営バスの車両には特徴が多く見られた。客席については1990年から2000年ごろまでバケットシートが採用され、座席配置も横向きを取り入れるなど工夫がなされていた。また通常フロントバンパー両端に設置されているフォグランプが大阪市営バスでは省略されているのも特徴であった(1970年代までの車両にはフォグランプがあった)。外観では左後輪に巻き込み防止用のカバーを付けている。同様のものは近鉄バスや奈良交通、高槻市交通部等でも見られる。また、料金収納機(運賃箱)の自動計数機能や音声合成放送装置などはいち早く導入したほか、低公害車の導入にも積極的である。2012年(平成24年)4月1日に、保有している全車両のノンステップ化が完了している。大阪市営バスでは2000年以降、阪神地区が自動車NOx・PM法等に基づく使用車種規制特定地域に指定されたことなどから、概ね12年以内(但し、2012年度以降に導入した車両については18年に延長。)で更新している。そのため同バスで役目を終えた車両は全国の地方事業者に譲渡されて引き続き活躍しているほか、東日本大震災の支援活動として2010年度に廃車となった車両が仙台市交通局と岩手県北自動車に無償譲渡されたほか、釜石市へも無料循環バス用として守口営業所所属の2台が無償譲渡されている。また、ミャンマーなど日本国外へも輸出されている。大阪市営バスの車両には、1両ごとに局番と呼ばれる番号が付与されている。2桁の数字と4桁の数字との6桁で構成され、上2桁と下4桁の間に「-」(ハイフン)が付けられている。このような付番体系であるため20年に1度同じ局番を持つ車両が登場する可能性があるが、上記の通り現在では新造後12年程度で更新されるので2両の車が同時に同じ局番を持つ可能性はほぼない。2桁の数字と4桁の数字との6桁で構成され、上2桁と下4桁の間に「-」(ハイフン)が付けられている。大阪市営バスでは、業界に先駆けて各種の新装備や新機構を取り入れている。現在全国のバス会社で一般的に採用されている機器類も、大阪市営バスが先鞭を切ったものが少なくない。
出典:wikipedia
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