公認会計士試験(こうにんかいけいししけん)とは、日本の公認会計士・監査審査会が毎年実施している、公認会計士になろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することをその目的とする国家試験である(公認会計士法5条)。公認会計士法の施行された1948年より実施されている。公認会計士試験に合格した者であって、業務補助等の期間が2年以上であり、かつ、実務補習を修了し内閣総理大臣の確認を受けた者は、公認会計士となる資格を有することとなる(同法3条)。公認会計士となる資格を有する者が、公認会計士となるには、公認会計士名簿に、氏名、生年月日、事務所その他内閣府令で定める事項の登録を受けなければならない(同法17条)。年齢、性別、学歴に制限はなく誰でも受験できる。短答式及び論文式による筆記の方法により行うものとされ(法5条)、公認会計士・監査審査会が実施する(同法13条1項)。短答式による試験は、次に掲げる科目について行う(法8条1項)。なお、短答式による試験に合格すると2年間は同試験の受験が免除されるがこの試験を毎年受験することも可能で合格した場合は短答式試験免除の有効期限が延長される。論文式による試験は、短答式による試験に合格した者及び短答式による試験を免除された者につき、次に掲げる科目について行う(法8条2項)。総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率が合格基準となる。ただし、1科目につき、その満点の40%に満たないもののある者は、不合格となることがある。52%の得点比率を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率が合格基準となる。ただし、1科目につき、その得点比率が40%に満たないもののある者は、不合格となることがある。なお、論文式試験の採点格差の調整は、標準偏差により行われる。短答式試験または論文式試験において免除を受けた試験科目がある場合は、当該免除科目を除いた他の科目の合計得点の比率によって合否が判定される。試験科目のうちの一部の科目について、同一の回の公認会計士試験における公認会計士試験論文式試験合格者の平均得点比率を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率以上を得た者は、科目合格者(期限付き科目免除資格取得者)とされる。当該科目については、合格発表の日から起算して2年を経過する日までに行われる論文式試験が、その申請により免除される。受験者は1989年の5735人から増減を繰り返し、2010年には25,648人となったが、2015年には10,180人(出願者)と、5年間で4割程度の水準に激減した。合格率は、2001年~2005年は8%前後だったが、14.9%(2006年)、19.3%(2007年)、17.1%(2008年)、10.5%(2009年)と大きく変動し、その後、6.5%(2011年)まで低下した後、2015年は10.3%(対出願比)となっている。合格者は、2007年には4041人にまで膨らんだが、受験者の減少と合格率が10%台になったことで2015年は1051人の合格者となった。短答式試験の合格者は、【参考】旧2次試験論文式試験の合格者は、[補足]試験制度をあまり熟知していない者が、旧2次試験合格者を含めた合格者数及び合格率のみをもって、公認会計士試験の合格者数及び合格率として表される場合があるが、この数値にはあまり意味がない。何故なら、旧2次試験合格者は、現行の公認会計士試験合格者とほぼ同義である。そのため、実質的な合格者及び合格率を測る場合、旧2次試験合格者を含まない公認会計士試験の合格者及び合格率で見る必要がある。【参考】旧2次試験2010年度では、合格率が8%を切っており、2000年以降では、旧試験の2000年に次ぐ合格率の低さとなっている。旧試験(2005年以前)では、現在の公認会計士試験に該当する旧2次試験の合格率は平均的に6~8%台で運用されていた。新試験では大量合格を取り上げて、試験が易化したと誤解されるが、実際は、一時期を除けば、受験者数の大幅な増加によって合格者数が増えただけである。そのため、一時期の合格率の上昇を除けば、現行試験が旧試験に比べ易しくなったわけではない。短答式試験受験者と短答式受験免除の受験者(前年短答式試験合格者、大学教授、司法試験合格者等)のうち、約10人に1人前後しか合格しない試験である。公認会計士となるには、二年以上の業務補助等に従事することが必要となる。業務補助等には次の2種類があり、公認会計士試験の合格の前後を問わない。実務従事については、公認会計士法施行令に委ねられており、下記の事項が挙げられている、公認会計士試験に合格した者であって、一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務補習(標準課程は3年)を履修し必要単位を収めた者に対し受験資格が与えられる、実務補修の修了試験である。公認会計士となるには、当該修了考査に合格し実務補修を修了する必要がある(公認会計士法第16条第7項)。この修了考査は、実務補習の内容全体について適切な理解がなされているかどうかを確認するとともに、職業専門家としての実務的な専門能力と適格性の確認を目的とし、筆記の方法で毎年1月に2日間の日程で日本公認会計士協会が実施するものである。注:ここでは、公認会計士試験に合格しても一般企業を含めたあらゆる職業へ就職できていない未就職者だけでなく、実務要件を満たす業務補助等に従事できない待機合格者(実務要件を満たさない一般企業等へ就職した人を含む)について扱っている。公認会計士試験に合格した者は業務補助等の期間を2年以上、かつ実務補習の修了が要件とされている。しかし、時期によっては、合格しても業務補助等に従事できない待機合格者が数多く発生することもある。 待機合格者の中には実務要件を充たさない一般事業会社や会計事務所に就職したり、生活のためにパチンコ屋でアルバイトをして生活をしている者もいるなど、公認会計士を目指す者にとっては非常に厳しい状況にあった。公認会計士協会の調査によれば、待機合格者の中でも、2008年以前の試験合格者のうち未就職者は158人、2009年の合格者(1,916人)のうち未就職者は178人であり、2010年の合格者(1,923人)のうち700人が2011年3月7日現在、求職活動中であるとされていた。しかし、2015年現在、会計士試験の合格者数が急減したことと、監査法人の退職者増加による状況の改善により、事態は大幅に改善され、希望する合格者の大半が監査法人に就職することが可能となった。ただし、今後の景気動向によっては、ふたたび就職難が問題となる可能性はある。平成14年12月17日、金融庁金融審議会「公認会計士制度部会」において、監査業界のみならず経済社会の幅広い分野で活躍することが期待されているとの考え方に基づき、社会人を含めた多様な人材にとっても受験しやすい試験制度を目指し、平成30年ごろまでに公認会計士の総数を5万人程度とすること、年間の試験合格者を2,000名から3,000名とする目標が立てられた。その方針に基づき、公認会計士・監査審査会は、2007年及び2008年度の試験において、合格基準を短答式65%及び論文式51%まで引き下げ、合格者数を増加させた。2007年度及び2008年度の大量合格に対して、監査法人は内部統制監査や四半期レビューの対応や一定の配慮から合格者の受け入れを行ったこともあり、監査法人が試験合格者の大量採用を実施した。しかし、実際の需要を上回る採用を行ったため、特に大量採用を実施した大手監査法人では人余りの状況が続いている。また、新人に対しても高い給与を支払い、重ねてリーマンショックによる経済の悪化が経営を圧迫し、監査法人自体が非常に厳しい状況にある。平成15年改正は、監査業界のみならず経済社会の幅広い分野で活躍することが期待されているとの考え方に基づいていたが、合格者の経済界等への就職は進まず、待機合格者の増加に拍車をかけていた。合格者が、一般企業ではなく監査業界への就職を強く希望する主要な理由としては、資格取得に必要な1~3年の座学研修である実務補習について、経済界等に就職すると履修がしにくいこと、経済界等に就職しても資格取得に必要な会計関連の実務経験が得られる職種に就けるかどうか分からないという心配が挙げられ、また、上述されるような監査法人の高い給与といった金銭的待遇面での差も挙げられている。公認会計士試験合格者は、監査補助を経験できる監査法人への就職を希望している。監査法人の就職活動では、実質的に需給が逆転していた2006年には、あずさ監査法人が他法人を出し抜く形で採用活動を実施、面接実施後にその場で内定を出し、内定者を宴席に招いて囲い込みを行った。2007年には前年のあずさ監査法人の行動が4大監査法人の紳士協定に亀裂をもたらし、合格発表前の採用活動が行われるようになり、そのために予想合格率により内定者を出したが、想定外の合格率上昇により監査法人は大量採用となった。2008年は監査法人トーマツにおいて、グループディスカッションが導入されるなど、選別が始まる兆候が出始めたものの、監査法人が一定の配慮から合格者の受け入れを行ったこともあり、2007年と同様の大量合格世代となった。しかし、これが2009年度以降になると状況が一変する。監査法人では、リーマンショックによる市況の変化が監査報酬のダンピングによる価格競争をもたらし、また、大量採用による人余りから採用人数の大幅な縮小にふみきった。2010年の大手監査法人の書類選考においては、大学在学合格新卒採用、又は、3年以上の職歴が暗黙の条件とされるに至っている。積極的な採用というよりは、良い人がいれば採用するというスタンスがとられており、買い手市場となっている。2007年及び2008年の合格者は、満足に経験を得ることができない中、実務要件を満たした者については人的リストラの対象にされている。また、2009年以降の世代のおいても、大量合格世代が滞留しており、満足に経験を積むことができない状態に改善の兆しは見えていない。上述の通り、2015年現在では、待機合格者問題はかなり改善されている。金融庁は、合格者の経済界等への就職は進んでいなかったこと、社会人の受験者・合格者についても十分増加していないことや、公認会計士になるために必要な実務経験を満たすことができないことを懸念して、「公認会計士制度における懇談会」を開催していた。懇談会では、2010年8月4日に中間報告書を公表し、以下の点を問題点として認識し、新たな中間資格を創設することを提案した。2010年11月15日、金融庁は「公認会計士試験合格者等の育成と活動領域の拡大に関する意見交換会 当面のアクションプランの改訂について」を公表した。金融庁は公認会計士試験制度に関する懇談会の開催を踏まえ、待機合格者を解決することを狙いとして企業財務会計士の創設を検討していた。しかし、数多くの異論が出ており、待機合格者問題が改善したこともあり、導入は見送られた。以下は、企業財務会計士に対する反対の声の例である。(公認会計士)日本公認会計士協会は「新たな資格制度の創設は、企業においても公認会計士試験合格者を含む会計分野の有為な人材を求めるという企業側の要望を反映したものと理解しており、企業側が新たな資格を必要であるかどうかは企業側の問題であって、協会側が賛同して新たな資格創設を推し進めるものではない。」として企業財務会計士の創設は反対である旨を常務理事会にて決議を行った。(「論説:新たな資格、企業財務会計士の誕生か?今国会上程予定の公認会計士法の改正案に思う」、日本公認会計士協会東京会『東京C.P.A.ニュース』No.648 2011.3)(政治家)2011年1月21日に開催された公認会計士試験制度に関する懇談会では、事務局の制度改正の説明が終わった後、東祥三・金融担当副大臣は「自前でリスクを持って、公認会計士試験を目指してやられるんだろうと推察するんでありますが、その試験さえ合格すれば何とかしてくれるというここに、日本の特徴的な部分があるんだろうと。僕は、素朴に、これ、何か違うんじゃないか。個人的には自己責任だと思う」と疑問符をつけた。(受験生)公認会計士試験制度に関する懇談会では、未就職者や受験生の声が反映されておらず、本質的な問題の解決になっていないということが委員の中から意見が挙がった。(産業界)大手製造業の人事担当役員は「財務の専門家は自前で育てている。国家資格を作って無理やり受け入れを迫られても困る」と困惑する。2011年3月11日、企業財務会計士導入を盛り込んだ公認会計士法改正案を閣議決定したが、自民党と公明党の反対で公認会計士法改正案から企業財務会計士を削除する方向で修正される見通し。日本公認会計士協会では、試験合格者の未就職問題に配慮し、実務補習所費用の無利子貸付の実施、就職サイトの運営(キャリアナビ)、監査実務の実務研修を実施している。日本公認会計士協会は複数回に渡って企業向けの合格者採用説明会を実施したが、合格者の企業に対する要求水準が高すぎ、また、企業の合格者に対する評価が相対的に低く、ミスマッチが解消されなかった。2014年頃から、これまでの待機合格者問題が解消されると、逆に公認会計士の不足が深刻な問題となった。試験合格者のもとに、複数の監査法人の採用担当者から直筆の手紙が届くことすらある。これは、会計士業務の需要が回復した一方で、過去の監査法人の過剰なリストラと試験の受験者減少にともなう合格者の大幅減による人手不足が継続しているためである。
出典:wikipedia
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