伊藤の補題(いとうのほだい、Itō's/Itô's lemma)は、確率微分方程式の確率過程に関する積分を簡便に計算するための方法である。伊藤清が考案した。確率過程、とくにウィーナー過程 formula_1 の積分を考えたい。確率的にしか予言できない過程であっても、大数の法則を認めるような立場では、積分を定義することが出来る。このような積分の定義の仕方にはいくつかあるが、伊藤清の定義した伊藤積分が、積分がマルチンゲールになるという応用上望ましい性質を持つため、しばしば用いられる。確率過程 formula_2 の区間 formula_3 におけるウィーナー過程 formula_1 に関する積分をの分割 formula_6 を細かくした極限で定義する。関数 formula_2 は、よい性質(可測で、formula_1 が適合する増大情報系に適合し、局所二乗可積分)を持っているものとする。一見、リーマン積分と似た定義である。しかし、区間 formula_9 のどの formula_10 で formula_11 を評価してもリーマン積分は定義できるのに対し、伊藤積分は区間の左端 formula_12 を用いる。この和は、分割の仕方によらず、分割を小さくする極限で一定の値に収束することが示されるこの積分のいわば逆計算として、確率過程の微分 formula_13 が定義できる。二次の微分 formula_14 はの分割 formula_16 を細かくした極限で定義する。確率過程 formula_17 が確率微分方程式に従っているとき, formula_19 がformula_20 について二回連続微分可能とするとが成立する 。確率過程を含まない積分表示では現れない formula_22 の微分に関する二次の項が存在する。これはウィーナー過程の性質formula_23 による。伊藤の公式は、formula_19 の二次までのテイラー展開にを適用して得られる形をしている。伊藤ルールを用いると、次のような計算が出来る。上記の確率過程を含む二回微分の定義(1) を用いる。第一式はと置くと、formula_30 の期待値はである。ウィーナー過程の性質により、それぞれのformula_32 は独立だからformula_30 の分散はである。ウィーナー過程の性質により、formula_32は平均 0 分散 formula_36 の正規分布に従う。すなわち、formula_37、formula_38、formula_39となるから結局 formula_40 であり、分割を細かくする極限でチェビシェフの不等式を用いれば、formula_30 は formula_40 に(確率の意味で)収束することが示される。第二式はと評価されて、formula_45 は連続であるから分割を細かくすると右辺が 0 に収束する。第三式はと評価される。
出典:wikipedia
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