チャレンジャー1("FV4030/4 Challenger 1")はイギリスが開発した第三世代主力戦車である。現在は改良型であるチャレンジャー2と世代交代している。1960年代は国際共同開発で新企画戦車開発が試みられた時期であったが、共同開発車両は新規技術投入を優先し、開発費用や量産化時点で想定される生産コストや性能面で各国のニーズに合ったものを開発、供給できない傾向を示した。結果、仏・西独共同計画はそれぞれAMX-30・レオパルト1という独自の規格に帰結し、レオパルト1からの更新時の西独・米共同計画のMBT-70は試作車輌を製作した段階で頓挫するに至った。イギリス陸軍はこと戦車開発に関しては極めて保守的であり、センチュリオンやチーフテン開発時と同様、むしろ既存の技術体系に一部改良を加えた信頼性に足る堅実な設計を新世代車両に要求した。同時期、対イラン向け輸出用戦車の計画があった。当時王制でありイギリス本国とも比較的良好な関係であったイラン向けの輸出用でシール2として開発を進めてられていたものである。当時のシール1としてチーフテンを採用していた同国は、次期主力戦車もまたイギリスに発注した。イギリスは主力戦車チーフテンをたたき台として開発を進めていたが、イラン・イスラム革命によって発足した新政権はイギリスへの発注をキャンセルにし、計画は宙に浮いた状態になっていた。結果、その計画に着目したイギリス陸軍が同計画を次期主力車両開発計画にシフトしたことによって、本車の第一世代であるチャレンジャー1の開発に繋がることになった。同時期の第三世代主力戦車のトレンドであった120mm口径戦車砲の搭載と防御力重視の車体構造は既に先代のチーフテンで先取りして実現していたため、主な改善点は動力部を含む足周りの強化、及び後述される複合装甲にあるといわれる。それ以外の車体の基本構造は基本的にチーフテンを発展させたもので、特段新しい技術は見あたらないといわれており、逆に言えば、既存の成熟した技術を採用することによって、比較的低コストで開発でき、堅実で信頼性の高い戦車に仕上がっている。砲塔前・側面装甲にチョバムアーマーと言われる装甲を採用している。チョバムアーマーとは、中空装甲内部にハニカム構造のセラミックス等を挟んでいる積層(複合)装甲の一種とされているが、詳細な材質については他の複合装甲同様に一応の軍機扱いであり、開発当事国であるイギリスから直接技術を購入しない限り開示されないのが建前である。積層装甲の特徴として通常の徹甲弾のみならず成型炸薬弾の運動エネルギー相殺にも効果を発揮する。(ちなみに、NATO加盟国による合同軍事演習の時、各国の戦車兵たちは自国の戦車が最も良いと言いつつ、「実戦では何に乗りたいか?」と問われた際に、「チャレンジャーに乗りたい」と言った戦車兵が最も多かったという逸話が生まれたのも、この装甲から来ている面が大きい)。しかし、幾つもの素材を重ねる特質上加工時の柔軟性には期待できず、それまでの戦車に多用されていた鋳造による曲面加工には向かない。従って外見的に平面で構成されていたため登場当時には、丸みを帯びたチーフテンとは対照的な新世代戦車であることを周囲に印象づけた。また、車体全面にその装甲が施されているわけではないため、湾岸戦争時などは追加装甲で対応した。またチャレンジャー1では砲塔右側面から正面にかけての部分に暗視装置が配置されており、切り欠けが有る部分には施されていない。そのため、施されていない部分の防御効果については疑問視されていた。湾岸戦争時には上記の理由も鑑み、追加装甲が施された。主な追加装甲は車体の前面とサイドスカートの改善であり、内容はリアクティブアーマーであるとされている。当初チャレンジャー1は、1987年に西ドイツで開催された「CAT '87」 (Canadian Army Trophy) と呼ばれる、NATO諸国6か国の機甲部隊が参加した戦車射撃競技会でのスコアが芳しくなかったことから、その性能を疑問視されたが、湾岸戦争時に200両近いイラク軍戦車を一方的に撃破し、5,000m離れたT-55を撃破するといった戦果も上げた事から一躍称賛が寄せられることとなった。(ちなみに、トップクラスの第三世代戦車の命中限界は約3000mと言われており、例え相手が旧ソ連製の古い戦車で有ったとしても、5000m先の目標に「命中」させる事は非常に困難である)。イギリス軍においてはすべて後継のチャレンジャー2へと交替して退役した。退役した318両がヨルダン軍に引き渡されアル・フセインの名称で呼ばれている。ヨルダンの現国王であるアブドゥッラー2世はイギリスのサンドハースト王立陸軍士官学校に在学中にチャレンジャー1の操縦や指揮運用を習っており、自分で操縦することができる。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。