観光バス(かんこうバス)は、観光を主目的としたバスの総称。団体での貸切運行を行う貸切バス(かしきりバス)や、乗合バスによる定期観光バスがある。ここでは、特記ない限り、日本国内の観光バス(道路運送法に規定される「一般貸切旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)または特定バス(道路運送法に規定される「特定旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)について記述する。日本においては、一般的に路線バスや高速バスと違う車体の車輌を用い、日数・時間・距離などに応じて1台ごとに貸切料金を得る方式で顧客や主催者の依頼に応じた行程で運行するもので、次のような特徴がある。乗降口が前方の一箇所で、座席が進行方向を向いているものが多い。車椅子などを収容するために中間部や後部に別の出入り口やリフトを備えるものもある。非常口は出入口と反対側側面の後方(日本では右後方)についているものが多い。乗降口ドアは近年は自動ドアが一般的で、折戸は少なく、外側へせり出すスイングドアが多い。高速走行、長距離走行のため、座席や足回りが豪華に作られ、疲労が少なくなるようにされている。ただし、独立座席の夜行高速バスよりは狭い。内装はかつて、豪華なシャンデリアやモケット生地などを多用して華やかに仕上げ、各事業者が趣向を凝らした内装を特注するといったこともあったが、近年は華やかさよりもコストや実用性が優先される傾向が強く、メーカー標準仕様の内装をそのまま採用する事業者も多くなった。とはいえ、伝統的な内装を重視する事業者や車両サービスに力を入れる事業者では、新規納入車両であっても豪華な内装に仕上げられていることがある。車両の後部(あるいはすべての座席)をサロンとして座席を回転させ、向き合える空間にしてある「サロンカー」がある。飲み物などが置けるテーブルが設置されているものもあり、最近は少ないが、麻雀卓を設置し、走行中に麻雀ができるものもあった。畳敷きのものもあり、キャンピングカーのような車もある。なお日本では法規上、バスに寝台を設置することができないので、交代乗務員の仮眠室を除き寝台付きの営業用観光バスは存在しない。一時期、大阪の中央交通がヨーロッパで採用されていたフランス製の二段ベッドにコンバート出来る座席を備えたネオプラン車を導入し、自社ツアーで運行したことが有る。主に大型車、中型車、小型車の3タイプで、それぞれにスタンダードデッカー、ハイデッカーがある。さらに大型車にはスーパーハイデッカー、ダブルデッカーもある。大型車は、車体幅2.5mで全長11mから12m、40~60人乗り程度が多い。座席は最大で12列になるが、同じ車体で11~10列の座席を配置し間隔が広いく足元のゆったりした車もある(定員40~50名程度)。補助席をなくし、座席が左右にスライドするものもある。また、高速バスに多い3列シートのものもある(定員28~36名程度)車種は三菱ふそう・エアロエース、日野・セレガ、いすゞ・ガーラ、日産ディーゼル・スペースアロー等がある。中型車は、初めから中型観光バスとして設計された車種のほか、大型車の全長を9mに短縮した仕様もある。前者は車体幅2.3m程度で全長9m、30人乗り程度が中心である。かつてはハイデッカーも製造され、車種は日野・メルファ、三菱ふそう・エアロミディMK、いすゞ・ガーラミオがあるが、最近では快適性・居住性などの理由から導入は少なくなっている。そのためハイデッカーの製造はなくなり、2013年時点では日野・メルファといすゞ・ガーラミオの統合車種しか生産されていない。一方で大型車のショートタイプについては、近年ではこれを中型車として取り扱う事業者が多くなってきている。コチラは車体幅2.5mで全長9m、30人乗り程度が多い。車種は三菱ふそう・エアロエースショートタイプMM、日野・セレガHD-S(ハイデッカーショート)等がある。小型車(マイクロバスともいう)は、初めからマイクロバスとして設計された車種のほか、中型車の全長を7mに短縮した仕様もある。前者は車体幅2.1m程度で全長7m。25人乗り程度が多い。主な車種は日野・リエッセがあるが、2011年で生産中止となった。後者は車体幅2.3m程度で全長7m、25人乗り程度が多い。中型車と同様にハイデッカーもある。車種は日野・メルファ7、三菱ふそう・エアロミディMJ等があるが、最近は客単価の下落によって定員の少ないバスは敬遠される傾向があり、導入が少なくなったことから2007年のエアロミディMJを最後に生産中止となった。そのため、小型観光バスについては2013年時点での国内生産はない。通常、冷暖房、マイク放送設備、テレビ・ビデオやDVDなどの音響・映像装置が装備され、車両によってはトイレ、カラオケ、冷蔵庫、湯沸かし器なども装備されている。また、少数だが電子レンジや酒燗器を装備するものもある。一部の事業者では、ビールサーバーを売りにし、通信カラオケを設置している。過去には、エレクトーンをダブルデッカーの1階席に設置し、演奏させた事業者が有りました。四国の事業者では、ダブルデッカー車両のフロント、1階席と2階席の間に、車外から見る様に大きなアナログ時計を設置していました。中型車以下の場合は運転士1名の場合や、夜行運転の場合は運転士2名だけの場合があるが、一般的に運転士1名と車掌(バスガイド)1名の構成で運行され、ガイドは車内サービス、観光案内をマイクを使って行い、車内清掃や後退誘導も行う。事故の場合や、左折巻き込みの防止の点からも保安的要素もあり運転士を補助している。多くは女性である。貸し切りの場合、団体によっては運転手のみでガイドが乗務しない場合もある。運転士は必ず大型か中型(またはマイクロ限定条件つき)の二種運転免許を所持し、道路状況の判断や渋滞回避、大きな車体を観光地の駐車場へ入れ込むなど運転者としての最高レベルの技能を要求される。多くは男性である。但し、2000年の道路運送法改正以降は原則として車掌乗務が不要となっており、近年は観光目的の運行でも運転士1名のみでのケースが増えはじめ、車体後部モニターカメラ、ワンマン運行支援システム、GPSと連動した自動ガイドシステムなどのサポート設備も次第に普及してきている。学校の修学旅行や遠足などの行事、社員旅行など、団体で貸し切っての運行が多く、拾い集めることはあっても乗客は固まって行動し、客扱いは一団となって行われる。停留所があるわけでもないので、乗り降りは路線バスに比べると少ない回数となる。また、団体の中に世話人なり幹事がいる場合、情報伝達はその世話人などを通して行うので簡単に行える。乗客が均質なことが多く、トラブルの発生は少ない。貸切(観光)バス会社は、時間・距離に応じて運賃の上限・下限を定めて各運輸局に届出ている。従って運賃は自由に決められるものではなく、上限運賃を上回ったり、下限運賃を下回ることは道路運送法違反であり、違反した場合、行政処分もある。また、貸切バスを配車できる事業者は出発地・到着地いずれかに営業区域(都道府県単位)を有する事業者でなければならなく、全国どこでも配車できるわけではない。貸切バスの勤務時間は国土交通省の勤務時間等基準告示に定められており1日の拘束時間は原則13時間以内、運転時間は2日を平均して1日当たり9時間以内でかつ連続運転時間は4時間以内と定められている。貸切バスの高速道路走行を伴う運行では先の「1日あたり9時間」に相当する乗務距離の上限は670kmと定められている。670kmを超えて運行する場合は別の運転者を用意、つまり「二人乗務」としなければならない。これは国土交通省の指針であり、バス会社別の労使協定によりこの指針よりも短く設定されている場合もある。逆に、小規模なバス会社では人手不足から一人で一日に670km以上の距離を運転するケースもある。従来は免許制で、多くは路線バス事業も展開している日本国有鉄道→JRバスか私鉄か大手専業系バス会社が貸切バス事業も行っていたが、2000年に道路運送法が改正され、バス事業自体が免許制から許可制に変わり、貸切バスを中心に異業種や新規事業者の参入が相次いだ。同時に既存のバス会社も、主として経営効率化の見地から、貸切バス事業を含むバス事業の分社化や吸収合併などの業界再編がさかんに行われている。2000年代中頃からは、折からのインバウンド需要の高まりを受け免税店や外国資本の旅行代理店を母体とする事業者の新規参入も見受けられるようになった。結果として競争が激化し、事業者の経営が不安定となり、乗務員は少ない人員による長時間勤務を強いられ、過労や賃金の低下など労働条件の悪化が指摘されている。2007年2月18日には、スキー場からの帰りの「あずみ野観光バス」(長野県北安曇郡松川村)の貸切バス(旅行会社が募集した会員制スキーバス)が大阪モノレールの橋脚に衝突、27人が死傷する事故が発生した。事故の原因としては、長時間勤務による過労からの居眠り運転が指摘されており、同社については、2006年6月に労働基準監督署から、長時間労働を改善するよう是正勧告がされていたという。この事故については、後日スキーバスを催行した旅行会社サン太陽トラベルから法外に安い運賃での運行に加え、乗務員不足状態での臨時便運行を強要されるなどのいわゆる「下請けいじめ」同然の行為を受けていたことが明らかとなった。その後、あずみ野観光バスは「ダイヤモンドバス」に社名を変更し営業継続している。2007年2月21日の毎日新聞によると、労働基準法などに違反するとして、2005年に行政指導を受けたバス会社が全国で85社に上ると報じられた。これは法改正された2000年の20社に比べて、4倍以上に増加したことになり、労働条件の悪化を伺わせる現象である。事故後バス事業者向けに各種安全対策が取られたが、その後2012年の関越自動車道高速バス居眠り運転事故を契機に旅行会社に対しても行政指導が行われ安全策の向上が図られた。しかし、2016年の軽井沢スキーツアーバス転落事故をはじめとする重大事故が相次いでいる。上記の吹田スキーバス事故をきっかけに、公益社団法人日本バス協会では、平成23年(2011年)より「貸切バス事業者安全性評価認定制度」を開始した。申請は貸切バスを3年以上営業している事業者の任意で、安全性に対する取り組み状況を協会が審査し、評価された事業者名を公表する。評価レベルは1~3の星の数で示され、星付きの認定シールをバス車体に貼ることができる。また、国土交通省は、2012年の関越自動車道高速バス居眠り運転事故発生を受けて、翌2013年に「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を策定し、事業者に対して安全を確保するための基準強化を行なった。国土交通省ネガティブ情報等検索サイトでは、過去の3年間に行政処分を受けた貸切バス事業者を検索できるほか、各地方運輸局の公式サイトでも行政処分情報を公表している。募集した客を会員として旅行会社が主催で貸切る主催旅行。出発地から目的地の観光スポットを回り、出発地に帰る、一般的な主催旅行(この場合は観光バス会社自身が主催することもある)主要な都市から観光地(例・大阪⇔東京ディズニーリゾートなど)、または都市間を昼夜行の路線バス(出発地集合→到着地解散の片道輸送)に類似した形態で運行する主催旅行。かつては高速バスに近い感覚で利用できる形態のものもあり事実上高速路線バスと同等になる場合があったが、この場合も免許の関係で貸切運行(主催旅行)の形態となり、通常の観光バスを流用しているため、高速バスよりも運賃(料金)が安く設定されていた。旅行会社の中には「高速バス」として販売している例も多く、正規の高速バスとの区別がつきにくくなっている場合があった。このため、通常の高速バスが競合により停留所の追加、減便や統廃合、さらには撤退という事態に追い込まれた。しかし事故・トラブルの多発により規制が強化され、2013年8月以降都市間のツアーバスは国土交通省の許認可を受けた上で高速路線バスに移行し、新たに都市間ツアーバスを運行することはできなくなった。同年以降は、必ず観光地・宿泊施設をセットにして運行することが必要となっている。催し物会場などへの来場客の輸送、労働者の通勤のための輸送。輸送や送迎の場合、バスガイドが付かないことが多い。後者は一社の貸切とは言っても、道路運送法に基づく貸切バス(一般貸切旅客自動車運送事業)ではなく特定輸送(特定旅客自動車運送事業。路線バス同様にバス専用車線を走行可能)として扱われる場合が多い。都市とスキー場、海水浴場などの間を結ぶ目的で運行される。路線を限定して運行するわけでなく、主催旅行に近いが、車が往復で違うなど、かなり特殊な輸送形態。
出典:wikipedia
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