『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』(クレヨンしんちゃん あらしをよぶ モーレツ オトナていこくのぎゃくしゅう)は、2001年4月21日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズの9作目。上映時間は89分。興行収入は約15億円。キャッチコピーは「未来はオラが守るゾ」。本作では20世紀、特に昭和30~40年代の高度成長期を懐古するコンテンツやギミックが多用されている。そのため、本来のクレヨンしんちゃんの視聴者層である子どもだけでなく、むしろ子どもの親に向けられた作品であるとも言える。本作のDVDのCMには俳優の阿部寛が起用され、大人の鑑賞にも堪え得る感動作であることを強調した。なお、本作はセル画とフィルムを用いて製作された最後の『クレヨンしんちゃん』映画であり、次回作以降はデジタル彩色が導入されている。本作にはテレビシリーズで原型となった回があり、監督の原は「これだけで満足すると思ったら、中途半端に、自分の中に火がついてしまって、我慢できずに映画のネタにまでしてしまった」と語っている。原型となった回「母ちゃんと父ちゃんの過去だゾ 1」(1999年9月10日放送、脚本/中弘子、絵コンテ/原恵一、演出/ささきひろゆき、作画監督/大塚正実)の内容は「懐かしのアトラクションが出来て、みんなで行くという話」で、このエピソードはビデオソフト化されておらず、原自身もタイトルを忘れており「誰か録画していたら僕に観せて欲しい」とも話している。監督・脚本・絵コンテは5作目から引き続き原恵一が担当する。物語の結末は考えず、最初の万博のシーンに取り掛かっている最中、現場の若いスタッフに「なんでこんな描写をこんなに丁寧にやるんですか?」と引かれてしまったらしい。それに対して監督の原は「うるせえぞ!やりたいからやるんだよ!」と返したと言う。また当時は社員監督(シンエイ動画)ということで、「やりたい放題が出来たと言えるんですよ。チェックが甘い会社だったんですよ」とも発言している。音楽は前々作『爆発!温泉わくわく大決戦』(1999年)でも担当した浜口史郎が登板。ラストにしんのすけが必死に階段を駆け上がるシーンがあるが、これはテレビ朝日の太田賢司プロデューサーの「敵とは戦わずに、しんちゃんが階段を駆け上がるみたいなのが良いのでは」とのアイディアを取り入れたものである。原は「テレビ局の方がそういった冒険的な判断をしてくれてうれしかった。そしてあのシーンは音楽の面の功績も非常に大きい」と感謝の旨を発言している。しんのすけの父方の祖母・野原つるが劇場版に初登場している(初代声優の北川智繪が唯一担当した)ほか、松尾銀三が野原銀之助役を演じた最後の作品でもある。子ども時代のひろしも登場している。ゲスト声優として小堺一機と関根勤が1シーン出演し、本人役で持ちネタを披露している。この出演は、関根が娘・関根麻里と一緒に映画版を見に行くほどのファンであったことと、原作者の臼井儀人がTBSラジオ『コサキンDEワァオ!』のヘビーリスナーであったことが縁である。また、原作者の番組出演の際、撮影に使われたセル画が送られている。イエスタディ・ワンスモアのリーダーであるケンを演じる津嘉山正種は監督の原によると、『ボディガード』でのケビン・コスナーの吹き替えを聞いて、凄い好い声だと思ったから出演をお願いしたとのこと。ケンの恋人であるチャコ役の小林愛については、、1999年に放送された『∀ガンダム』での声優っぽくない生々しい感じに原が惹かれたと言う。凄い逸材だなと思った原は、当時テレビアニメの『クレヨンしんちゃん』で演出を担当し、なおかつ『∀ガンダム』の演出もやっていた池端隆史にお願いし、小林愛の声が入ったテープを渡したという。原は小林愛の声が本当に大好きだったため、次回作『アッパレ!戦国大合戦』(2002年)でも春日廉役で起用している。しんのすけ役の矢島晶子は2005年の原恵一との対談で本作を劇場版の中で「一番好き」であると断言しており、本作および次回作である『戦国大合戦』の2作は別格で、「これからどうなるかわからないですけど、今のところ、あの2本を超えるのはかなり難しいだろうと思う」と語っている。2002年4月12日に初のテレビ放送が行われた。この翌週から本番組の放送枠は土曜19:00 - 19:30に移動したため、枠移動前最後の放送となった。その後、翌年の2003年にも再放送され、『クレヨンしんちゃん』アニメ15周年記念事業の一環として2006年9月29日、映画『クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』の宣伝として2009年12月18日にも放送され、これまで4回テレビ放送が行われている。また、NHKのBSアニメ夜話第3弾(2005年3月29日放送分)では本作が取り上げられた。ひろしの希望で万博を訪れていた野原一家。到着の遅いひろしを待っていると、万博に突如怪獣が接近。「万博防衛隊」である野原一家はこれに対抗し、戦闘機で万博へ向かっていたひろしは巨大ヒーロー「ひろしSUN」に変身し怪獣に立ち向かう。……という特撮ビデオを撮影していた野原一家。撮影も終了し「次は私の番」とみさえは胸を躍らせ、「魔法少女みさりん」に扮する。大人達は、子供の頃を懐かしむ「20世紀博」を満喫していた。ビデオ撮影はそのアトラクションの一つだったのだ。しかし親は遊ぶのに夢中で、かすかべ防衛隊は20世紀博の子供部屋に預けられては、毎日のように会っていた。大人達の異常なハマり方に疑問を抱く風間くんは、「懐かしいって、そんなにいいものなのかな」と不思議がり、しんのすけやひまわりも「二人ばっかり楽しんでずるい」と不満を漏らしていた。昔を懐かしむのは20世紀博内に留まらず、街中を走る古い車が増え、古い電化製品やファッションが流行っていた。ある晩「20世紀博からの大事なお知らせ」が放映される。「明日の朝、お迎えにあがります。皆さんご一緒に、愉快に過ごしましょう」という短いものだったが、それを見たひろしとみさえは突然様子がおかしくなり、夕飯も食べず、「明日に備えて早く寝なきゃ」としんのすけとひまわりを放って寝てしまう。朝になっても二人は元に戻らず、家中のお菓子を平らげてしまう。しんのすけは幼稚園のバスが来ないので、仕方なくひまわりを背負って自力で幼稚園へと向かう。道中、三輪車で幼稚園へ向かうしんのすけは、道端や公園で子供のように遊んでいる大人達を何人も見掛ける。豹変したのはひろしとみさえだけではなかったのだ。幼稚園の先生達まで遊んでいるのに辟易していると、大きな音楽を鳴らしながら街中を通るオート三輪の列が現れる。一斉にその列に集まり、車に乗り込む大人達。そこには意中の相手・大原ななこの姿があったので後を追いかけようとするしんのすけだったが、姿を見失ってしまう。しかもその中にはひろしとみさえの姿もあった。しんのすけはひまわりを背負いながら、必死にオート三輪を追いかけ、二人を呼び止めようとするが 結局見失ってしまう。大人達がいなくなったその後、かすかべ防衛隊はしんのすけの家に集まっていた。「大人達はどこへ?」「20世紀博で遊んでるんじゃない?」「わたし達捨てられちゃったの?」お腹が空いたしんのすけ達は近所のコンビニに向かうが、不良小学生達に追い払われてしまう。街には同じように、置き去りにされて途方にくれた子供が溢れていた。大人がいなくなったために街からは電気が消え、明かりの消えたしんのすけの家で、手持ち無沙汰に電灯ラジオを聴いていると、20世紀博からのお知らせが始まった。「私はイエスタディ・ワンスモアのリーダー、ケンだ」「君達のパパやママは、20世紀博で子供に戻って楽しく過ごしている」「迎えが行くが、素直に従わない子はパパやママには会わせない」子供達への迎えが罠であることを感付いたしんのすけ達は、そのまま迎えをやりすごして隠れるのに丁度いい、とサトーココノカドーへ足を運び、そこで一夜を過ごす事に。翌朝、迎えに従わなかった子供達を捕まえる「子供狩り」が始まる。追っ手の中にはひろしとみさえ、園長先生の姿もあった。ひろしは文句を言いつつも、EXPO70の部屋にいつでも出入りできる迷子ワッペンであっさり釣られてしまう。サトーココノカドーの中で追いかけっこを繰り広げるしんのすけ達。幼稚園バスを乗っ取り、交代で運転をして逃げ回る内に20世紀博に辿り着く。「このまま逃げててもしょうがないし、こうなったら大人達を取り戻そう」と突入には成功したものの、大人達に取り囲まれ、しんのすけを除くかすかべ防衛隊メンバーが捕まってしまう。「昔の匂いで子供に戻っているから、パパやママに会っても無駄だ」と衝撃の事実を知らされるしんのすけ達。大人達が「懐かしさ」に夢中になっていたのは、イエスタディ・ワンスモアの作った「20世紀の匂い」のせいだったのだ。しんのすけ・ひまわり・シロは包囲を抜け、EXPO70の部屋に入り込むと、子供のひろしが長蛇の列を前にした両親に「やだやだ、月の石見るんだ」と駄々をこねている姿だった。しんのすけは子供のひろしを、ひろしの靴の臭いで元に戻し、子供の頃や家族との思い出等といった今までの記憶を取り戻して元に戻ったひろしは、涙ぐんでしんのすけを抱きしめるのだった。次いでみさえも元に戻した野原一家の前にケンが現れ、「話がある」と地下街へ案内される。そこはいつも夕日で、昔懐かしい雰囲気。変わる事のない過去を生きる住人達がいた。一行は古風なアパートに到着する。招き入れられた部屋にはケンの恋人・チャコがいた。テレビ放映によると「20世紀の匂い」が間もなく全世界に散布されるという。これでは世界中の人々が懐かしさの虜になってしまう。「今度はもう元には戻れない。本気で21世紀を生きたいなら行動しろ」と、ケンは一度野原一家を見逃す。イエスタディ・ワンスモアの追っ手から逃げつつ、匂いを散布する装置を止めに向かう野原一家。果たして間に合うのか?『クレヨンしんちゃん』のレギュラーメンバーについては省略する。"クレヨンしんちゃんの登場人物一覧および個別記事を参照。"放映以降、ケンとチャコの消息は不明だがTVアニメにおける12番目のエンディングテーマ『全体的に大好きです。』のイラストには過去の映画に登場したキャラクターたちが存在し、町はずれのアパートに二人で暮らしている様子が描かれている。オープニングテーマには『オラはにんきもの』のカバー曲である『オラたちはにんきもの』(歌:さっちゃん&しんちゃん〈矢島晶子〉)が使用される予定だったが中止された。この曲は同作主題歌『元気でいてね』のCDのカップリングに収録されている(DVDの映像特典には『オラたちはにんきもの』と『元気でいてね』の2パターンのTVスポットが収録されている)。
出典:wikipedia
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