保護観察(ほごかんさつ)とは刑事政策における一施策である。犯罪者を処遇するにあたり、刑務所などの刑事施設や少年院で処遇を行う「施設内処遇」に対比して、「社会内処遇」と呼ばれる。日本においては、保護観察は、対象者の居住地を管轄する保護観察所がつかさどる(更生保護法60条)。保護観察中に守らなければならないと定められた事柄(遵守事項)を遵守するよう対象者を(主に面接によって)指導・監督し、あるいは、本来対象者自身が自ら更生のために努力しなければならない、という自助の責任を認めて補導・援護を行うことで、対象者の改善・更生を図るというものである。保護観察は、少年に対するものはもちろん、成人に課せられるものも、それ自体は刑罰ではない。常勤の国家公務員である保護観察官と実質的にボランティアである保護司が協働してその任に当たる(同法39条1項)。保護観察官は、医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知識に基づき、保護観察の事務にあたるとされている。保護観察対象者の数と比べて、保護観察官の数が圧倒的に少なく、保護観察官が直接一人一人の対象者について生活状態を把握し、指導を行うことは困難である。そのため、直接に対象者と接触し、生活実態の把握や指導に当たっているのは保護司である。保護司は非常勤の一般職国家公務員とされていて、事務にかかった実費の一部が実費弁償金として支払われるが、無給、無報酬であり、実質的にはボランティアである。時折、米国などで、「有名人が保護観察処分を受けた」との報道がなされることがある。このように「保護観察」と日本語訳される制度はプロベーション()である。日本の法務省では、保護観察をプロベーションと訳しているようであるが、終局処分を留保して指導を行うプロベーションとは、保護観察が終局処分である点において異なる。地方更生保護委員会又は保護観察所の長は職務を行うため必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、出頭を命ずることができる。また地方更生保護委員会又は保護観察所の長は保護観察対象者について「正当な理由がないのに一般遵守事項に規定する住居に居住しない時」又は「遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足りる十分な理由がありかつ正当な理由がないのに出頭命令拒否又は拒否するおそれがある時」は裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該保護観察対象者を引致することができる。1から4は更生保護法に、5は売春防止法に根拠がある。これら、保護観察対象者自身に対する処遇のみならず、引受人ら家族に対する働きかけとして、家族教室や、薬物乱用者の家族・引受人による座談会なども行われている。更生保護法では保護観察対象者が一般遵守事項と特別遵守事項を遵守することを規定している。刑法26条の2では執行猶予付き自由刑を受けた保護観察対象者が遵守事項を遵守せず、情状が重い時は執行猶予が取り消されることがある。更生保護法50条では一般遵守事項について次のように規定している。更生保護法51条では次の特別遵守事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において具体的に定めるものと規定している。同法52条と53条では特別遵守事項の変更や取り消しが規定されている。遵守事項を守り、社会の順良な一員として更生したと認められる場合には良好措置がとられ、インセンティブとしての役割を果たす。逆に遵守事項違反があった場合にはペナルティとして不良措置が取られる。1号観察には、良好措置として、良好停止や、期間満了の前に処分を終了する「解除」という措置が用意されている。良好停止や解除は、保護観察所長が決定する。一方、遵守事項違反については、保護観察所長による警告及び保護観察所長の申請に基づく家庭裁判所による更に重い保護処分(児童自立支援施設若しくは児童養護施設送致または少年院送致)がある。さらに、虞犯事由があると認められる場合は保護観察所長は家庭裁判所に通告し、新たな保護処分を求めることができる。2号観察における良好措置は退院である。本退院とも言う。保護観察所長が地方更生保護委員会に申請し、地方更生保護委員会が決定する。不良措置は、遵守事項を遵守していないことを要件とする「戻し収容」である。3号観察には良好措置は無く、不良措置のみが用意されている。不良措置は保護観察の停止、仮釈放の取消である。どちらも、保護観察所長が申請して、地方更生保護委員会が決定する。保護観察の停止は、3号観察対象者が、その所在を明らかにしないなどして、保護観察を行うことができない場合に、保護観察を停止することにより、刑期の進行をとめる(そのため、停止されている期間の分、刑期の終了日が後に延期する)効果がある。また、停止中の者と保護観察所との間に、保護観察関係がないと公的に宣言するものである。仮釈放の取消は、遵守事項違反の事実や新たな犯罪を理由として、仮釈放を取消す(仮釈放が許された期間全てについて、もう一度刑務所に入ってやりなおす)ものである。3号観察対象者は、有罪の確定判決で、刑の執行を受けた者であることから、不良措置は厳格に行われている。4号観察の良好措置は仮解除である。保護観察に付された身分や、執行猶予期間に変更は無いが、保護観察を仮に解除するものである。保護観察所長が地方更生保護委員会に申請し、地方更生保護委員会が決定する。不良措置は、刑の執行猶予取消である。保護観察所長は、検察官に申出をして、裁判所が決定をする。刑の執行猶予は、遵守事項違反だけでは足りず、その情状が重いと認められなければ取り消されない。
出典:wikipedia
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