ドラグノフ狙撃銃(ドラグノフそげきじゅう、英:Dragunov sniper rifle、露:、SVD)は、ソビエト連邦が開発したセミオート狙撃銃である。ソビエト連邦では、帝政以来一発必中の狙撃が重視されていた。そして、第二次世界大戦時にモシン・ナガンM1891/30を使用した市街戦における狙撃手の有効性が確認されたため、1950年代、ソ連軍指導層は、小隊規模での選抜射手と対応するセミオート狙撃銃が必要であると考え、後継機種を兼ねた選抜射手専用ライフルの採用デザインコンテストが行われた。セルゲイ・シモノフ、アレクサンドル・コンスタンチーノフ、エフゲニー・F・ドラグノフの三人の銃設計者がそれぞれ試作品を提出し最終的にドラグノフ設計の試作品であるSSV-58が選ばれ、1963年に制式採用された。西側諸国のセミオート狙撃銃と比較して細身で、軽量化や運搬性向上のために銃床は中央部に大きな穴を空けた、スケルトンストック型の直銃床である。銃床上部にはスコープを使用した際の照準を容易にするため、着脱式のチークピース(頬あて)を装着できる。作動方式はガス圧利用方式で、銃身上方に平行にして取り付けられているガス・シリンダーへ銃身中央部に位置する小さい穴から発射ガスの一部を誘導し、ガス・ピストンを起動させる。ピストンの動きをオペレーティング・ロッドを通じてボルト・キャリアーに伝え、ボルトを作動させる。長期的な酷使を前提としてAK-47を参考に作られたために部品数は少なく、頑丈で信頼性が高い。しかし、AK-47とはガスチューブの形状などが異なり、部品に互換性はない。また、AK系突撃銃とは異なり、オペレーティング・ロッドとボルト・キャリアーを別部品とするショートストローク方式を採用しているが、ロッキング方式はAKと同様にボルト・キャリアーの前後動作に同調して回転するロータリー・ボルト方式である。弾丸は、モシン・ナガンM1891/30やカラシニコフ汎用機関銃と共通の7.62x54mmR弾(Rは「Rimmed(リムド)」もしくは「Russian(ロシアン/ラシアン)」の略)を使用するほか、精密射撃には狙撃用の7N1や後継の7N14も使用できる。ガスシステムは腐食を防ぐため、クロムメッキ処理されている。公称上の最大有効射程は800メートル程度とされるが、遠距離の精密狙撃能力よりも、市街地(100-400メートル)での速射性を優先した造りとなっている。アメリカ陸軍が使用しているM24 SWS(レミントンM700の軍用版)などの狙撃銃は、光学照準器の使用が前提で金属製照準器が省略されている(アイアンサイトを取り付けるベースが有るため、装着は可能)が、ドラグノフには1,200メートル程度まで対応可能な照準器が備えられており、近距離での照準や光学照準器が破損した場合に使用される。こうした特徴から、ドラグノフは選抜射手が用いるマークスマン・ライフルに近い性質も持つ。光学照準器(PSO-1)も付属し、サイドレール・ブラケットへ容易に取り外しできる。ロシア軍では、AK系の有効射程の短さと連射時の命中精度の低さを補う目的で分隊ごとに1丁のドラグノフが配備され、それぞれの有効戦闘距離を、AK系は300メートル、SVDは600メートルと想定している。初期生産である200丁を除き、1964年からイズマッシュ社によってライン生産される。ワルシャワ条約の関係上、東側国家を中心に多くの国で採用され、また、親ソ連の第三世界諸国にも多数供与された(詳細は運用国の項を参照)。後に木製部分を黒塗りのポリマー素材としたものが標準仕様となり、特殊部隊用に透明素材を用いたものもある。イズマッシュ社からは反動の軽減などを図った近代化モデルが発売され、ロシア軍もこれを採用したが、従来の設計のままでは精度を向上させることが難しいため、1998年よりボルトアクション方式のSV-98 狙撃銃が製造されている。ここで紹介するのはドラグノフ狙撃銃の発展型であり、AKをベースにしたマークスマン・ライフルや狙撃銃の類は紹介しない。日本では民生向けモデルが猟銃(ライフル銃)としての取得が可能であり、イズマッシュのタイガーは所持許可の実績もある。用途は狩猟目的に限定され、弾倉の装填数を5発以内にする改造、ライフル銃取得に必要な資格(狩猟免許など)および適当な経歴を要する。なお、ほかの軍用狙撃銃をベースにした民間向きライフルも、日本では上記の条件が通れば所持は可能ではあるが、ほとんどが弾庫の脱着機能を備えたものであり、審査が通らず、所持できないケースがほとんどである。東側諸国を代表する狙撃銃として、多くの作品に登場する。
出典:wikipedia
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