牡丹江市(ぼたんこう-し)は、中華人民共和国黒竜江省南東部に位置する地級市。市名は同名の河川名、牡丹江に由来する。市区人口は66万人。黒竜江省の東部の重要な商工業都市・交通の要所で、ハルビン・チチハルに次ぐ黒竜江省第3位の人口の都市。その広大な市域は牡丹江沿いの水田などのほかは8割近くが山岳部であり、原生林による林業、高麗人参やキクラゲの採取、石炭や大理石・石灰石などの鉱業なども行われている。主な経済収入は観光業と軽工業から来ている。工業は機械・石油化学など重工業のほか、紡績・電子製品・雑貨などの生産も行われているが、沿岸部の新興工業地帯に比べると国営工場が多く相対的に老朽化しており、外資もあまり進出していない。その中でも、韓国系の大宇造紙グループは省内でも有数の規模の外資系企業である。郊外では蓮花発電所で大型の水力発電が行われているほか、穆棱市には中国有数の風力発電基地がある。市内は鉄道駅を中心に碁盤目状の都市計画が行われており、近年はロシアや日本海を通じた国際交易をにらんで貿易センターや高層オフィスビル建設が行われている。市域内の綏芬河市はロシア国境の交易都市として急速に拡大している。牡丹江市が黒龍江省の対外貿易総額に占める割合は75%を超え、対ロシア貿易では中国でも最大の地位にある。市内には牡丹江大学(総合大学)のほか、医科大学、師範大学の3つの大学がある。東はロシア連邦沿海地方と接し、南は吉林省延辺朝鮮族自治州と接する。北部は黒竜江省鶏西市、西部は同省都ハルビン市と接する。市域を北流してアムール川に注ぐ牡丹江は航行が可能であり、国際河川港がある。市域東部は日本海に注ぐ綏芬河が流れる。市区の南方には鏡泊湖がある。またハルビン~ウラジオストクを東西に結ぶ鉄道(浜洲線・浜綏線)と、延辺朝鮮族自治州の図們市からジャムス市まで南北に結ぶ図佳線の交点で、近年はハルビン~綏芬河の高速道路も通っている。亜寒帯冬季少雨気候であり、冬は非常に寒く、最低気温がマイナス30度に達することも少なくない。年平均気温は3.9度。古代の渤海の領域で、寧安市渤海鎮には渤海の首都上京龍泉府の遺跡が残り、市域全体で多くの渤海墓が発掘されている。また寧安市の旧市街(旧称・寧古塔)には清代初めに寧古塔将軍が置かれ、清朝の満洲支配の拠点となっていた。牡丹江は満洲語で「穆丹烏拉(ムーダンウラー、ムーダンは曲がりくねる、ウラーは川)」とよばれ、「牡丹江(ムーダンチャン)」と当て字された。牡丹江の都市としての歴史は短く、ここ70年ほどに過ぎない。一帯は牡丹江沿いの湿地帯・原生林地帯で人家のない荒地だった。ロシアが東清鉄道を敷設した際に(旧)牡丹江駅が設置され、清の崩壊とともに多くの中国人や朝鮮人が入植し農業などを始めた。満洲事変の後、満洲国が誕生すると、満洲東部の鉱業資源・林業資源開発のため、さらに沿海州のソ連赤軍(ソ連軍)に対する将来の軍事作戦のため多数の鉄道が敷設された。その中でも重要な路線である、朝鮮に接する図們からロシアに近い拠点都市ジャムスへ向かう南北の計画路線(図寧線)と、既存の東清鉄道改め北満鉄道との交点に新駅を作り、林業・鉱工業・軍事の拠点を設ける事が企図され、寧古塔(現在の寧安市)の北方に新駅・寧北駅が作られた。これが現在の牡丹江駅である。1934年に図寧線が全通すると寧北駅付近には数千人の日本人・朝鮮人らが入植し、さらに駅周辺に碁盤目状の都市計画が行われ、1937年12月に牡丹江省が分離、寧北駅付近の市街はその省都・牡丹江市となった。牡丹江市には東部満州の拠点として関東軍が基地をおき、日本国内のさまざまな会社が木材加工・化学工業・食品などの工場を進出させたため一大工業都市として人口は急増した。また牡丹江の沿岸も日本人開拓団が多く入植した。一方、山岳部は中国人や朝鮮人による抗日部隊の拠点が置かれ、周保中らの第2路軍が活動していた。1945年8月のソ連参戦により沿海州からソ連軍の大軍が攻め寄せ牡丹江省は最前線となった。関東軍部隊は各地で壊滅、牡丹江省内にあった開拓地の日本人農民はあるいは行き倒れ、あるいはソ連軍や中国人住民らに襲撃・虐殺され(牡丹江事件)、多くの死者を出しながら朝鮮北部方面へ引き揚げ、大量の中国残留日本人孤児が発生した。牡丹江はソ連軍、そして中国共産党軍が占拠した。新中国成立後は牡丹江省はいくつかの再編を経て黒竜江省の一部となり、牡丹江市は中国でも有数の工業都市として多くの工場と移住者を集めることになった。現在、中国東北部は沿岸部と比較して経済の格差が拡大し、牡丹江市では老朽化した国営工場の閉鎖とともに多くの住民が沿岸部に流出している。中国政府はこれに対して近年、東北部の経済活性化をめざして東北振興プロジェクトをはじめている。4市轄区・5県級市・1県を管轄する。
出典:wikipedia
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