プログラム細胞死(プログラムさいぼうし、)は多細胞生物における不要な細胞の計画的(予定・プログラムされた)自殺である。組織傷害などで細胞死を起こす壊死と異なり、一般にはPCDは生物の生命に利益をもたらす調節されたプロセスである。PCDは植物、動物、一部の原生生物で正常な組織形成や病原体などによる異常への対処として働く。プログラム細胞死は、細胞死を起こしたときの形態学上の違いから次の3つのタイプに分類されている:植物のPCDはオートファジー性細胞死に近いが、植物と原生生物で保存されているPCDの共通特徴もある。PCDの概念は1964年(「アポトーシス」の語ができる8年前)昆虫の組織発達に関して用いられた。PCDはアポトーシスより一般的な広い概念として用いられた。植物でも「アポトーシス」の語を使うことがあるが、これは正確でない。維管束植物ではPCDは発達と形態維持において重要な役割を担っている。木部(導管)は細胞壁の肥厚とPCDによって形成される。植物のPCDは動物と共通した点(たとえばDNAの断片化)もあるが、導管形成では液胞の崩壊が核の分解の引金となるという点は特殊である。一方ヒマワリの細胞質雄性不稔ミトコンドリアで、動物と同様に重要な役割を担うことが示唆されている。また植物ではウイルスなどの病原体を封じ込める過程として「過敏感細胞死」がよく知られている。これも液胞の崩壊によって惹き起こされるが、最近、反応の中心となる液胞のプロテアーゼ(動物のカスパーゼ類似の活性をもつが機能は異なると考えられる)が同定された。細胞性粘菌(原生生物)の" は、はじめはバクテリアを捕食する単細胞アメーバ状だが、餌が少なくなると合体してナメクジ状の偽変形体になる。これはさらに茎を形成しその上に子実体を形成して胞子を作る。茎は一種のPCDを経て死んだ細胞からなるが、このPCDはオートファジー性細胞死の性質(小胞の形成、クロマチンの凝縮)を有する。ただしDNAの断片化は起こらない。これは植物のPCDに似ている。
出典:wikipedia
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