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東京スカイツリー

東京スカイツリー(とうきょうスカイツリー、)は、東京都墨田区押上一丁目にある電波塔(送信所)である。観光・商業施設やオフィスビルが併設されており、ツリーを含め周辺施設は「東京スカイツリータウン」と呼ばれる。2012年5月に電波塔・観光施設として開業した。東京スカイツリーについての名称・ロゴマーク・シルエットデザイン・完成予想コンピュータグラフィックスといった知的財産は東武タワースカイツリー株式会社等の著作権および商標権により保護されている。2000年頃から既存の電波塔である東京タワーに代わる新タワーについて首都圏各地で誘致活動が行われていたが、2003年12月に日本放送協会(NHK)と在京民間テレビ局5社(日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)が600メートル級の新しい電波塔を求めて「在京6社新タワー推進プロジェクト」を発足、新タワー構想を推進していくことで建設に向けた計画に進展が付いた(建設地決定についての経緯は後述)。東京スカイツリーの建設目的は東京タワーが位置する都心部では超高層建築物が林立し、その影となる部分に電波が届きにくくなる問題を低減するほかにワンセグやマルチメディア放送といった携帯機器向けの放送を快適に視聴できるようにすることも建設目的の一つとされた。事業主体は東武鉄道が筆頭株主となる「東武タワースカイツリー株式会社」であり、事業費は約500億円とした。このために、同社は500億円のユーロ債のCBを発行して資金調達を行っている。建設費は約400億円。総事業費は約650億円。施工は大林組、設計は日建設計である。テレビ局からの賃貸料および観光客からの入場料などで収益を得る見込みである。東京都墨田区に所在する東武スカイツリーライン・東京メトロ半蔵門線・京成押上線・都営地下鉄浅草線の押上駅(2012年5月22日より「押上(スカイツリー前)」)と東武スカイツリーラインのとうきょうスカイツリー駅(旧業平橋駅)の間に挟まれる、東武鉄道の本社隣接地で所有地でもある貨物駅跡地(貨物廃止後業平橋駅3、4、5番線ホームの敷地として使用されたが、廃止)に建設された。当地区は航空法上、東京国際空港(羽田空港)の制限表面の外側水平表面が被さる地域であるため空港標点の海抜295メートルまでの建造物しか建てられなかったが2005年4月28日に高さ規制区域が見直されて建設可能となった。2008年7月14日に着工され、3年半の期間をかけて2012年2月29日に竣工した。2012年5月22日に展望台として開業し、2011年12月から2013年5月にかけて放送局の試験放送ならびに本放送を実施する計画であった。東京タワーの建造時(1957年 - 1958年)に比べ鋼材の品質や溶接技術・各種構造計算(シミュレーション)などの設計技術・基礎部の特殊な工法が大きく進歩したことにより、東京タワーの建築面積を大きく下回る面積ながらこの高さの自立式鉄塔の建設が可能となった。また、全体の主要接合部が溶接により建設されているが鋼管同士を直接溶接接合する分岐継手を採用し、軽量化と耐震性を増している。主要鋼材はH鋼ではなく鋼管が使用された。構造が鉄骨造としては稀に見る複雑さであり各部材に要求される寸法等の精度も一般建築物とは桁違いであるため、鉄骨部材を作成する工場のうち国内のレベルの高い工場の多くは一時的にスカイツリーの部材製作で繁忙を極める状態となった。その他、。2006年5月に第一生命経済研究所が出した予測によると開業から1年で300万人が訪れると仮定、経済効果を473億円と試算している。また2008年1月公表の墨田区「新タワーによる地域活性化等調査報告書」では東京スカイツリーへの来場者を年間552.4万人、東京スカイツリーに併設される商業施設などを含めた開発街区全体での来場者数を年間2,907.9万人と試算している。現存する電波塔としてはKVLY-TV塔の628.8メートルを上回る世界第1位。2011年11月17日に世界一高いタワーとしてギネス世界記録の認定を受けた。人工の建造物としてはブルジュ・ハリーファの828メートルに次ぐ世界第2位となる。東京都心部で立ち並ぶ200メートル級の超高層ビルの影響を受けない高さとして、NHKと在京民放キー局5社が「600メートル」という数字を要請し、着工当初は高さを610.6メートルとする計画であった。建設計画を策定する中で当時世界一の高さのカナダオンタリオ州・トロントにあるCNタワーを上回る。またアメリカイリノイ州・シカゴに建設予定のあった「シカゴ・スパイア」(現在は凍結中)のアンテナを含めた高さが約2,000フィート(約609.6メートル)だったため、「610メートル」という数字になったという。構想段階では世界一高い建造物を目指していたが、完成時の高さを非公開にして建設していたブルジュ・ハリーファが高さ828メートルで完成した。2009年10月16日に計画を修正し、高さ634メートルを目指すことを発表した。数字には東京近辺の旧国名である武蔵国(「むさし」のくに)の語呂合わせも考慮したとしている。なお東武グループの中核である東武鉄道にとって「武蔵」という言葉は、同じく東武グループの学校法人根津育英会武蔵学園が経営する武蔵大学、武蔵中学校・高等学校においても使用されているため、当企業にとって非常に馴染み深い言葉と言える。なお当初は東京タワーの2倍の666メートルの計画だったが設計者から少し低い高さにすべきと言われ、浅草寺が創建された628年に因み628メートルの案もあったと根津嘉澄東武鉄道社長は2012年5月14日の開業記念式典後の記者会見で秘話を語った。なお現在のスカイツリーの所在地は江戸時代の中頃まで下総国にあたり、明暦の大火後の江戸市街の拡張に伴う国境変更により武蔵国に編入された歴史がある。2006年(平成18年)11月24日にデザインが公表された。以下の3つのコンセプトに基づき、デザインされている。法隆寺の五重塔を参考にして、心柱(鉄筋コンクリート造のH375で直径約8メートルの円筒で内部は階段)により地震などによる揺れを抑える心柱制震構造となっている。また、アンテナが取り付けられる「ゲイン塔」の上には制振装置(総重量約100トンで、バネの上に乗った重りでアンテナの揺れを抑える)が設置され、心柱自体の重みと共に付加質量機構を形成する。ゲイン塔外周の直径約6メートル、アンテナ外周直径約8メートル。タワーの水平方向の断面は地面真上では正三角形であるが、高くなるほど丸みを帯びた三角形に変化し、H320で円となる。概観は「起り」(むくり)や日本刀の緩やかな「反り」(そり)の曲線を生かした日本の伝統建築の発想を駆使し、反りの美的要素も盛り込まれている。このため、タワーを見る方角によっては傾いているようにも裾が非対称になっているようにも見える。2009年2月26日にカラーデザインが公表され、「スカイツリーホワイト」と決定された。これは日本伝統の「藍白」(あいじろ)をベースにした独自の命名のオリジナルカラーで、青みがかった白である。なおエレベーターシャフトはグレー、展望台はメタリック色、頂部は鮮やかな白である。2009年10月16日にライティングデザインが公表された。江戸で育まれてきた心意気の「粋」と、美意識の「雅」という2つの異なるライティングを1日毎に交互に替えるライティングである。このライティング機材や調光コントロール全般は東京スカイツリーのオフィシャルパートナーのパナソニック(当時・パナソニック電工)が請負い、ライトアップの全てをLED照明とした。なお「雅」はピンクすぎず青すぎない上品な紫色(複数の色のLEDを混ぜたものでなく単体で表現する)を目指しており、このような色のLEDは従来にはないため「オリジナルのLEDを新たに開発する」としている。また2010年10月13日にはLED実験のため、51台の照明器具で数時間だけライトアップされた。完成時には1995台の照明器具が使用されている。「粋」「雅」以外にも、特定日にはスペシャルライトアップが行われる。以下は、過去に行われたライトアップ。中には通例化しているものもある。正式名称決定までの仮称は「新東京タワー」。正式名称は一般公募によって寄せられた1万8,606件の命名案の中から、まずは有識者10人で構成される「新タワー名称検討委員会」によって6つに候補が絞り込まれた。言葉の美しさや親しみやすさなどを基準に「東京スカイツリー」「東京EDOタワー」「ライジングタワー」「みらいタワー」「ゆめみやぐら」「ライジングイーストタワー」の6つが名称候補として選ばれ、2008年春にインターネットを通じて一般投票を行った。その結果、最多得票の「東京スカイツリー」に決定した。なお公募で最も多く寄せられた「大江戸タワー」はタワー建設予定地近くにある和菓子屋(株式会社森八本舗)がタワーの名称決定を見越してすでに商標を取得しており、3位の「さくらタワー」も以前から高輪プリンスホテルには「さくらタワー」がありすでに商標登録も行っていたために使えなかった。仮称として使用されていた「新東京タワー」も既存の東京タワーに似ており、建物も東京タワーを管理する日本電波塔社とはまったく関係が無いためそれぞれ候補から外された。一候補地だった時期はプロジェクトホームページで「すみだタワー」という名称が用いられていたが、台東地区と連携した2007年夏頃からは見られなくなった。「東京スカイツリー」は東武鉄道と東武タワースカイツリーの登録商標である(第5143175号ほか)。日本一の建造物、さらには世界一の電波塔という大きな話題性から、完成前から各種マスメディアで大きく取り上げられた。テレビでは建設中のスカイツリーを取材した特番が時折放送されるようになったこともあって建設期間中から"東京の新名所"となっており、休日ともなればタワーを撮影する者や見物人で周辺は混雑している。また、全体の冷暖房には国内初となる地中熱を利用した地域冷暖房システムが採用されており、その点からも注目されている。送信アンテナはゲイン塔の頂上部に1局分80基の地上デジタルテレビ放送用アンテナが8局分(NHKおよび在京広域民放5社(以下在京テレビ6社)用、うち1局分は予備アンテナ)が設置され、その下にTOKYO MX用の放送アンテナが設置されている。550メートル付近にFMラジオ用アンテナ、その下にマルチメディア放送用アンテナが設置されている。送信室は天望デッキのフロア350の上にあるH360のフロアに設けられている。計画案では従前の東京タワーとほぼ同等のエリアを確保するとしていたため、空中線電力は全局東京タワーで送信していた出力と同一である。埼玉県、千葉県、神奈川県ではスカイツリー移転後も独立局用に、茨城県ではNHK水戸放送局用にUHFアンテナを複数設置する必要があることによる混合器の追加措置が必要になるケースもあった。TOKYO MX以外の在京テレビ6社は後述の試験放送を経て2013年5月31日から本放送を開始した。一方、TOKYO MXについてはNHK水戸放送局の地上デジタル放送の物理チャンネルと重複し、それに伴うスピルオーバーによる混信の対策を行うため物理チャンネルの変更が決定。その切り替えを行うため、2012年10月1日から東京タワー(20チャンネル)とのサイマル放送を開始し、同年11月12日から東京タワーからの電波を段階的に弱めていき2013年5月12日正午に東京タワーからの送信を終了、スカイツリーからの送信に一本化した。なお、放送大学のテレビ放送(JOUD-DTV)は従来通り東京タワーから送信され、スカイツリーからは送信されない(ただし、2018年10月末で廃止予定)。また、災害時の放送バックアップ体制として災害などにより東京スカイツリーから放送電波を送信できない場合に備えて東京タワーを予備の電波塔として利用する契約が2010年9月27日に日本電波塔株式会社と在京テレビ6社との間で結ばれている。在京FM局のうちJ-WAVEとNHK東京FMの2局が東京タワーからの送信所移転を申請、2011年2月3日に変更許可が下り、2012年4月23日よりFM本放送を開始した。同時にNHK-FM放送を使用したVICSの文字多重放送についても道路交通情報通信システムセンターが申請を行い、前2局と共に変更許可を得ている。東京タワーでの放送時の空中線電力は10kWだったが、高所設置に伴うスピルオーバーを防ぐため、東京スカイツリーでの空中線電力は3割減の7kWに減力されている。ただし送信点高が東京タワーよりも遥かに高くなった事(地上高540メートル)とERPが逆に約3割増の57kWで送信されているため、実質的な受信可能エリアは広くなっている。一方、InterFMならびに放送大学ラジオ(JOUD-FM)、TOKYO FMは従来通り東京タワーから送信され、東京スカイツリーからは送信されない。このうち、TOKYO FMは2013年2月11日に送信用アンテナをアナログテレビ放送終了で空いた地上高333メートルの東京タワー頂上部に移転しており、これによりスカイツリーから送信している2局と同等以上の出力(空中線電力10kW、ERP125kW)で送信が可能となっている。InterFMも2015年6月30日より周波数を変更した上で従来より高所にアンテナを設置して送信を開始している。また、東京タワーのNHK-FMの送信設備は予備用として残されている。また、放送大学ラジオは2018年10月末に廃止予定。移転初日には、J-WAVEとNHK-FMが天望デッキから移転記念特番を放送した。またスカイツリー開業初日には、J-WAVEとニッポン放送が共同で東京ソラマチにあるサテライトスタジオ、TOKYO SKYTREE TOWN STUDIOから放送した。なおニッポン放送は同日朝に同スタジオから放送しており、オンエア自体はニッポン放送が先となる。2014年9月3日にはTBSラジオ&コミュニケーションズ(現・TBSラジオ)、文化放送、ニッポン放送の関東広域AMラジオ3社に対し、FM補完中継局の予備免許が付与された。全国としては3番目、関東地方では初の免許付与となるAM放送のFM補完中継局で、3社共同でスカイツリーにアンテナを設置し、2015年10月5日より試験放送を実施、本免許交付を経て同年12月7日13時より本放送を開始、同日には天望デッキから3局合同の記念特番の放送を行った。開局後は災害発生時にAM親局送信所での放送継続が困難となった場合の対策や、都心部の難聴取・雑音等の解消を目的として、AMとのサイマル放送が行われる。mmbiおよびジャパン・モバイルキャスティングによる携帯端末向けマルチメディア放送(VHF-HIGH帯)「モバキャス」はスカイツリーに4段16面のアンテナを設置、スカイツリーからの送信で関東全域約1600万世帯をカバーできるとしていた。2011年9月14日に電波監理審議会から予備免許を交付することが適当であると答申を受け、翌15日に予備免許の交付を行った。2012年4月1日にmmbiが運営するNOTTVが放送を開始、スカイツリー初の本放送送信局となった。2015年11月27日、モバキャス及びNOTTVのサービスを2016年6月30日に終了すると発表、同日正午を持って放送を終了した。なおVHF-LOW帯のマルチメディア放送は、関東・甲信越地区の企画・ブロック別ソフト事業者である株式会社東京マルチメディア放送にTOKYO FMやJFN系列各局と伴に、東京タワーの運営会社である日本電波塔が出資しており、2015年12月7日にTOKYO FMなどが出資して設立した株式会社VIPに対し、東京タワーを送信所として本免許が交付され、2016年3月1日に「i-dio」のサービス名で放送を開始している。特別区・武三交通圏(特別区・武蔵野市・三鷹市)を営業エリアに持つタクシー各社は港区赤坂の国際新赤坂ビルに集中基地局を設置していたが、都内各地で高層ビルが相次いで建設されたことで不感地帯が増加していた。そのため、東京スカイツリーへの移転が行われることとなった。地上300メートルの位置にアンテナを設置し2011年10月から1か月間、昼間の時間帯に試験電波を発信、2012年3月より業務無線の運用を開始、4月23日から本運用を開始している。廃止日:2016年6月30日落雷の仕組みを解明するため地上497メートル地点のゲイン塔根元部分に落雷の発生を常時監視し電流の大きさや波形の変化などを記録する計測装置のロゴスキーコイルが六角形状に囲んだ形で設置され、東武タワースカイツリー、東京大学生産技術研究所、電力中央研究所の3者共同による研究が2012年3月より行われている。ゲイン塔が延びる高さ500メートル付近では年間20回から30回の落雷が見込まれており、地上よりもデータが多く蓄積できる。500メートルを超える超高層建築物への計測装置の設置例ではカナダのCNタワーだけで今後世界的に珍しい研究成果が期待でき、この成果を基に雷被害防止や雷に強い電子機器の開発に繋げたいとしている。東京スカイツリータウンの各施設(東京スカイツリーのほか、東京ソラマチ、東京スカイツリーイーストタワー、コニカミノルタプラネタリウム“天空”in東京スカイツリータウン、すみだ水族館)の中核として東東京エリアの観光・産業拠点の形成と地域社会の活性化、国際観光都市東京実現への貢献が期待されている。展望台については、大規模な地震が発生した場合、あるいは台風や強風などによる天候悪化が懸念される場合は安全を優先するため営業を停止する場合があり、営業停止・終了となる場合はホームページにて告知がなされる(この場合でも下層部は特に営業に支障をきたさない範囲であれば通常通り営業される)。尚、一度退場した後の再入場はできない。天望回廊へは、フロア350のチケットカウンターにて別途チケットを購入し、専用エレベーターでの入場となる。入口、出口フロアと天望デッキ、天望回廊をつなぐエレベーター。シャトル内には地元墨田区のデザイナー高橋正実による桜や隅田川などをテーマにしたパネルが設置される。1-6号機(業務用2基も含む)は東芝製、7-13号機(タワーの足元4基も含む)は日立製である。2013年4月から東芝・日立のアナウンスで乗降促進自動放送が付加され、「ドアが開きます、指などを挟まれないようにご注意ください」「足元の段差にご注意ください」と3回アナウンスが流れるようになった。2015年3月から、天望デッキ行きエレベーター4基は順次改修工事が行われ、エレベーターは強風に耐えられるように工事が実施されている。スタッフは以下7職種があり、ユニフォームはミナ・ペルホネン(デザイナー:皆川明)によりデザインされている。「在京6社新タワー推進プロジェクト」は新タワーの建設地を第1候補地は「墨田・台東エリア」、第2候補地は「さいたま新都心」としていたが2006年3月31日に「墨田・台東エリア」に決定した。決定までには東京の各地でいくつもの誘致活動が行われた。第1候補地になっていた東京都墨田区「業平橋・押上地区」は、東武伊勢崎線の業平橋駅構内の一部と押上駅(東武伊勢崎線・東京メトロ半蔵門線・京成押上線・都営浅草線)との間にあった貨物駅跡地を中心とした地域である。跡地所有者は東武鉄道であり、同社は事業主体として建設費約500億円を負担するとしている。2005年8月25日、同社がNHK・在京6社と墨田区との間で建設決定を協議するための「三者間確認書」を交わし12月末に最終決定することで合意したため墨田区を候補地として決定することが有力となった。しかし現在の東京タワーを改修して使う案も消えていないことと放送事業者側と東武鉄道の間で新東京タワーにおける賃貸料を巡る交渉が難航していたため、12月26日に年内の決定を断念して翌2006年3月末までの決定に変更した。決定時期が延期となった理由について墨田区と東武鉄道は、協議時間が不十分だったためと説明した。2006年3月25日にNHKと在京6社は墨田区に建設することを正式に決定し、同月31日に報道発表がなされた。東京タワーの運営会社である日本電波塔は2004年夏に放送事業者に対し東京タワーの高さを現在より30メートル程高くしてアナログテレビ放送終了後にアナログテレビ用アンテナを撤去しデジタルテレビ用アンテナに取り替え、送信アンテナ位置を現在より約90メートル高い地上350メートルに設置するとの案を示した。この案の場合、新東京タワーの建設費約500億円に比べて改修費用約40億円と割安であり各局の新タワーに比べて放送施設賃貸料に大きく差が付くと言われている。同社は収入の約6割を放送関連設備などの賃貸料から得ており新東京タワーが完成した場合、放送事業者の設備がすべて東京スカイツリーへ移ってしまうなど大幅な収入減となる。これらの動きはさほど報道されなかったが同社は2007年9月21日にアンテナを80メートルから100メートル高くし地上デジタル放送への完全移行に対応することを発表し、報道された。高さ1,008メートルの「東京ワールドタワー」を、新東京タワーとは別に練馬区の誘致団体「東京ワールドタワー推進協議会」(奥田則男会長)が西武鉄道系列の遊園地・としまえんの敷地約2万mに建設を目指して活動していた。なお、漫画家の松本零士がタワーをデザインした。東日本旅客鉄道(JR東日本)新宿駅南口の山手線や中央線の線路上空に基盤を整備し、600メートル級タワーの建設をJR東日本が構想していたもの。建設費は約500億円と試算。各放送局との距離の近さ等を売りにしていたが当時の運輸省(現・国土交通省)が航空法の改正により将来的に羽田空港離着陸の航空機に対して新宿上空経路を解禁することを計画していたため、同省からその運行上の支障になるとの指摘を受けて計画は立ち消えとなった。サンシャインシティの隣接地にある独立行政法人造幣局東京支局の敷地に、高さ600メートル級のタワーを誘致する活動を特定非営利活動法人東京アーバンクリエイト21が行っていた。また、サンシャインの広場と併せて防災用の広場ともなっていた。商店街や観光連盟など民間主導による「台東ワールドタワー」の誘致活動もあった。場所は台東区立隅田公園や区民会館の周辺地区で、高さ600メートルのタワーを建設する計画だった。東六月町のニッポン放送アンテナ跡地か舎人公園敷地内の2か所にタワーを誘致する計画もあり、共に高さ600メートルのタワーを建設する計画だった。秋葉原駅前の駐車場(後の秋葉原クロスフィールド付近)に高さ800メートルのタワー(秋葉原タワー・アキバタワー)を建設する計画もあり、オフィスやアミューズメント施設も入居する複合施設として計画されていた。なお当初は現在ロータリーや秋葉原クロスフィールド等が立地する山手線沿いの東西(神田青果市場跡)が再開発前であり、高架を跨いだ600メートル級のタワーを構想中という報道がされていた。同駅前には800メートル級を想定したタワー模型が設置されていたことがあった。埼玉県とさいたま市は第2候補地として、大宮台地上に位置する埼玉県さいたま市中央区のさいたま新都心の8-1A街区に「さいたまタワー」を建設する構想を提唱していた。「さいたまタワー」は在京6社新タワー推進プロジェクトにより東京の震災時のバックアップ機能が優れているとして、「墨田・台東エリア」に次ぐ候補地となっていた。埼玉県ならびにさいたま市の関係者は「さいたま」に対するイメージアップ等を企図して懸命に「さいたまタワー」の誘致活動を実施したものの電波の混信世帯が約14万世帯に及ぶと想定され、これは「墨田・台東エリア」との比較で約7倍の規模に達し、その対策費用もより巨額になるという理由から落選した。「さいたまタワー」の建設予定地だったさいたま新都心の8-1A街区は暫定的に駐車場として使用されており2008年3月に高さ186メートルのオフィスビルを建設することで正式に決まったが不況の影響で開発担当企業が規模縮小を要望、埼玉県とさいたま市がこれを拒否し2010年に再び白紙となった。2011年にはさいたま赤十字病院や埼玉県立小児医療センターなど老朽化している県内既存医療施設の移転案が浮上している。関東圏に新しく電波塔を建設することの利点と問題点が議論されていた。北関東では地理的条件で宇都宮・榛名波が受信できず、タワー波の受信レベルでさえ低い地域でも地上デジタル放送を受信することができるようになる。県域局のTOKYO MXが茨城県などで混信の少ない16チャンネルへ変更となり、さらにスカイツリーへ今のままの送信出力・指向性なしで移転することで実質的にエリアが拡大することが期待されていた。一方でTOKYO MXは親局を東京スカイツリーに移し高い位置から送信することで都内全域に放送を届けられるようになるが、その分スピルオーバーが大規模に発生するとして近隣県の独立放送局から反発を受けていた。過去に秋葉原地区でテレビ塔建設の検討を行った際に、「電波塔直下において、高感度の受信機ではノイズ等が発生するおそれがある」が建設中止の理由の一つであった。このため、東京スカイツリーでも同様の懸念がある。東京タワーと異なる場所になるためテレビアンテナの向きを変える必要があるのではないかという質問が多数寄せられたが、総務省・日本放送協会技術部などの見解は「問題なし」である。2009年までのシミュレーションによると、スカイツリーに対して一番受信しづらい90度の向きであっても十分な電界強度が得られる。ただ、ごく近隣での受信では減衰させるアッテネータを使用したほうが安定する場合もある。アンテナの向きに関して総務省は情報通信審議会情報通信政策部会「第42回地上デジタル放送推進に関する検討委員会」(2009年1月16日開催)において、「関東広域圏の地上デジタル放送の親局が東京タワーから東京スカイツリーに移行することによる視聴者への影響はほとんど無いであろう」との見解を示した。東京23区内は電波の強度が強くアンテナが東京スカイツリーに向いていなくても地上デジタル放送の番組を視聴できる可能性が高く、また東京タワーや東京スカイツリーから離れている地域については位置関係が相対的に変わらないため視聴者に与える影響はほぼ無いだろうとの見方が示されていた。しかし、実際には後述のような電波障害が発生し、移行スケジュールに大きな遅れが生じた。東京スカイツリーができることにより多くの観光客が当地を訪れ、地元の商業が活性化することが期待できる。しかし、テナントを募集する際は地元の商店を優先したものの家賃が高いことから(墨田区の坪単価は1万円前後だが、スカイツリーは3 - 5万円)1軒も入らないことに決まった。結果、東京スカイツリーには大規模な商業施設が併設され、短期的に見ると地元商店街を圧迫するおそれが大きい。長期的に見ると、日本において過去に建設された多くの観光タワーや観光施設としてのテーマパークはその価値の低下・陳腐化によりオープンから時間が経つにつれ入場客が減少している。入場者の安定的な確保には東京ディズニーランドのような巨額の再投資が必要であるがその費用が十分確保されていないことから、タワー自身の観光的価値に多くを依存することは大きな経営的リスクを伴うと指摘されている。スカイツリーの周囲は低層の住宅地であり、下町の雰囲気が色濃く残っている。ここに巨大な構造物が突如現れることにより町の景観が破壊され周囲に対する圧迫感を与えている。景観だけでなく、周辺地域では東京スカイツリーを訪れた多数の観光客・見物客による違法駐車、ゴミのポイ捨て、立ち小便、深夜・早朝の騒音、交通渋滞、歩きタバコなども問題となっている。タワー本体に風が当たり風切り音が騒音となるともいわれる。電磁波による人体への影響についての医学的研究は途上であるが、電磁波により周辺住民が電磁波過敏症を発症するリスクが高まる可能性が指摘されている。また電磁波によって電磁障害が起き、コンピュータ等に影響を与える懸念も指摘されている。2010年2月から3月にかけて300メートル前後まで、4月17日には約350メートルの高さとなったが、この時東京に降雪があり、タワー上部に積もったり付着した雪の片または塊の落下が見られた。このため、降雪時には事務所内に対策本部を設けている。2012年1月下旬にも落雪が原因と思われる被害が半径200メートル以内に出た。同塔は構造上は円筒状の柱が上下斜めになっていて雪が積もりにくいが、その材質が金属のため外気温の変化を受けやすい。更に展望台は雪が積もりやすく、高い位置に長時間積もった雪は氷のように硬くなりやすいことから大きな塊が落ちた場合に備えて、2012年2月11日と12日には東武タワーと大林組は通行人に落雪への注意を呼び掛けた。また、東武タワーは同被害に対し賠償に応じている。2012年末までに地上150メートル以上から最頂部634メートルの間に計45台へとカメラを増設し、積雪状況を監視して地上の約60人の警備員が歩行者や住民に落雪の注意喚起を行う。2013年1月15日には直径20センチメートル以上の雪塊が何度も落下し、一部では規制線が張られ、また民家の屋根に穴が開くなどの被害が4件発生した。このように、スカイツリーは開業前から落雪問題がしばしば指摘されてきたが、開業以降は強風問題も浮上している。開業初日には、早くも暴風雨によりエレベーターの運行が一時停止され、さらに第2展望台の営業を2時間以上早く打ち切った。この日を含め、2012年度は展望台の営業を25日休止した。2013年度は展望台の営業を40日休止したことが響き、スカイツリーの年間来場者実績は約619万人と、想定より25万人下回った。茨城県かすみがうら市では東京タワーからの電波を受信してテレビを見ていたが、東京スカイツリーが東京タワーからの電波の障害物となってしまって電波が受信しづらくなってしまう地域があるため東京スカイツリーによる電波障害を市民に注意喚起していた。前述の通り、東京タワーから東京スカイツリーへの移転により電波障害は発生しにくいと考えられており在京テレビ6社の切り替えは2013年1月頃を予定していたが2012年7月から10月の間に深夜東京タワーからの送信を止め東京スカイツリーから送信する試験電波による視聴者参加のモニター調査を行った結果、集合住宅で10.5パーセント、戸建住宅で11パーセントの世帯が電波を正しく受信できないことが分かった。原因としてアンテナの向きの問題や室内アンテナの使用、強電界エリアにおいて設置されている受信ブースターによって電波が増幅され強すぎることで正しく受信できない問題等が挙げられた。受信障害は地域的な偏在ではなく設置状況に応じて点状に散在しており、試算では関東1都6県約1500万世帯・事業所のうち約16万件に影響すると判明し予想以上の受信障害への対策のために機能移転が遅れる見通しであるとNHK会長松本正之は2012年11月1日の記者会見で明らかにした。このため2012年12月22日から東京スカイツリーからの電波の受信確認を促す『東京スカイツリー受信確認テスト』の放送を在京テレビ6社で開始、問題がある場合には東京スカイツリー移行推進センターに相談するよう呼びかけ、計100億円を負担して各家庭のアンテナ調整や交換など受信障害回避の対策を行うこととなった。また、当該在京テレビ6社以外の放送局(テレ玉、チバテレ、tvk、放送大学等)の受信に影響が出た場合にも移行推進センターで対応している。この問題により機能移転は2013年5月1日に変更するとし、その後同年5月末頃へと変更された。その後、受信確認テストを繰り返した結果、視聴者からの相談件数が減少し対応工事のめどがついたことから総務省と協議を行い、2013年5月24日に総務大臣新藤義孝が今後の試験放送で受信障害が急増しないことや各局が移転後も受信対策に万全を期すことを条件として同年5月31日にスカイツリーへの移転を容認すると表明し在京テレビ6社も正式に同日の移転を行うと発表した。そして、同年5月31日9時にスカイツリーからの放送に移行した。なお、同年3月31日時点で16万4251件の相談があり7万1516件に対策が必要な事が判明し、同年5月28日までの要対策件数は12万5400世帯であった。さらに、同年5月31日9時の完全移行後、スカイツリーの地元である墨田・台東・江戸川3区のケーブルテレビを受信している約2200世帯で古くなった端子やケーブルにスカイツリーからの強い電波が干渉したことが原因で画面が乱れたり何も映らないなどの受信障害が発生した。また、同日9時から22時までに受信相談コールセンターに1万7792件の相談(うち対策工事が必要な相談が7664件)があり、同年5月31日から同年6月4日までの間で新たに2万7647件の受信障害が判明したことが発表されている。東京スカイツリーは建設中の時点から大変な注目度があり、新たな東京のシンボルとして様々な小説や映像作品に登場している。ただし、直接登場することもあれば単なる背景として登場することもあるなど作品数だけでも大変多いため、割愛している。また、東京タワーとは異なり「東京スカイツリー」は商標名であるため、この名称が使えない場合は「東京スカイタワー」などのように名称を変更して登場させるケースも多い。東京タワーが多くの特撮映画・特撮テレビドラマで怪獣によって倒されるなどの被害を被っているためか、近年の怪獣などを扱った小説や漫画、アニメなどでは東京タワーに代わる東京のランドマークとして東京スカイツリーが怪獣の攻撃を受けるという作品が多い。しかし、東京スカイツリーが登場する特撮作品は、唯一河崎実監督の『電エース』があるのみでほとんど存在しておらず、使用料が発生するとされている。なお、『ウルトラQ dark fantasy』には高さ666メートルの「第2東京タワー」という電波塔が登場してレキューム人の攻撃を受けているが、作品自体は東京スカイツリーの建造が始まる4年前(2004年)に制作されたものである。

出典:wikipedia

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