ブルガリア料理(ブルガリアりょうり、)は、ブルガリアで主に食べられている料理である。ブルガリアはバルカン山脈、ロドピ山脈から供給されるきれいな水があり、また地中海性気候から亜寒帯、高山気候まで気候変化に富んでおり、各地でさまざまな農作物が生産されている。ブルガリアには紀元前の時代からトラキア人が住んでいたが、その後東ローマ帝国、ブルガリア帝国、オスマン帝国などの支配を通じて多種多様な民族が流入し、ブルガリアの料理に大きな影響を与えている。こんにち、ブルガリアの料理は周辺諸国の料理、すなわちトルコ料理、ギリシア料理やルーマニア料理、アルバニアや旧ユーゴスラヴィア諸国の料理と類似するものが多いが、互いに少しずつ異なっている。周辺のバルカン半島諸国と共通する特徴として、ケバプチェ () やキュフテ () といったひき肉料理が豊富である。また、ヨーグルトなどの乳製品を多用するのも大きな特徴である。つぼに入れて加熱するつぼ焼き料理も多く、カヴァルマはブルガリアの代表的な料理である。また、豊かな自然環境を背景とした多種多様なハーブティーがあり、ブルガリアでは愛飲されている。ヨーグルトはブルガリアではキセロ・ムリャコ(、「酸っぱい乳」)と呼ばれる。中央アジアのステップ地域からこの地方に侵入した遊牧民のブルガール人が、ヤギの皮で作った袋にミルクをいれて保存し、発酵したものがヨーグルトの起源であるともいわれている。日本でも商標になっており、日本(のみならず世界的にも)においてはブルガリアはヨーグルトの国、というイメージが非常に強いが、ブルガール人によるブルガリア帝国の影響下にあった他のバルカン諸国でも多用される食材である。ヨーグルトという言葉もトルコ語に由来する。「ブルガリア=ヨーグルト」のイメージを世界的に広めたのは、ロシアの医学者イリヤ・メチニコフであり、彼がブルガリアを訪問した際に現地で見つけた伝統食であるヨーグルトを、長寿の秘訣であるとして、ヨーロッパ中に広めたのである。後述する冷製スープ・タラトールや、液状にした飲み物アイリャンにしたりする。タラトール () はヨーグルト、キュウリ、ニンニク、クルミなどを原材料とする冷たいスープである。ブルガリアおよびマケドニア共和国の代表的な料理で、ヨーグルトの酸味がある。ギリシャのザジキ、トルコのジャージクと類似。スィレネ () はブルガリアの代表的な食材である。シレネは羊の乳から作った、酸味のある白いチーズで、ギリシャのフェタと同様のものである。細かくしてサラダに入れたショプスカ・サラタ () や、卵料理に添えたりする他、スープに入れたり、詰め物料理に入れたり、多くの料理に用いられる。カヴァルマ () はブルガリアの代表的な料理である。肉と野菜類をトマト味で煮込んだ土鍋料理であり、上に卵やチーズが載せられている。サルマ () はブルガリアをはじめとするバルカン半島一円で非常にポピュラーな料理である。乳酸発酵させたキャベツの葉で挽肉などを巻いて煮込んだロールキャベツである。サルマとはトルコ語で「巻く」を意味する動詞サルマク (sarmak) に由来する名前で、ルーマニアではサルマーレ (sarmale) と呼ばれる。ドルマおよびロールキャベツも参照。キュフテ () はトルコ語ではキョフテ ()、セルビア・クロアチア語ではチュフタ () と呼ばれる、挽肉のミートボールで、主に羊肉や豚肉から作られる。タマネギやその他の野菜、ハーブ類、またシレネなどが入ることもある。同種のミートボールは古くから中近東や南アジア、バルカン半島地方に存在する。ケバブも参照。ケバプチェ () はひき肉を固めて焼いた細く小さなハンバーグ。そのまま食べるほか、ヨーグルトソースをかけたりする。チョルバ () はスープである。シュケンベ・チョルバ () は羊や牛のトライプを煮込んだチョルバで、こってりした味である。また、2日酔いに利くと信じられている。トルコでイシュケンベ・チョルバ () と呼ばれるものと同類だが、ブルガリアのものはミルクを入れることが多い。アルメーヴァ・チョルバ ("Armeeva chorba") は乳酸発酵させたキャベツの冷たいチョルバ、チョルバ・オト・レシャタ () はヒラマメのチョルバ、ボブ・チョルバ () は白インゲンマメのチョルバ。クルバン・チョルバ () は災いや病を避けるための生贄(クルバン)にしたヒツジで作る、羊肉ともつのチョルバである。ムサカ () はバルカン半島一円で見られる料理で、タマネギとジャガイモ、トマト、ひき肉などを炒めてから耐熱容器に入れ、乳またはヨーグルトを入れたカスタードをのせて焼いたもの。ジャガイモがよく使われるのがブルガリア風であるが、ナスやズッキーニのムサカも作られる。ピラフ () は、米に塩とバターを加えて炊いた料理である。好みでマジョラムを加える。バニツァ () は、紙のように薄いパイ生地でシレネや野菜、ライスプディングなどを包んだパイ料理である。トルコのビョレク、ギリシャのピタと似ている。メキツァ () は、ヨーグルトを加えたパン生地を揚げた小ぶりの揚げパンである。粉砂糖をふったり、スラートコを添えて朝食やおやつとして食べる。通常、二つ以上食べるので、複数形でメキツィ () と呼ぶ。ゲヴレク () はトルコのスィミットのような、ゴマをまぶしたドーナツ型のパンである。よく似たゲヴレツィ () はゴマをまぶす前に茹でるという点でベーグルに類似する。パワチンキ () は、薄いパンケーキである。蜂蜜、ナッツやスラートコを巻く他、肉や野菜のおかずを巻いて食べることもある。バクラヴァ () は西アジアやバルカン半島一円で見られる甘いパイ菓子の一つ。紙のように薄いパイ生地の間にナッツ類を置いて重ねて焼き、シロップ漬けにしたもので、大変甘味が強い。ブルガリアではバラの蜂蜜の生産が大変盛んで、バクラヴァにも蜂蜜から作ったシロップが用いられる。カダイフ () は、細麺状の生地でナッツを包んでシロップをかけた、バクラヴァに似た菓子である。ロクム () は、イランからトルコを伝わってブルガリアに持ち込まれた甘い餅のような菓子である。ハウヴァ () は、セモリナなどから作られるプディング状の菓子である。スートラシュ () またはムリャコ・ス・オリズ () は、牛乳と米のプディングである。トルコのストラッチとほぼ同じ。マレビ ("Malebi") は、牛乳と米粉から作るプディングである。トルコのムハッレビ、さらにはアラブ人のムハラビーヤに由来し、ブラン・マンジェに似ている。果物のシロップをかけて供することがある。スラドコ () は、ジャム状の食品である。ラキヤ () はブルガリアをはじめ南スラヴ諸国で見られるアルコール度数(40%~60%程度)の高い蒸留酒で、様々な果物で調製されたリキュール類の総称である。原料となる果物によって、異なる香りを楽しむことができる。その起源はアニスを用いるトルコの蒸留酒ラクである。ブルガリアではトラキア人の時代からブドウが生産されており、良質のワイン () 産地として知られている。ワインはラキア、ビールと並んでブルガリアで最も一般的なアルコール飲料である。"も参考。"ブルガリアのビール () の代表的なブランドには、スタラ・ザゴラで製造されるアリアナ ()、ザゴルカ ()、シュメンのシュメンスコ ()、プロヴディフのカメニツァ () などがある。アイリャン(、またはアイラン)は甘味のないヨーグルトを冷たい水で薄めて液状にした飲み物で、トルコから持ち込まれたものである。ヨーグルト本来の酸味があり、食事のときによく飲まれる。ブルガリア料理には比較的こってりした肉料理が多く、さっぱりした酸味のあるアイリャンとの相性はとてもよい。ボザ () は甘酸っぱく、どろっとした飲み物で、ライムギや小麦などを煮立てて発酵させた飲料。ブルガリアの甘酒のようなもの。ブルガリア人でも好みが分かれる。トゥルスコ・カフェ () はトルコ式に淹れたコーヒーである。ハーブティはビルコフ・チャイ () と呼ばれ、様々なハーブ類を産出するブルガリアでは非常によく飲まれる。
出典:wikipedia
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