『キャプテン・スカーレット』(原題:Captain Scarlet and The Mysterons)は、1967年にイギリスのジェリー・アンダーソン率いるセンチュリー21プロダクションが製作し、ITCが配給したSF特撮人形劇番組である。全32話。2068年、地球防衛機構スペクトラムの火星探検隊が火星の異星人ミステロンの基地を発見し、監視カメラを攻撃兵器と誤認して基地を破壊。ミステロンは破壊された物質を復元し、不滅にする力=ミステロナイズを持っており、火星基地を瞬時に復元した後、地球人を好戦的とみなして絶滅を宣言。火星探検隊の隊長ブラック大尉をミステロナイズして地球に送り込む。地球連邦大統領の護衛に付いたキャプテン・スカーレットもミステロナイズでスパイにされたが、スペクトラムとの戦闘でロンドン展望塔から転落し、そのショックで人間の理性を取り戻す。不死身の力とミステロンを察知する力を得たスカーレットは、スペクトラムの切り札としてミステロンに戦いを挑む。本作は『サンダーバード』の全米セールス失敗の後、その次を担う新機軸として、APフィルムズから改称したセンチュリー21プロダクションとITCが企画した大作。よりアクション・バイオレンスを志向した作品として企画された。本作は月探検が落ち着いた次の興味の対象として火星に注目する事と、主人公が途中で死ぬという前代未聞の試みを主眼にした。しかし、後者はITCの社長ルー・グレイドに一蹴された。新企画は火星の敵=「ザ・ミステロンズ」を表題とし、主人公は「不死身」を具現化するため、ミステロンに改造された改造人間という設定も試みられたが見送られ、最終的に「死んでも死なない」という難解な設定に落ち着いた。ミステロンも、想像を超えた敵として煮詰めるうちに「姿を現さない」存在となった。また、ジェリーは「実際の戦争は単純な二元論でなく些細なきっかけで始まる」と考え、地球とミステロンの関係を単純なものでなく「ミステロンの地球攻撃が始まったのは、地球側が火星探査の際にミステロンの都市を先に攻撃してしまったためであり、ミステロンの攻撃を単なる地球に対する侵略と決めつける事はできない」と描いた。また本作では主人公がミステロンの攻撃を阻止できず、結果的に敗北に終わるエピソードも多く、単純な「不死身のヒーローの活躍」というものではない。従来シンプルでストレートだったアンダーソン作品において、非常に複雑な設定をもって本作は『キャプテン・スカーレット アンド ザ・ミステロンズ』として纏った。その決定においても、ルー・グレイドの却下を幾度も受けることとなった。『サンダーバード』において膨大な制作費の回収にマーチャンダイジングが不可欠であったため、本作では前作以上に玩具化を前提としたメカニックが準備され、ディンキー社やセンチュリー21トイ社で玩具化された。従来から人形劇に抵抗を感じていたジェリーは、本作で「人間に極めて近い人形」の製作を指示した。前作まで頭の内部にあったリップ・シンクロ装置を胴体に仕込み、人間に近いプロポーションを実現したが、クリスティン・グランヴィルら人形師の反発を買い、前作の功労者ジョン・ブルンダールの離脱を招いた。人形はアップに耐えるべく眼球に光彩の写真を貼り付けるまでの配慮が行われた。人形を吊るタングステン線が画面に映るのを避けるため、人形の下から操作する方法も採用された。また、ジェリーの実写志向は、第1話の世界政府大統領を「秘密諜報員ジョン・ドレイク」等で人気のパトリック・マクグーハンと契約し、彼に似せた人形を彼に演じさせることを企画したが、この構想は契約の困難から見送られた。脚本・演出は、センチュリー21グループの多角化のためアラン・パティロら実力派が抜け、新人が跡を埋めたため、APフィルム時代とは趣を異にしている。また、前作後半から強くなったスパイアクション要素が非常に強くなり、半面ゲストメカや未来描写への関心が薄れた。音楽はバリー・グレイに加え、テーマ曲をジェリーがカーステレオでたまたま聴いた主人公チームと同名のRCAコロムビアのバンド=スペクトラム(不人気に終わる)が演奏し、劇中のコスチュームを着てのプロモーション映像も撮影された。本作は成功したが、『サンダーバード』ほどの大ヒットには至らず、ジェリー自身続編を企画することなく次回作『ジョー90』へ移行することとなった。エピソードは善悪の対決よりは謎解きや、シルヴィア・アンダーソンが『サンダーバード』から盛んに入れ始めたスパイ活劇の要素が強い。ミニチュアワークを使った特撮に共通して言えることであるが、特撮を使ったシーンには登場人物が映っていないことが多く、初めからちゃんと見ていないとストーリーがよく分からなくなるということが多かった。ましてこの作品では『見えない異星人との戦い』を描いていたため、日本の子供にはストーリーを理解しにくい点が多かったように思われる。前述通り話も映像も「サンダーバード」より地味になったこと、放送時間がまた30分になったことなどから、日本での人気は今ひとつ伸び悩み、前作に続いて鳴り物入りでプラモを発売した今井科学は、会社更生法を適用されるまでに失敗した。また今井科学同様、前作に続いて玩具を販売したバンダイも窮地に陥った。このため、「バンダイ倒産近し」という「黒い噂」が流れる。その火消しとしてバンダイは今井科学の業務を引き継ぎ、自身の経営の安泰をアピールした(ちなみに元今井科学社員によるとバンダイは今井科学の倍の給料だったそうである)。本作以降、「キャラクター玩具は危ない」という認識が玩具業界に根付く。玩具業界がキャラクター玩具に力を入れるようになるのは『仮面ライダー』や『帰ってきたウルトラマン』がヒットした3年後の1971年である。なお、プラモデルが後に「サンダーバード」の名で再発売されている。当作独自の魅力として、主に了解の応答で使われる "S.I.G."(エス・アイ・ジー)が挙げられる。『海底大戦争 スティングレイ』などの以前のアンダーソン作品にも略号を用いた応答が登場していたが、日本語版製作の過程で明確に訳されなかったため、本作での使用が最も印象的である(『サンダーバード』でも「F.A.B.」が使われたが、トレーシー兄弟間でも徹底されておらず、日本語訳では、結局有名な「はい、パパ!」に落ち着く)。これは "Spectrum Is Green" の略(スペクトラム状況良し、といった意味)だが、逆に"Spectrum Is Red"( - 状況悪し)を略した "S.I.R."(エス・アイ・アール)もあり、緊急事態を知らせるときなどに使用された。アンダーソン作品のファンクラブでは本作の "S.I.G." と "Thunderbirds Are Go!" とを掛けて "Supermarionation Is Go!" と名づけた会報を発行している。なお、この応答形式は、アンダーソン作品の影響を受けることの多い円谷作品においてもしばしば採り入れられ、『戦え!マイティジャック』(1967年)では "S.M.J!"、『ウルトラマンメビウス』(2006年)では、組織名「GUYS」に因んで "G.I.G!" という形でそれぞれ使われていた。日本での本放送に合わせて、数々の特撮作品の漫画化を手がけた一峰大二により漫画化されている。なお、英国では『サンダーバード』を経由して当作が最高人気にある。人間の俳優ではなく、精巧な人形が演じる「スーパーマリオネーション」で製作された作品。ただし、前作『サンダーバード』までと違い、人形のプロポーションが本作品から七頭身、かつ細部の造詣もより精密なものとなった。これは人形のギミックの一部を頭から胴体に移したためで、マリオネットだけでなく、バストショットでは上半身のみで下から動かす人形も使っている。「サンダーバード」も映画とTVシリーズ追加分でこの技術の人形にしたため、若干スマートな人形になっている。他に目立つものとして、場面転換の演出が挙げられる。「ダ・ドン・ドン・ドドドダン!」のティンパニによるブリッジ曲に合わせて、前後の場面の映像(CM前後のアイキャッチではスペクトラムのマークと)がフラッシュバックするもので、曲のビートを生かして当作特有の緊張感を強調していた。主題歌も英語版と日本版双方でこのティンパニのフレーズをイントロに使っている。。なお、本作は近年、基本設定を踏襲してジェリー・アンダーソン自身により、フルCGアニメ化された。これについては新 キャプテン・スカーレットを参照。本作は前作『サンダーバード』で詳細な設定を伴わずに製作され、後に『アニュアル』(センチュリー21社発行の豪華本)でフォローを行った反省から、設計年代、製造費用まで詳細な設定が行われている。しかし、劇中ではほとんど言及されていない。主人公側防衛組織「スペクトラム」では、幹部構成員は色にちなんだコードネームで呼ばれ、コードネームに準じた配色の制服(ベスト・制帽・ブーツ)を着用する。乗用パトロール車も色分けにする予定だったが実現しなかった。これは、前作『サンダーバード』で国際救助隊制服の襷にパーソナルカラーを持たせたことの更なる発展であり、先の項目でも述べられているように、。。日本では、1968年1月2日から同年8月27日までTBS系列局で計35回(全32話および再放送3回)が放送された。森永製菓の一社提供。放送時間は毎週火曜 19:00 - 19:30 (日本標準時)。1971年7月から同年9月まで行われた東京12チャンネル(現・テレビ東京)での再放送(木曜 19:30 - 20:00)時には、タイトルが「宇宙大戦争キャプテン・スカーレット」に変更されている。2012年4月からはスーパー!ドラマTVで完全版が放送されている。日本では以下の小学館刊の雑誌に連載されていた。このほか、集英社刊の月刊誌『少年ブック』にも旭丘光志の作画で連載された。
出典:wikipedia
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