『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』(あおきおおかみとしろきめじか・ジンギスカン)は、1987年に光栄(現・コーエーテクモゲームス)から発売された歴史シミュレーションゲーム。「蒼き狼と白き牝鹿シリーズ」は、もともと1985年に『蒼き狼と白き牝鹿』(サブタイトル無し)というタイトルで発売されたものが第1作である。そのため、本項で記述される『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』(以下『ジンギスカン』と略す)は厳密にはシリーズ2作目となるが、前作をリニューアルして発売したものなので、事実上、同シリーズの第1作と同様のものとして扱われている。本項目では初代と第2作とをまとめて扱う。なお、1作目と2作目の違いについては#リニューアルにて後述するが、特記無き場合ば2作目『ジンギスカン』の内容に従って記述する。『ジンギスカン』はMSXではMSX1版とMSX2版が別々に発売された。Windowsでは、2005年にコーエー定番シリーズの一つとして復刻版が発売されている。これは、もとは2003年に発売されたコーエー25周年記念パックのVol.3に収録されていたものを単独で発売したものである。また、2007年より携帯電話版の配信も行われている。チンギス・ハーンとモンゴル帝国をメインに12世紀から15世紀のユーラシア大陸を舞台とし、その統一を目指すゲームである。本作では、オルドシステムでの子作りや絶対に裏切らない血縁将軍の重要性(非血縁将軍は反乱を起こす可能性を持っている)などが搭載され、「蒼き狼と白き牝鹿」シリーズの基本方針が定まった作品である。さらに人材捜索など、のちに『三國志』で重要になるシステムも初搭載されているが、本作では1国につき1人の将軍しか配置できず、発見される在野の人材の能力も概して高いものではない。選択できる国王が49 - 59歳と異例の高齢者ばかりなので、後継者への引継ぎが前提とされているのも珍しいといえる(もちろん、後継なしに初期国王1代での世界制覇も十分可能である。ちなみに国王が71歳以上になると寿命による死の可能性がある)。選択できる国王が4人と少ないため、「統一」「滅亡」に合わせて、国ごとに独自のエンディングのグラフィックがある。戦闘シーンが凝っていることも特徴の1つとして挙げることができ、マップは横16 * 縦10ヘックスで構成。「山」「砂漠」「海」などの難地を行軍すると、兵士が次々「脱落(減少)」してゆく。また、「弓矢隊」の間接攻撃、「歩兵隊」の伏兵などといった攻撃バリエーションや、森では「狩猟」による兵糧調達も出来る。こういった特徴のため、「防衛側」がかなり有利で、。『ジンギスカン』のシナリオは「モンゴル編(1174年冬スタート。コマンド開始は1175年春から)」と「世界編(1205年冬スタート。コマンド開始は1206年春から)」の2本である。選択できる主人公はモンゴル編がテムジン(ジンギスカンの本名)(モンゴル族)のみで、世界編ではジンギスカン(モンゴル帝国)、源頼朝(日本)、アレクシオス(ビザンツ帝国)、リチャード1世(イングランド)の4人を選択することができる。また、モンゴル編を1205年冬までにクリアした場合、金・食料・住民・特産品総数の10分の1と将軍候補(従属国統治を行っていない将軍)5人、子供5人、全ての后を世界編に持ち越してプレイすることができる(キャンペーン・プレイ)。その場合、プレーヤーはジンギスカンとしてプレイを継続することになる。なお、この「一定範囲内の地域を制覇した後に更に広大な領地の制覇を目指す」という手法は、次回作『蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史』や無双シリーズの『戦国無双2 Empires』にも引き継がれている。本作では、1年は春夏秋冬の4ターン。各ターンに本拠地では3回のコマンドを連続で実行でき、直轄地に指定している国では1回のコマンドを実行できる。コマンドを実行するたびに統率力・判断力・説得力・企画力・体力・武力といった、国王の各能力値を消費することになっている。能力値の消費は、本拠地だけではなく、直轄地での命令でも消費することになる。したがって、こまめな自己訓練でこれらの能力の回復などを行う必要があるとともに、(血縁)将軍に国を委任統治させる必要も出てくる。本作が、当時の他のコーエーの歴史シミュレーションゲーム作品と最も異なる点は内政の概念である。他のシリーズでは「開墾」「投資」などのコマンドがあり、それを選択しない限り、国力は上昇しないが、本作品では住民を「町造り」「城造り」「食料作り」「特産品作り」に配分するだけで自動的に基本的な国力が向上していく。住民配分システムは、次の『元朝秘史』にも継承された。また、住民配分の中には兵士も含まれるため、全ての住民を兵士にしたり、逆に兵士を0にして全て内政関係に振り分けることもでき、さらに金銭で傭兵を雇い、それを内政に回すなど、柔軟な国家運営が行える。上述の通り、本作では各国で「特産品」を生産することができる。これは「毛皮」、「貴金属」、「絹」など10種類あり、各国で産出するものが異なっており、基礎的な価格も異なっている。これらを売買する相手である商人はウイグル商人、イスラム商人、中国商人の3種類。それぞれ基本相場が違うため、中国商人から買った絹は倍額程度で売却が可能、など、うまく使えば大もうけが可能であるが、商人は常駐している訳ではなくその滞在確率は各国によって異なり、イギリスで中国商人と取引できる機会は限られ、日本でイスラム商人と出会えることも、やはり比較的希である。ハンドブックに曰く「絹の道」(シルクロード)である。『ジンギスカン』の戦闘シーンは横16 * 縦10マスからなる、ヘックスで構成された戦場マップで戦われる。部隊は機動力は高い騎馬、遠距離攻撃の可能な弓矢、伏兵の可能な歩兵の3種類。ヘックスは城、町、平地のほか山、森、砂漠、海と言った地形が存在し、城・町・山・森についてはそのヘックスにいるユニットに平地と比較してプラスの防御効果がもたらされ戦闘が有利になるが、砂漠と海については逆にマイナスの防御効果がもたらされ、不利となる。さらに騎馬は森と山も苦手としており、防御効果はマイナスとなっている。また山、森、砂漠、海についてはこれに進入したとき、部隊の兵士が脱落し、損害を被る。ただし守備側は全体的に脱落の度合いが少なく、森に関しては兵士が脱落する心配はなくなっている。また、部隊編成は基本的に平時において事前に行っておくべきものであるが、同種の兵については戦闘中に任意に分散・合流も可能となっている。本ゲームでは第1部隊を総大将が率いているが、双方の第1部隊が隣接すると「一騎打ち」の可能性がある。どちらかの第1部隊が一騎打ちを申し込み、相手方が受諾すれば総大将同士の一騎打ちが成立し、双方の総大将の「武力」・「体力」・「判断力」で勝敗が自動判定で争われる(ただし申し込んだ側には判定にある程度のハンデが課される)。一騎打ちを申し込まれた側は総大将の「説得力」が敵将を大きく上回っていれば一騎打ちを断ることができるが、「武力」と「統率力」が半減してしまう上、兵士の20%が敵側に寝返ってしまう。。決着はいずれかの総大将が捕縛される場合と打ち負かされるだけの場合があり、総大将が捕縛された側はそれまでの戦況に関係なくその時点で戦争そのものの敗北となる。打ち負かされた場合は即敗北とはならないものの兵士の20%が敵側に寝返ってしまう。このため一騎打ちは非常にハイリスク・ハイリターンな作戦である。一騎打ちの申し込みは双方ともに1度の戦争中に1回しかできず、プレイヤー側から申し込む場合、相対的にプレイヤー側総大将が強すぎると一騎打ちを断られたり、「弱すぎて相手になりません」とメッセージが表示されて一騎打ちが申し込めないようになっている。その他「降伏勧告」、隣接する味方国に助けを求める「援軍要求」、町から物資を得る「略奪」、森で食料を調達する「狩猟」、そして「退却」と言った「工作」が行える。冒頭部で述べた通り、本作は広大なユーラシア大陸の制覇を目標としており、プレイヤーの担当できる英雄の年齢が比較的高く、さらには血縁関係にない武将には常に裏切りの可能性があるという都合上、後継者作り、子作りは重要である。后を口説いて同衾し、子を儲ける。これが「オルド」システムである。オルドでは「強引に口説く」、「金で歓心を買う」などのコマンドがあるが、オルドにおいてもそれらコマンドを実行すると、「体力」など、主人公の能力値は消耗してしまう。なお、少なくとも4回は同衾しないと懐妊の可能性はなく、それもあくまで可能性があるのみである。誕生した子供は、男子の場合10歳になれば将軍候補とすることもできるし、子供の身分のままにしておけば国王が死亡した場合の後継者とすることができる。女子の場合は8歳になれば配下の将軍候補に嫁がせることでその将軍候補を血縁者とすることができ、その将軍候補は絶対に裏切ることがなくなる。1作目 『蒼き狼と白き牝鹿』と2作目『ジンギスカン』は前述の通り、全体的なゲーム展開や国家運営については大筋で同じ物ではあるが、グラフィックなどが強化されたほか、各所でリニューアルがなされている。1作目についてはまず戦闘画面が4×4の16スクエアと比較的簡素であり、狩猟や伏兵など各種「工作」なども存在しなかった。歩兵、騎兵、弓兵と言った兵種の概念についてもやはり1作目には存在していない。またシナリオについても、モンゴル編と世界編を通してのプレイしか選択できず、ジンギスカンとしてのプレイしか楽しめなかったのである。
出典:wikipedia
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