アポロ計画陰謀論(アポロけいかくいんぼうろん)とは、アメリカがNASAを中心として1960年代〜1970年代に行ったアポロ計画(人類の月面着陸計画)が陰謀であったとする説(陰謀論)や捏造であったとする説のことである。陰謀説には、大きく分けて以下の2種類のものがある。フィクションやジョークの類ではなく、事実としてアポロ計画捏造説を主張した最初の出版物はが1974年に出版した “"We Never Went to the Moon"”(我々は月に行ってなどいない)であるとされている。自費出版系の出版社から発行されたこの本は、著者の主張によれば3万部が売れたという。キリスト教根本主義の一派である平面地球協会(地球は球ではなく聖書にあるとおり平らであると主張する団体)は、月着陸が捏造だとNASAを弾劾した最初の組織であり、1972年から2001年の協会代表だったチャールズ・ジョンソンは「SF作家のアーサー・C・クラークが脚本を書いて、ハリウッドのスタッフがアリゾナで撮影した」と主張していた。アポロ計画陰謀論に関連する映画として、アメリカによる有人火星探査を描いたSF映画「カプリコン1」(1977年、英、監督ピーター・ハイアムズ)がある(アメリカの威信をかけた有人火星探査に失敗したNASAが、それを隠すため、室内に火星セットを作り、火星への着陸シーンを撮影するというもの)。同年にイギリスではエイプリルフールのジョーク番組として「第三の選択」(製作アングリアTV)が放映された(放映日は6月20日)。これは、宇宙飛行士の名前をわざと間違えている、登場人物を演じた俳優名が役名ともにキャストロールで明記されている、製作年月日が4月1日になっているなど、注意して見れば番組そのものが冗談だと分かるようになっていた。この番組はアメリカでも放映され、真に受ける視聴者が続出した。日本では同年フジテレビの深夜枠で「この番組は本年4月1日にイギリスで放送されて大反響を巻き起こしました」という前振りを入れて放映されたが、番組を観た視聴者から新聞社や放送局に問合せが殺到し、慌てたフジテレビではジョーク番組であった旨のコメントを発表した。1982年1月21日に日本テレビ「木曜スペシャル」枠で放映されたが、視聴者がジョーク番組だとわかるための手がかりであるエンドクレジットがカットされて放映された(口頭でエイプリルフールである旨を伝えている)。1991年8月28日には同番組がフジテレビで放映されたが、このときは放送の最後に「4月1日」と日本語のテロップで表示されていた。2000年代初め、テレビ朝日がバラエティ番組「不思議どっとテレビ。これマジ!?」でアポロ計画陰謀説を紹介し、エドウィン・オルドリン宇宙飛行士など関係者に取材するなどした後、数度にわたって番組を放送したが、番組を観た視聴者から編集方法に偏りがあるとの苦情が放送と青少年に関する委員会へ寄せられ、委員会よりテレビ朝日へ苦情に対する回答要請が出された。テレビ朝日は、2003年の大みそかに放送した「ビートたけしの世界はこうしてだまされた!?」の中で、フランスのテレビ局が制作した『』という番組を紹介した。その内容は、アメリカ合衆国国防長官ドナルド・ラムズフェルドを始めとするアメリカ高官が、アポロ計画を捏造するために「2001年宇宙の旅」を監督したスタンリー・キューブリックに月面の映像作成を依頼したと告白するというものであったが、この番組はアメリカの高官の発言の合間に役者の演じる架空の人物(名前は映画の登場人物名や俳優の本名をもじったもの)の発言を挟むことで、高官が実際には言っていないことを言っているかのように錯覚させる「フェイク・ドキュメンタリー」と呼ばれるフィクション作品である。「ビートたけしの世界はこうしてだまされた!?」の司会者も、『Opération Lune』の紹介が終わったあとで「この番組はエイプリルフール用に作られた冗談番組です」と明言している。日本の陰謀論者の中には、自分の著作やコラムでこの番組を論拠とし、中華人民共和国が予定する嫦娥計画が人類初の月面着陸となるであろう、と主張する者もいる。。キリスト教文化がそれほど浸透していない日本では、アメリカ同時多発テロ事件陰謀説等と同様に反米主義を前提とした陰謀論や科学技術に対する無理解・懐疑と関連して唱えられることが多い。副島隆彦は2003年に自身のブログでアポロ計画がアメリカ政府による情報操作の具体例であると主張、2004年にそれを『人類の月面着陸は無かったろう論』として出版した。しかしブログに掲載された段階から静止衛星やロケットの原理など、一般的な基礎知識や初歩的科学に基づく部分だけでも多くの間違いがあることや調査不足であることがネット上で多く指摘され、2005年のと学会による「日本トンデモ本大賞」に選定されている。またその年末にと学会は『人類の月面着陸はあったんだ論―と学会レポート』を出版し、これらのテレビ番組で取り上げられた内容や『人類の月面着陸は無かったろう論』の記述の中の科学的に誤った箇所について指摘を行った。テレビ東京系で2008年7月1日に放送された『新説!?日本ミステリー 2時間スペシャル』では「ミステリー 其の十七 アポロ11号はやはり月に着陸していなかった!?」としてこの説を取り上げた。この中で高野誠鮮(番組内での肩書きは金沢大学科学史講師)が月面着陸の映像は本物であるとし、副島隆彦と大槻義彦が捏造であるという主張をした。宇宙開発関係の専門家でアポロ捏造説を批判したものはいるが、支持すると表明したものは今のところ存在しない。バラエティ番組やジョーク番組には登場するが、ニュース番組や科学評論ではまじめに扱われてはいない。捏造を主張する者の多くは、アポロ計画において撮影された写真において矛盾点が散見されるということ、あるいは当時の科学・技術水準を考慮すると、月面への往復は不可能ではないかという推論を、その根拠にしている。実際はその多くが科学的無知や事実誤認に由来する物であり、これに対してアメリカではNASA当局や民間テレビ局、日本では科学者有志やと学会など、いくらかの機関・協会が反論を上げている。捏造説そのものに関しては、以下のような指摘もある。遭遇隠蔽説は、主にジョージ・アダムスキーらが、宇宙人とのコンタクトに成功したということを信奉している者の中から生まれた説である。アダムスキーは1952年、宇宙人の乗った空飛ぶ円盤と遭遇し、金星人や火星人とコンタクトをとったと主張したが、その中に「月には大気があり、裏面には都市も存在する」という証言があった。しかし、これはアメリカのNASAやソ連が1950年代以降に行った月面調査と食い違うため、信奉家が「両国は嘘をついており、実際の月面は両国が発表しているものとは違う」と主張し、それが広まってこのような形に定着したものと見られている。なおこれらの根拠として、当時の宇宙飛行士のインタビューにおける証言を持ち出すものもいる。しかし実際には、発言内容を曲解したり、こじ付けを付けて強引にそのように解釈できるようにしたものが多く、中には実際に発言していないことをでっち上げ、実際の証言とは全く異なるものに仕立て上げたものもある。また「アポロが遭遇したUFO」や「月面上の人工建造物」が写っている、としている写真(否定的な解説については心霊写真とも共通点が多い)の多くもNASAが公開しているものや取り寄せたものであること、更にNASAなどが情報を隠蔽しているとするその話の情報源がNASAの公開しているものだったりするなど、明らかな矛盾を生じているという指摘も存在する(前述の捏造説と共通している部分)。日本においては、矢追純一やコンノケンイチといった人物が、これを主張している。中には「ソ連も既に月まで人類を送っている」、「月面内部は空洞である」、「火星に既に人類が着陸している」といった説を主張する者もいる。また、日本で上記の捏造説がテレビ朝日の番組で取り上げられるまで広まらなかったのは、日本のオカルト研究家がそれまでこれらの遭遇隠蔽説を主張しており、それと矛盾してしまうということが背景にあると、疑似科学・超常現象研究家でと学会員でもある皆神龍太郎は指摘している。実際、捏造説が広まった時もオカルト研究家たちは『ビートたけしの世界はこうしてダマされた!?』やオカルト雑誌『MU』などで、その間違いを指摘していた。2011年、アメリカで映画「アポロ18」が公開された。17号で終了したはずのアポロ計画だが、極秘に18号が打ち上げられ、月面で未知の生物に遭遇するという内容のモキュメンタリー映画である。また同年の映画『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』は、アポロ計画自体が月面に不時着した異星人(オートボット)の宇宙船の調査が目的であったという設定で、現代のシーンでバズ・オルドリン本人も出演している。アポロ計画陰謀論の中には、地球周回ではなく月面着陸を果たした宇宙飛行士の劇的な性格の変化を理由として挙げるものもある。よく取り上げられる例として、帰還後のバズ・オルドリンがうつ病を患ったというものがあるが、宗教的な道へ進んだ人物も多い。
出典:wikipedia
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