国鉄タキ5750形貨車(こくてつタキ5750がたかしゃ)は、1966年(昭和41年)から製作された、濃硫酸専用(一部発煙硫酸兼用)の 40 t 積 貨車(タンク車)である。私有貨車として製作され、日本国有鉄道(国鉄)に車籍編入された。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を承継している。重化学工業の各分野で広汎に使用される濃硫酸を輸送する貨車の一形式で、1966年(昭和41年)12月3日から1975年(昭和50年)1月20日にかけて500両(タキ5750 - タキ5799、タキ15750 - タキ15799、タキ25750 - タキ25799、タキ55750 - タキ55799、タキ65750 - タキ65799、タキ75750 - タキ75799、タキ85750 - タキ85799、タキ95750 - タキ95799、タキ105750 - タキ105799、タキ115750 - タキ115799)が川崎車輛(現・川崎重工業車両カンパニー)・汽車製造・富士重工業・日立製作所・日本車輌製造・新潟鐵工所で製作された。工業生産進展に伴う輸送需要の増大に対応するため、荷重増・輸送効率向上を企図した種々の軽量化対策を採用し、非石油系化成品液体専用車では初の 40 t 積を可能とした。昭和43年10月国鉄ダイヤ改正(いわゆる「ヨンサントオ」)に伴う老朽車両の取替需要もあって大量に製作され、500両の総製作数は濃硫酸専用車の最大となった。保安対策に伴う諸基準の改訂に伴い、1976年(昭和51年)以降は安全対策のための諸装備を付加した新形式タキ29300形(39 t 積)の製作に移行し本形式の製作は終了したが、以後も濃硫酸輸送の主力形式として各地で使用された。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化では491両がJR貨物に車籍を承継され、引き続き各地で使用されてきたが、運用範囲は漸次減少し2008年(平成20年)までに事実上用途を喪失している。2010年(平成22年)4月1日現在15両が在籍している。※ 本節では各形態間に共通の箇所について記述し、特有の仕様については後節にて記述する。積載荷重 40 t の腐食性液体輸送用2軸ボギータンク貨車(タンク種別:第3種)で、荷重増大に対応しつつ運用制限を課さない汎用車としての用途とも両立させるため、諸制限の限界まで車体各部の軽量化を図った設計で製作された。タンク体は全車とも直円筒形状(JIS 類型 A 形)で、一部を除き実容積は 21.3m³ - 22.0 m³ 、設計比重は 1.81 - 1.86 である。軽量化の必要から鋼材に高耐候性鋼 (SPA-H) を用い、強度を確保しつつ板厚を薄くしている。発煙硫酸兼用車では設計比重を高くし、タンク実容積を相応に縮小している。台枠は車体側面の側梁を省略している。これは自重軽減のための措置で、同様の理由から、車体幅方向の台枠部材である枕梁・端梁は長さを短縮し、車体幅を狭小化している。車体長方向中央を貫通する中梁が牽引力や車端衝撃を全て負担する構造であることから、中梁の部材は断面形状を応力に耐えうる形状として強度を確保している。これら軽量化対策の結果、自重は 13.7 t まで軽減され、積車時の最大重量を 54 t(軸重 13.5 t)以下に収めて運用制限を回避し広汎な運用を可能としている。車両全長は 10,800 mm で、記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「タキ」と標記する。専用種別標記は「濃硫酸専用」発煙硫酸兼用車は「濃硫酸及び発煙硫酸専用」で、1979年(昭和54年)10月までに、化成品分類番号「84」(侵食性の物質、水と反応する物質、腐食性物質、禁水指定のもの)が標記された。車体の外部塗色は黒色である。荷役装置はタンク体中央上部に弁装置等の配管類を集中して設け、積荷の搬入は上部の注入口から、搬出は空気弁から空気を注入加圧して上部液出弁から行う「上入れ上出し」方式である。タンク側面外部の液出管・空気管は当初より装備しない。台車は国鉄貨車の標準形式であったスリーピース構造の台車 TR41C 形で、鋳鋼製の台車側枠と一体成型された軸箱部・平軸受の軸箱支持方式・重ね板バネの枕バネは他の TR41 系台車と共通の仕様である。後年製作の車両では枕バネを2重コイルバネに変更し、オイルダンパを併設した TR41E-13 形を装備する。ブレーキ装置は制御弁に K 三動弁を、ブレーキシリンダに UC 形差動シリンダを用い、積荷の有無で2段階にブレーキ力を切り替える「積空切替機構」を併設した KSD 方式(積空切替式自動空気ブレーキ)である。最高速度は 75 km/h である。45 t 積濃硫酸専用車。1968年(昭和43年)に5両(タキ10550 - タキ10554)が日立製作所にて製作された。35 t 積リン酸専用車。1968年(昭和43年)から1978年(昭和53年)にかけて14両(タキ11200 - タキ11213)が川崎車輛、新潟鐵工所、日本車輌製造にて製作された。製作時期により形態の差異があり、本形式の仕様に基づく車両は1968年(昭和43年)に製作された5両(タキ11200 - タキ11204)である。40 t 積カオリン液専用車。1973年(昭和48年)から1974年(昭和49年)にかけて5両(タキ23900 - タキ23904)が富士重工業にて製作された。
出典:wikipedia
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