アリアドネー()は、クレーテー王ミーノースと妃パーシパエーのあいだの娘である。テーセウスがクレーテーの迷宮より脱出する手助けをしたことで知られる。アリアドネーという名は「とりわけて潔らかに聖い娘」を意味するので、この名からすると本来女神であったと考えられる。日本語では長母音を省略してアリアドネとも表記される。クレーテー王ミーノースは、息子アンドロゲオースがアッティカで殺されたため、アテーナイを攻めた。こうしてアテーナイは、九年ごとに七人の少女と七人の少年をミーノータウロスの生贄としてクレーテーに差し出すことになっていた。テーセウスはこの七人の一人として、一説ではみずから志願して生贄に加わってクレーテーにやって来た。アリアドネーはテーセウスに恋をし、彼女をアテーナイへと共に連れ帰り妻とすることを条件に援助を申し出た。テーセウスはこれに同意した。アリアドネーは工人ダイダロスの助言を受けて、迷宮(ラビュリントス)に入った後、無事に脱出するための方法として糸玉を彼にわたし、迷宮の入り口扉に糸を結び、糸玉を繰りつつ迷宮へと入って行くことを教えた。テーセウスは迷宮の一番端にミーノータウロスを見つけ、これを殺した。糸玉からの糸を伝って彼は無事、迷宮から脱出することができた。アリアドネーは彼とともにクレーテーを脱出した。クレーテーより脱出後、プセウド・アポロドーロスは、二人は子供もつれてナクソス島へと至ったと記すが、これ以降のアリアドネーの運命については諸説がある。プセウド・アポロドーロスは、ナクソス島でディオニューソスが彼女に恋し、奪ってレームノス島へと連れて行きそこでアリアドネーと交わり子をなしたとする。この交わりによって、トアース、スタピュオス、オイノピオーン、ペパレートスが生まれたとされる(オイノピオーン、エウアンテース、スタピュロスの三人ともいわれる)。しかし別の説では、アリアドネーはナクソス島に至りひどい悪阻であったため、彼女が眠っているあいだにテーセウスに置き去りにされたともされる。或いはこの後、ディオニューソスが彼女を妃としたともされる。また、ホメーロスの『オデュッセイア』においては(巻11、324-5)、一行がディアー島に至ったとき、ディオニューソスの了承のもと、アリアドネーはアルテミスに射られて死んだとされる。呉茂一はこちらが本来の神話であったろうとしている。アリアドネーの名は、むしろ女神の名に相応しい。5世紀の辞典編纂者ヘーシュキオスの記録に従えば、クレーテーでは、アリアグネーと彼女は呼ばれていた。この名は「いとも尊き(女・女神)」の意味で、この名の女神はエーゲ海の多くの島で知られている。またディオニューソスの妃として結婚の祝祭が行われていた。アルゴスでは、アプロディーテー・ウーラーニアー(「天のアプロディーテー」の意、ウーラノスより生まれた女神をこの称号で呼ぶ)の社殿の傍らにアリアドネーの墓が存在していた。
出典:wikipedia
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