制海権(せいかいけん、)とは、海上を経済的、軍事的にコントロールしている状態およびその力である。制海(せいかい、)とは、武力をもって特定海域を制圧する状態。また、選択された海上交通路を経由しながら、比較的敵の妨害にわずらわされることなく友軍の船舶を運行させるための海軍の支援活動、すなわち当該海域において敵が同様な作戦を実施しようとする能力を排除すること。「制海権を取る」とは制海の実を持続することを指す。戦略理論において制海権の概念を提起したコーベットは海上交通路の支配を意味する概念として位置づけている。ただしマハンは歴史的に見るとイギリス帝国でさえ海洋を完全に支配したことはなく、制海権は必ずしも絶対的に確立されるものではなく、相対的な状態であることを指摘している。またカステックスも制海権が相対的、未完成、不完全であることが一般的であると考える。このような学説を踏まえて現代の海洋戦略においては制海権はより相対的な意味合いを含む用語として海上優勢 (Sea Superiority) と呼ばれる。さらに現代の海軍を踏まえて制海権の概念を考慮した場合、ターナーは技術革新がもたらした潜水艦や航空機の発達が制海権を確立することがより難しくなっていると論じている。そのために海上支配 (Sea Control) という用語、または海上拒否 (Sea Denial) という用語も提唱されている。制海権を確保するためには、いくつかの方法が考えられる。第一の方法は戦闘によって制海権を掌握する方法である。決戦または一連の戦闘において敵の海上戦力に損害を与えることを通じて特定の海域から敵を排除することができる。このような方法で制海権を獲得しようと試みた現代の戦闘の事例としては太平洋戦争における真珠湾攻撃やミッドウェー海戦がある。またナポレオン戦争におけるトラファルガーの海戦やサラミスの海戦なども古典的な戦史である。しかし、戦闘以外の方法として海上封鎖により制海権を得る方法がある。海上封鎖では敵の海上戦力が外海に進出することを防ぎこみ、港湾または近海に留める方法である。現代の事例としてはフォークランド紛争の事例があり、イギリス海軍の潜水艦によってアルゼンチン海軍の前進を食い止めるための1200マイルに及ぶ阻止線が形成された。航空機発達以降の時代にあっては、制海の実を得るにはその海域の制空持続が絶対不可欠の要件となり、完全な制空化にあっては、必ずしも海上武力を必要としなくなった。
出典:wikipedia
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