『ウルトラマンA』(ウルトラマンエース)とは、円谷プロダクション・TBSが製作した特撮テレビ番組の名称と、その劇中に登場する巨大変身ヒーローの呼称である。1972年(昭和47年)4月7日から1973年(昭和48年)3月30日までTBS系で毎週金曜日19:00 - 19:30に全52話が放送された。異次元世界に君臨するヤプール人が、怪獣よりも強い生物兵器「超獣」を従えて地球侵略を開始した。その手始めとして、超獣第1号・ベロクロンが広島県福山市に送り込まれた。街は壊滅的な被害を受け、出動した地球防衛軍も全滅し、ベロクロンの襲撃から人々を守ろうとしたとの2人の若者も犠牲となる。ヤプールの野望を阻止するため、M78星雲から訪れたウルトラ兄弟の5番目・ウルトラマンA(以後、A)は、北斗と夕子に自分の命と大いなる力を授ける。新たな命を得た北斗と夕子は、地球防衛軍に代わって結成された超獣攻撃隊・に入隊する。銀河連邦の一員の証であるウルトラリングが光る時、北斗と夕子はウルトラタッチによってAに合体変身して超獣と戦う。ウルトラシリーズ第5作目であり、第2期ウルトラシリーズの第2作目。帰ってきたウルトラマン(ウルトラマンジャック)が去った後の地球に現れた新たな敵・異次元人ヤプールや、そのヤプールが送り出す怪獣以上の強敵・超獣と戦うウルトラマンAと、超獣攻撃隊・TACの活躍を描く。主人公の北斗星司と南夕子による男女合体変身など、多くの新機軸が盛り込まれた。組織的なレギュラー悪役が設定されたのはシリーズ初であり、同時期に放送されていた『仮面ライダー』のショッカーや『ミラーマン』のインベーダーをはじめ、当時の主流傾向にならった形であるが、ショッカー首領の声を演じていた納谷悟朗をヒーローの声に起用するという、ひねったキャスティングが行なわれた。重厚な人間ドラマを強調した前作『帰ってきたウルトラマン(以下、帰マン)』とは打って変わって娯楽性が強調され、より子供向けに徹している。特に、前作でウルトラマンとウルトラセブンの客演が好評だったことを受け、『ウルトラマン』最終話(第39話)以来の登場となったゾフィーを加えたウルトラ兄弟の設定を本格的に打ち出しているうえ、新キャラクター・ウルトラの父も初登場している。その一方、人間が心の奥底に持つ醜悪なエゴイズムが現実味を帯びて演出されるエピソードは、他のウルトラシリーズ以上に頻出している。それを利用する卑劣な敵役のヤプールに関しても不気味な描写が多かったうえ、特に後半は前作同様に重厚な人間ドラマも展開され、それが最終話(第52話)のドラマへ発展していく。特撮には東宝のスタッフが動員され、撮影に東宝撮影所を使用するなど、特撮面の充実も図られた。『帰マン』の後続番組として企画された本作は、市川森一・上原正三・田口成光の3人の脚本家による『ウルトラハンター』『ウルトラV』『ウルトラファイター』の3種類の企画を整理・統合したものである。3つの企画書が合体した『ウルトラファイター』から、さらに1歩進めた『ウルトラA』の企画書と制作メモが、本格的な制作用に作られます。異次元人ヤプールが送り込んでくる超獣や宇宙人から地球を守るため、銀河連邦によって地球人の男女2人にウルトラマンAとしての能力が与えられ、主人公たちは危機に際して男女合体でAに変身する。男女の合体によるヒーローの誕生は、性差を越えた完全な超人の誕生という理念を元にした設定だった。これらの新設定は、『仮面ライダー』などのヒーロー番組が相次いで制作される中、他の番組との差別化を図る必要があったために試みられた。第1話でエース本人が語った銀河連邦とは、円谷プロが制作していた『ミラーマン』など他のヒーロー番組を1つの世界観でまとめるために考案された。また、『仮面ライダー』との差別化が図られる一方、逆に同作品と同様のプロットが新機軸として導入されることにもなった。例えば、ウルトラマンシリーズではヤプールのようなレギュラーの敵組織という試みは初めてのことだった。当初のタイトルは『ウルトラA』と予定されていたが、玩具メーカーのマルサンから『怪傑透明ウルトラエース』という商品がすでに発売されていたことから、商標の問題を考慮して『ウルトラマンA』に改題された。本作以降、ウルトラヒーローは「ウルトラマン〜」というネーミングが主体となってイメージが定着した。このため、『ウルトラセブン』の名称が誤って「ウルトラマンセブン」と呼ばれる事態にも繋がっている。それまでのウルトラシリーズは、宇宙人以外は怪獣が主な敵役だったのに対し、本作に登場する敵は「超獣」と呼ばれている。超獣が怪獣より強力であることを示すための演出として、第8話では超獣ドラゴリーが前作『帰マン』にも登場した怪獣ムルチ(二代目)を惨殺する展開が織り込まれている。企画時の製作メモでは、子供たちに親しみのある生物をモチーフとしていることや、他作品の怪獣・宇宙人との区別が明確になる点などがメリットとして挙げられている。当初は、ヤプールが地球上の生物と宇宙怪獣を超獣製造機で融合させて生み出した合成生物兵器という位置付けだった。だが、第23話でヤプールが全滅して以降は、自然発生的に出現したり(例:ハンザギラン)、他の宇宙人の配下になっている(例:シグナリオン)など、ヤプールとの関係が不明な個体が登場するため、当初の定義に該当しない超獣も多くなっていった。ただ、設定上はAと戦って敗れた際に砕け散った巨大ヤプールの細胞が「復讐の怨念」となり、動物や器物、果ては霊的な存在などさまざまな対象から超獣を生み出しているとされ、劇中ではヤプールが滅亡した後も製造済みの超獣は生き残っていることを暗示する台詞がある。ヤプールの残党は第52話(最終話)まで断続的に登場し、超獣は次作『ウルトラマンタロウ』の第1話にて登場する。『ウルトラマンメビウス』に登場する超獣も、復活したヤプールの配下である。だが、『ウルトラマンダイナ』や映画『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(1999年)、『電光超人グリッドマン』(1993年)に登場する「超獣」は本作とは無関係の存在である。本作で設定された男女合体変身は、それまでのヒーロー番組でほとんど例のない新機軸であり、メインライターの市川森一が原案で当初から設定していたことからも、本作のテーマの軸をなす設定だったといえる。物語前半はこの設定が生かされたエピソードが見られたものの、いくつかの要因で南夕子の設定を生かし切ることが難しくなってきた。「男女合体変身だとヒーローとして弱々しい」や「合体変身を子供がまねることが難しい」などの番組の評判としての意見もさることながら、ストーリーを展開するうえで北斗と夕子のドラマをそれぞれ語る必要があるなど、脚本側の要求があったとも言われている。最終的に第28話で夕子は番組から降板することとなった。オープニングの歌詞には夕子の名(正しくは南の姓の方)が含まれているが、夕子の降板後もそのまま用いられた。番組開始に際してさまざまに盛り込まれた新機軸は作品の自由度を制限する面も多く、十二分に生かされたとは言えなかった。ヤプール滅亡後に夕子も地球を去り、その後は地球人の少年・梅津ダンをウルトラ6番目の弟として登場させ、北斗とダンの交流を軸に物語が展開されたが、梅津姉弟は第43話を最後に、特に説明もなく姿を消している。また、「銀河連邦」もドラマに登場することはなく、『トリプルファイター』の副主題歌やいくつかの商品展開に使用されたのみで終わった。たび重なる路線変更は裏番組だった『変身忍者 嵐』との視聴率競争によるものとされ、『嵐』でも本作を意識したテコ入れがたびたびあった。視聴率は平均視聴率18.6%と、前作『帰マン』の22.7%より低下した。一般的に視聴率は15%以上が人気番組のボーダーラインであり、その意味では本作も人気番組のボーダーライン以上の数字は維持していた。だが、『帰マン』が終盤に25%以上の視聴率を記録していたために周辺関係者の期待は大きく、本作の視聴率はその期待に応えたとは言い難かった。ただし、個々のエピソードではシリーズ後半は20%台を多く弾き出している。また、玩具的には『マルサン・ブルマァクの仕事』によると、ブルマァクから発売された本作の超獣ソフトビニール人形の売上は、同社の『帰マン』の怪獣ソフトビニール人形の3分の1でかなりの不振だった。このため、ブルマァクは円谷プロとの商品化権取得の契約金7000万円を回収できなかった。本作中盤から商品化される超獣はほとんどなくなり、この余波で『タロウ』の怪獣に関する同社での商品展開はあまりされなかった。ウルトラ戦士の中で多くの光線技と超能力を持ち、特に多様な光のカッターを使った切断技のバリエーションにかけては右に出る者はおらず、光線技のエースと呼ばれる所以である。児童雑誌の解説では、胸にカラータイマー、額にウルトラスターの2つのエネルギー源があるため、それまでのウルトラ戦士と比べて倍のエネルギーを使用できるためという説明がある。戦闘能力のポテンシャルはかなり高く、敵が怪獣から超獣へ強さが数倍に強化されたのに合わせ、Aの戦闘能力も相当向上している。また、セブンのアイスラッガーのような大きな突起を頭部に持つが、アイスラッガーが切れ込みが入っているのに対し、これは小さな穴があいている。ウルトラホールと呼称されるこの穴は、太陽エネルギーを吸収する、戦闘力強化(第8話、第14話など)、他のウルトラ戦士のエネルギーを吸収するなど、ウルトラマンタロウのウルトラホーンと同様の機能を持つ。一部書籍においては、訓練次第ではアイスラッガーのような白兵武装に使えるようになるとされており、蛭田充の漫画版では実際に第3話で頭頂部が伸びて超獣を串刺しにする「エースラッガー」という技を用い、バラバを倒している。掛け声はウルトラマンやウルトラマンジャックからの流用(声:中曽根雅夫)に加え、第3話からは納谷悟朗による固有の掛け声がたびたび用いられている。北斗星司と南夕子の片方が重病だと、戦闘能力が半減する。戦闘では残虐にいたぶられるケースも多く、本放送当時におけるウルトラ兄弟の末弟として、しばしば救援を仰ぐ。両性具有的な設定もあわせ、神々しさ・力強さ・偉大さ・弱さ・未熟さ・若さといった相反する性格が混在する複雑なキャラクターでもある。また、変身能力を授ける際に北斗と夕子をお前呼ばわりするなど、他人に対して大きな態度で接することもあった。しかし、倒した超獣の死骸を墓に埋葬したり持って帰ったり、あるいは戦闘中に特に理由もなく相撲の四股を踏むなど、特異な行動も見せる。デザインを担当した鈴木儀雄は、ファミリー劇場の『ウルトラ情報局』2006年5月号にて「古代ローマ帝国時代の兵士をヒントにした」と証言している。第1話・第2話では、上下で分割できるセパレートタイプのスーツを使用していたが、撮影中にホックが外れるなどの不具合が発生したため、第3話以降は役者の変更と同時に従来と同様のスーツを使用することとなった。第1話・第2話で使用されたスーツはアトラクション用として使用された後、スチール星人に改造された。また、撮影用のスーツはエースロボットに改造された。関連書籍ではAが倒した怪獣(超獣)の数は53体と数えられており、他のウルトラ戦士の倒した怪獣の数を上回る。ウルトラマンAに変身するためのアイテムである、アルファベットのAをあしらったデザインの指輪。Aの手から、北斗星司と南夕子それぞれに1つずつ与えられた。このリングは銀河連邦の一員の証とも言われている。北斗と南はこの指輪を普段から右手中指にはめている。第28話で、南がルナチクスを打倒した後に自らのリングを北斗に託し、以降は北斗が両手の中指に1つずつはめている。『大決戦!超ウルトラ8兄弟』では、別世界の北斗が自身をエースだと自覚した際に彼の両手中指に出現した。第1話から第28話の前半までは、北斗と南それぞれのリングの上部に埋め込まれている宝石が変身を促すかのように光った時に、互いの名を呼び合って駆け寄り、リングをはめた右手を合わせる、もしくは握って「ウルトラタッチ!」と叫ぶと2人の間から眩い光が溢れ、Aに変身するというものだった。劇中、ウルトラタッチそのもののバリエーションは複数披露され、北斗と南が空中でタッチするパターンがオーソドックスだが、第2話では両者がそれぞれTACのオートバイを運転しながら、乗車しているオートバイごと空中でタッチする『ライダータッチ』を敢行。他にも、第3話で見せた、脱出して空中にいるパートナーのもとへ飛んでタッチする「フライングタッチ」を見せたり、空中に高く飛ばず地上でタッチしたり、遠く離れた場所でもモニター越しにタッチしたり、何らかの理由で危機に陥っているパートナーの下へ駆けつけてタッチを行う変身など、多彩な変身バリエーションが見られた。第29話以降や、他の作品に北斗が登場した際は、北斗が一定の変身ポーズをとった後に胸の前で両手中指にはめたリングを合わせることで光が溢れ、Aに変身するというプロセスが基本パターンとなるが、北斗自身が戦闘で危機に瀕した際にすかさずリングを合わせて変身するパターンも多い(第41話以降は変身ポーズが省略されている)。また、リング上部の宝石が変身を促すかのように光らなくても変身可能で、北斗が単独変身するようになってからは、劇中でこの光は見られなくなった。同時に、「ウルトラタッチ」の発声も行われなくなった。上記のほか、異次元にさらわれた子どもたちを解放した異次元開放能力、裏宇宙にあるゴルゴダ星へ飛ぶ光速飛行能力、過去に迷い込んだTAC隊員を現代に連れ戻した時間飛行能力、旗を巨大化させてザイゴンを翻弄した物質巨大化念力、ベロクロン二世にダメージを与えたガスタンク爆弾化能力、アプラサールを元のアプラサに戻した異次元エネルギー遮断能力など、さまざまな超能力を扱う。それゆえ、光線技と超能力の多彩さはウルトラ兄弟で一番となっており、全ウルトラ戦士と比較しても多彩なモードと技を併せ持つコスモスに他形態無しで比肩するほどの多彩さである。また、ガマスの放った吹き矢ミサイルを受け止めて投げ返したり、ファイヤー星人の炎の剣を奪って返り討ちにするなど、相手の武器を用いて攻撃する描写も多かった。北斗星司の姿で登場した作品は◎、北斗の姿で登場していないが、北斗役の高峰圭二がAの声を担当した作品は●を付記。南夕子の客演は#主な登場人物を参照。とは、Terrible-monster Attacking Crewの略(別名「超獣攻撃隊」)で、突如現れたベロクロンに全滅させられた地球防衛軍に代わって組織された「地球防衛機構により新たに結成された地球の全世界的守備組織である。本部はニューヨークに置かれており、その下位に南太平洋国際本部が存在する(第14話に登場した高倉司令官はここの所属である)。ヨーロッパ・アフリカ・極東(日本)に支部が存在し、ウルトラマンAこと北斗星司と南夕子が入隊したのも極東支部である。常にレーダーで超獣の動きを監視しながら、超獣撃退のための兵器や戦術を日夜研究している。開発した兵器の数は随一で、超獣・宇宙人の撃破数はウルトラ警備隊やZATに準ずる成績を誇る。また、撃破はできずとも超獣に大ダメージを与えることもあり、Aの勝利が彼らの貢献によることも少なくない。第10話ではMATファイルという資料が語られており、前作のMATとの関連を窺わせている。極東支部基地は山梨県側の富士山麓の富士五湖の樹海付近にある。基地施設は地形や自然を利用して巧妙にカモフラージュされ、表向きは気象観測所を装っている。地下部分は、隊員達の司令室(イベント用のレストルームも直結している)をはじめ、古代文献まで保管する資料室や各種研究室、射撃訓練場、中央原子動力室、各メカの格納庫に大型ミサイル工場まで建設され、地上部分はメインレーダーやさまざまな福利厚生施設、庶務施設、研究棟が存在する。また、襲撃してきた超獣に対する大型野砲や4連装・16連装ロケット砲といった防衛設備まで充実している。超獣や侵略宇宙人に襲撃されたり、Aと超獣の戦場となった回数も多い。オレンジと灰色(第1・2話では薄いオレンジに銀)の配色のユニフォームで、耐久・耐熱・耐寒・防火機能に優れる。竜隊長の物のみ、第3話以降胸の灰色の線が黒になる。男女とも同じデザインだが、ブーツについては女性隊員のもののみフリンジがついており、微妙にデザインが異なる。また、梶隊員は当初は白衣に身を包んでいたが、第7話より白を基調としたオレンジの線のユニフォームを着るようになる。夕子のものは、彼女が冥王星へと旅立っていった直後にTACの隊員たちによって送り火として燃やされた。※全てノンクレジット他に第5話のための挿入歌として上原正三が台本に記した歌詞をもとに「ゾフィのバラード」が作曲され、BGM録音の際にレコード化を前提にステレオでコーラス入りのカラオケが用意されたが、ボーカルの録音は行われなかった。同時に録音されたメロディー入りの音源のみが第5話のゾフィ帰還場面や第28話で夕子が月へ帰還する場面などで使われている。また、Aの戦闘テーマも歌唱を想定して編成を変えた音源が本篇使用曲とは別にステレオで録音されている。いずれも1992年に水木一郎の歌唱が新規に録音され、ようやく完成した。
出典:wikipedia
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