第一号型輸送艦(だいいちごうがたゆそうかん)は、大日本帝国海軍の輸送艦の艦級。昭和19年度(1944年)に計画された強行輸送艦で、一等輸送艦に分類された。当初は「特務艦特型」を略して「特々」と呼ばれていた。なお、一等輸送艦に分類された艦級が他に無いため、単に一等輸送艦と呼ばれることも多い。日本海軍の公式分類は種別「輸送艦」、等級「一等」、艦型名「第一號型」、艦名は「第○號輸送艦」である。日本海軍で最初にブロック工法を導入した艦型とされる。日本海軍はガダルカナルの戦いやニュージョージア島の戦いなどソロモン諸島の戦いにおいて航空優勢の獲得に失敗し、敵制空権下に海上輸送を行うこととなった。低速の輸送船は航空攻撃を受けて容易に撃退されてしまい(第二次ソロモン海戦等)、高速駆逐艦を用いた輸送(鼠輸送)では大量の物資を運ぶことができなかった。そのため、高速大量の輸送ができる新型輸送艦の開発と配備が各方面から求められていた。例えば1943年(昭和18年)3月3日のビスマルク海海戦で駆逐艦「時津風」以下護衛駆逐艦4隻・輸送船8隻を撃沈された第八艦隊は戦闘詳報の中で『高速小型輸送船(差當リ駆逐艦巡洋艦ノ改装ニ依リ)ニ依リ輸送力強化ヲ要ス』と訴えている。これらの要望に応える形で、「敵制空権下で最前線に高速補給を行う」ことを主任務とする本型が登場した。また同様の経緯で、日本陸軍と共同使用を前提としたSB艇(二等輸送艦)も開発され、最前線に投入されている。本型は1943年(昭和18年)から設計に入っている。当初は丁型駆逐艦(松型駆逐艦)の主機械を一軸に減らし、空いた部分に物資を搭載するという計画だったが、のちに輸送能力を強化した新艦型を設計することになった。本来の任務たる急速補給任務にくわえ、大発動艇と水陸両用戦車を搭載しての攻撃的運用も要求されたため、艦尾発進のためのスロープを設けることにしたのである。第一号艦は昭和18年11月5日に起工、1944年(昭和19年)2月5日、一等輸送艦・第一号型という艦種が制定。2月8日に進水、5月10日に竣工した。前甲板には自衛用の12.7cm連装高角砲を装備し、対潜装備として爆雷や水中探信儀も装備された。輸送船団と行動を共にする場合、護衛艦としての任務も兼ねることが出来た。後期艦には四式水中聴音機も装備されるなど、対潜兵装は強化されている。大発動艇などの上陸用舟艇搭載のためデリック3基を装備し、後部甲板がスロープになっている。揚陸作業の際はスロープ上からそれらを泛水させる。速力10ノット程度ならば甲標的の洋上発進可能と判明したため、太平洋戦争末期にはここに甲標的や回天を搭載・輸送した艦もあった。同様にスロープを流用して機雷敷設艦任務にも使われた。大発動艇4隻、補給物件300トンの輸送を可能としている。ブロック建造方式を採用し、生産性も考慮されていた。呉海軍工廠で建造された第一号型は、大和型戦艦1番艦「大和」を建造した船渠で二隻ずつまとめて建造され、約1ヶ月での船台工程約1ヶ月での完成を目指したという。同地では海岸に本型の実物大模型を製造し、各種の試験や実験をおこなった。46隻が計画され、21隻が建造。未成1隻。21隻中16隻が戦没した。完成後、僅かな訓練時間を経て戦地に投入され、その作戦性格上、強行輸送に投入され、二等輸送艦と共に殆どの艦が失われた。また、敗戦時の軍部の内部文書焼却で、沈没位置や最後の様子、正確な乗員の名簿、乗員の構成すら残っていないものも多い。戦後、特別輸送艦の指定を受けた艦は「輸第何号」と改称のうえ復員輸送や捕鯨に従事した。第二次世界大戦後の一時期、残存艦船の一部は艦尾のスロープを利用し、船倉に冷蔵庫を増設、中部甲板に鯨油採取のためのプレスボイラーを設置し、捕鯨母船への改装が施された。そして民間の大洋漁業株式会社(マルハ旧称)と極洋捕鯨に貸し出され、小笠原近海捕鯨に従事している。第三次にわたる戦後日本最初の捕鯨活動業績は以下の通り。なお各艦は捕鯨業務中に運搬船と合流、燃料・真水・生鮮食品を受け取るかわりに鯨肉を移載しているので、下記の全頭の鯨肉を艦内に積載したわけではない。竣工日(建造所)。戦歴と喪失原因(喪失場所)日時。もしくは戦後の様子。建造所は三菱横浜=三菱重工業横浜造船所、呉=呉海軍工廠。ある程度の戦闘力を備えた高速小型の舟艇母艦という性格の艦艇は、ほかにも存在する。日本海軍では、戦前に旧式化した駆逐艦の一部を改装し「哨戒艇(第一号型哨戒艇、第三十一号型哨戒艇)」と称していたが、その多くには太平洋戦争開始直前に再度の改装が行われ、後部にスロープが設置されて陸戦隊上陸用の大発が搭載可能となっていた。大戦中盤以降の睦月型駆逐艦も、艦尾をスロープ状にして大発動艇運用能力を高めた艦があった。アメリカ海軍でも、旧式駆逐艦や護衛駆逐艦を改装して上陸用舟艇を搭載した高速輸送艦(APD)を建造している。
出典:wikipedia
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