特殊警備隊(とくしゅけいびたい、Special Security Team:SST)とは、海上保安庁に所属する特殊部隊。一般の海上保安官では対応が困難なシージャック、海上テロへの対処、不審船・容疑船に対する臨検、船舶内で発生した暴動の鎮圧、海賊対応等重要な海上警備業務を行う。通称「SST」と呼ばれている。日本語の部隊名称を略した「特警隊」は、海上保安庁では特別警備隊を指すためSSTには使われない。SSTは主に海上テロ事案、シージャック事案、海上犯罪、爆発物処理などに対処する目的で編成された海上保安庁における最精鋭部隊で、第五管区大阪特殊警備基地を本拠地とする。また海上テロ事案だけでなく、マラッカ海峡等における海賊対応や、一般の海上保安官(特別警備隊も含む)では対処が困難な事案(不審船事案・船内での殺人事件・密航船・密輸船制圧、船内で発生した暴動の鎮圧等)にも対処する為一般の保安官よりも優れた判断力、知性、体力、特別な死生観が必要とされる。特殊警備隊は、一般の保安官とは比べ物にならない厳しい潜水訓練、武道訓練、レンジャー訓練、ヘリコプターからの降下訓練等を実施し、24時間体制でテロやシージャックといった海上における特殊警備事案の発生に備えている。また、特に都市圏のエネルギー関連施設や原子力発電所など、海に面した重要な施設がテロの標的となることも考えられ、このため特殊警備隊はいかような事態でも対応できるように様々な訓練を行っている。また、アメリカ海軍特殊部隊のSEALsとも訓練を行っている。SSTは1985年に創設された「関西国際空港海上警備隊」と、1992年のプルトニウム輸送船護衛のために設置された「輸送船警乗隊」が前身となっている。なお輸送船警乗隊は、MP5および64式小銃を装備し、アメリカ海軍の「SEALs」から技術指導を受けた特殊部隊であった。1995年に「地下鉄サリン事件」などのテロ事件が発生したことを受け、海上保安庁は海上におけるテロ事件に対処するため、本格的な特殊部隊の創設を計画した。その結果、同種の部隊を統合して運用することが効率的であったことから、1996年5月11日に第五管区海上保安本部大阪特殊警備基地が設置され、海上警備隊と輸送船警乗隊が統合し特殊警備隊 (SST) に再編された。SSTはテロリストなどに占拠された船舶や、麻薬密輸船に対して、ヘリコプターからファストロープなどを用いて降下し、制圧を行う。また閉式潜水器具等を使用して、海中から船舶への突入、制圧を実施する。隊員は主に警備実施等強化巡視船に配備されている特別警備隊か、救難強化巡視船の潜水チームの隊員から選抜された選りすぐりの若手海上保安官で編成されており、リペリング技術のほか、海中からの秘匿突入などの技能を有する。又、狭い船内での近接戦闘の技能に優れていて、ブリーチング(ドアを破壊することによる室内突入技術)は世界の特殊作戦部隊と同レベルにある。警察の特殊部隊 (SAT)と同じく、部隊についての情報は著しく制限されているが、2001年9月に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降は、部分的であるが、訓練の様子等を報道陣に公開しているが、未だに厚いベールに包まれた特殊部隊である。各隊には朝鮮語等の語学のスペシャリストや救急救命士等の専門隊員が配属されている。また、7個の特殊警備隊のうち2個はそれぞれ化学兵器防護、爆発物処理の専門チームである。SSTは出動命令を受けると、関西空港海上保安航空基地から固定翼機(サーブ 340B)を使用して、現場近くの航空基地に移動し、そこから航空基地所属のヘリコプターに搭乗して現場に向かい、直接または巡視船を経由して、対象となる船を急襲、制圧する。乗り込む方法は、ヘリコプターからのリペリング降下のほかに、強行接舷による移乗や閉式潜水器具を使用しての水中強襲も行う。関西空港海上保安航空基地に配備されているサーブ340BとEC225LP(ヘリコプター)は、通常業務のほか、SSTの移送を考慮した装備となっている。事案発生の際には、巡視船やヘリコプターとの連携が不可欠であるため、普段は大阪特殊警備基地での訓練の他に、全国の海上保安本部に出向き、巡視船員やヘリコプター乗員との連携訓練を行っている。部隊の標語は、「常に備えよ」上記以外にも、様々な装備品を保有している。また、事案発生の際には、海上保安庁が保有する巡視船や航空機と連携して迅速に作戦を展開する。
出典:wikipedia
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