リアクションホイール()は、フライホイールの一種であり、主に宇宙機の角運動量を変化させるのに用いられる。リアクションホイールはロケットやジェットを噴射せずに宇宙機の方向を変化させる姿勢制御装置の1つである。特に望遠鏡が特定の星を捉えるように保つ場合など、少しだけ宇宙機を回転させるのに用いられる。この操作によってもロケット燃料などを消費せずに済む。原理的には簡素に言えばリアクションホイールの内部のコマ(フライホイール)の回転数の変動の反作用によって宇宙機にトルクを与えることで宇宙機の回転を制御する。ゼロモーメンタム方式による3軸安定方式を採用した宇宙機の質量を中心とする自転運動を回転、または静止させるための姿勢制御だけが可能であり、直線加速度を加えて宇宙空間を移動させる軌道制御は行えない。宇宙機でのリアクションホイールは、姿勢制御の自由度を確保するために多軸構成になることが多い。1つの回転軸に対して、1つのフライホイール(円盤状のはずみ車)を電動モーターで回転駆動する。宇宙機の角運動量をフライホイールの角運動量へ移して保存することでリアクションホイール以外の機体部分の角運動量を調節する。一般にフライホイールは電動モーターと一体として作られる。フライホイールの加減速と回転数検知はすべて電気的に行われ、コンピュータで精密に制御される。リアクションホイールの回転速度の上限値は主に回転軸のベアリングの耐久性によって決まり、回転体の質量と角速度の積から制御可能な角運動量の最大値が定まる。多軸構成の場合、駆動回路がリアクションホイールごとに備わるものと1つの駆動回路部に集約されているものがある。宇宙機は自転に対して3軸方向の姿勢制御が求められることが一般的であり、この場合、3軸3基、または4軸4基のリアクションホイールが搭載されることになる。3軸3基の構成では、直交する X,Y,Z の各軸に対してそのまま3基が配置され、通常は各軸周りの運動に対してそれぞれ1基のリアクションホイールが対応することになるが、プログラムによって1軸の故障時に残る2軸でもモーメントの合成によって姿勢制御が可能となる。4軸4基の構成では、4軸すべての軸方向が互いに直交することなく斜めに交差しており「フォー・スキュー」と呼ばれる。4軸4基は3軸3基よりも冗長性がある。リアクションホイールは宇宙機の角運動量をフライホイール内に蓄えるだけなので、宇宙機の重心に無くとも完全に機能する。しかし、回転によって振動が生じるため、その影響を小さくできる重心近くに置かれることがある。太陽からの放射光が生み出す力である太陽輻射圧のようなものが宇宙機に当り、それを受ける面が重心に対して偏りがあり続けるときには、機体を回転させる外力となる。このようなモーメントは微小でありリアクションホイールの回転数の変化によって吸収されるが、長期間に渡って同一方向にモーメントが蓄積されるとやがてはリアクションホイールの回転が限界に近づき、そのままでは「飽和」して制御が破綻する。この蓄積されたモーメントを解消するために、多くの宇宙機ではリアクションホイールとは別の姿勢制御システムを備えている。(ホイールの減速と共にその反作用をジェット噴出などで相殺する)別の姿勢制御システムの最も一般的なものには一液式ロケットがあり、二液式も採用されている。一液式は触媒に吹き付けて燃焼させるものと高圧ボンベに詰めた窒素ガスなどの噴射を用いるものがある。二液式は液体燃料と液体酸化剤を用いた小型のロケットエンジンである。このような蓄積されたモーメントを解消する操作は「アンローディング」(Unloading) と呼ばれる。姿勢制御スラスタは、正確に噴射しないと軌道まで変更させてしまうリスクがあり、機械的なバルブや燃料の化学反応に依存するロケットの噴射機構は、電磁的に制御されるリアクションホイールよりも制御誤差が大きくなる傾向がある。また、アンローディングの回数が増えるとそれだけ噴射ガスの元となる燃料が消費される。また、地球に近い軌道など磁場が存在する場所では、磁気トルカを使って運動量を打ち消すことができる。磁場のない環境では、イオンエンジンなどの高効率姿勢制御ジェットを使ったり、小さい宇宙船であれば太陽電池パネルやマストの先に軽量な太陽帆を備える場合もある。
出典:wikipedia
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