アーロン・コープランドのクラリネット協奏曲は、1947年から1949年にかけて書かれたクラリネットと管弦楽のための協奏曲。ジャズ・クラリネット奏者であるベニー・グッドマンの依頼で作曲され、1950年11月6日にグッドマン独奏、フリッツ・ライナー指揮のNBC交響楽団によって放送初演された。演奏会初演は同月24日、独奏、ユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団によって行われた。出版は1952年にブージー・アンド・ホークス社から行われている。初演の翌年、ジェローム・ロビンズの振り付けにより、この協奏曲を用いたバレエ『まだら服の笛吹き』（"The Pied Piper" ）が上演された。コープランドが前衛的な技法へと移行する直前に書かれた作品であり、ジャズの書法とコープランド自身の作曲スタイルとを巧みに融合させた作品と言える。なお、他にも同時代の多くの作曲家がグッドマンのために作品を書いている。クラリネット協奏曲では他にパウル・ヒンデミットやダリウス・ミヨーの協奏曲、室内楽曲ではバルトーク・ベーラの『コントラスツ』、フランシス・プーランクのクラリネットソナタなどがある。独奏クラリネット（B♭管）、ピアノ、ハープ、弦五部カデンツァをはさんで切れ目なく続く2つの楽章からなる。演奏時間は約17分。前半は幅の広い静謐な音楽であり、カデンツァからジャズのイディオムが本格的に導入され、後半はテンポの変更を繰り返しながら軽快に進む。なお、初稿の作曲後にグッドマンからの提案を受けて、カデンツァと終結部におけるクラリネット独奏のパッセージが簡略化されている。2000年に、チャールズ・ナイディックが初稿を復元した版での世界初録音を行った。

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