野生児(やせいじ、feral child)とは、なんらかの原因により人間社会から隔離された環境で育った少年・少女のこと。野生人(やせいじん、feral man)とも。特に狼に育てられたと伝えられる事例は多く、wolf child(日本では狼少年、狼少女、狼っ子(おおかみっこ))といわれる。野生児には次の3種類がある。それぞれの代表例として挙げたアマラとカマラ、アヴェロンの野生児、カスパー・ハウザーについては資料が比較的しっかりと残っており、野生児の研究ではよく取り上げられる。ただし動物が人間の子供を育てるのも、子供が動物の乳を消化するのも科学的にありえないことであり、「動物化した子ども」のカテゴリーはアマラとカマラを含め大半の話が捏造である(実際は発達障害等のため捨てられた「孤独な子ども」を動物と結びつけた創作話)というのが定説となっている。野生児の事例はこれまでに多数報告されている。動物に育てられた子どもの話は神話・伝説の中にも見受けられ、例えばローマ神話においてロームルスとレムスは狼によって育てられたとされる。社会心理学者のルシアン・マルソンは、1344年発見のヘッセンの狼少年から1961年発見のテヘランのサル少年まで53のケースを表にまとめており、人類学者のロバート・ジングも35のケースについて解説を行っているほか、31人について各々の野生児の特徴をまとめた総括表も作成している。しかし、古い事例では信頼性のある詳細な記録が残っていない場合が多く、ロバート・ジングは「ミドナプールの野生児(アマラとカマラ)が、これまで(1942年頃まで)に蓄積された記録のうち科学的資料として認められる唯一の例」だとしている。ただし、アマラとカマラの事例についても、その真実性には議論がある(アマラとカマラの項目を参照)。また、野生児だと思われていた事例が、後にそうでないと発覚したこともある。1903年に推定12~14歳で捕らえれ、類人猿に育てられていたとされていた南アフリカのひひ少年リューカスは、ロバート・ジングによってつくり話だと指摘された。また、1976年5月にブルンジで発見され、猿と一緒に4年程度生活していたとされる少年は、1978年に心理学者のハーラン・レインによってそうではないことが判明した。野生児が発見・保護された場合、後述するように社会性を失い痴愚的な状態となっているため、人間らしくするための教育が行われることが多いが、ほぼ完全に人間らしさを取り戻した事例は少ない。比較的回復に成功したと考えられるケースとしては、カスパー・ハウザー、小ターザン、ソグニーの少女、隔離児イザベルなどが挙げられる(主な事例の節を参照)。保護された野生児を教育しなおす場合、「動物化した子ども」「孤独な子ども」のケースでは動物との生活や野生での生活で身につけた習慣・条件付けを除去しなければならないが、「放置された子ども」のケースではその必要性はないため、孤立の期間が短ければ回復できる場合が多い。野生児の事例は、「人間の幼少期に覚えた習慣は恒久的なものとなる」「発達初期段階に社会との接触が得られないと、その後の社会化が困難になる」といったことの根拠としてしばしば用いられる。もともと野生人という概念は生物学者のリンネが著書『自然の体系』において初めて科学的に扱った。リンネは野生児ピーターやクラーネンブルクの少女、ソグニーの少女などの実例をいくつか挙げ、野生人の特徴としての3つを指摘した。このうち3つ目の多毛という特徴は妥当でないことがわかっている(多毛であると報告された野生児の事例の方がわずかである)。ただし、正常な歩行が困難・音声言語を持たないという特徴は多くの事例に適合する。このほかに、野生児にはといった特徴がしばしばみられる。野生児が発見・救出されたあとは、共通して痴愚的な状態となっているが、このことからもともと野生児たちは知的障害児あるいは自閉症児であり、だからこそ親に捨てられて野生化したのだと考える人もいる。実際にディナ・サニチャーの事例などは先天的な白痴であったと考えられている。しかし、救出されたのちにほぼ完全に知的に回復した野生児の事例も存在するほか、「何人かの野生児は野生で生き延びるための手段・技能を自力で開発しており、先天的な知的障害であればそういった知恵が働かなかったはず」という反論もある。数字は「野生児の分類」に準じる。神話伝説にも動物に育てられた子どもの事例は数多い。ギリシャ神話では、以下のような例がある。など、他にも似た例が多い。また、ローマ建国の英雄とされるレムスとロームルスは雌狼の乳で育てられた。
出典:wikipedia
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