改名(かいめい)とは、名称を改めること。改称(かいしょう)も同義。人名などの改名では婚姻による姓(名字、民法上は氏)の改名が最も多い。この場合改名したことによって仕事上不都合が起こると主張する議論がある。詳しくは夫婦別姓を参照されたい。婚姻による改名は婚姻届を提出することによって許可される。夫婦の一方が死亡したとき、生存配偶者の氏に影響はしないが、生存配偶者は婚姻前の氏に復することができる(民法751条)。夫婦が離婚すると、婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻前の姓に戻る(民法767条1項)。それに伴う不便を解消するため、離婚により元の氏に戻った夫又は妻は、離婚の日から3ヶ月以内に戸籍法に基づく届出により婚姻中の氏を称することができる(同条2項)。また婚姻によって姓を改名した場合、改名した側に子供がいる場合は子供の姓も改名される。この他に、難読のため不便を来す、珍名が原因でいじめられる、偶然に犯罪者と同姓同名となり迷惑を被っている、専ら本名以外の名を使用しており本名よりもそちらの方が知られている、神職や僧侶になる、あるいは還俗するため名前を変える、異性や外国人に間違えられる、家に代々伝わる世襲名を名乗る、近所に同姓同名の者がいて紛らわしい、婚姻や養子縁組によって姓を改名した結果配偶者や姻族・養家族と同姓同名になってしまうなどの理由で名の変更届によって改名が行われる場合がある。舞台美術家の妹尾河童は、元の本名である肇(はじめ)より、あだ名の「カッパさん」の方が通りがよくなってしまったという理由で、また政治家の秦知子は全て読み仮名化する「はたともこ」への、改名をしている。こうした場合の戸籍上の本名の改名には家庭裁判所の許可が必要である。また、2つ以上の名前をもつ場合にもうひとつの名前に変更する行為は譲渡になる。改称は旧名での権利が消滅したのに対し、譲渡とは譲渡者、譲受者それぞれの名義における権利が有効であることが異なる。移民の多いアメリカ合衆国では帰化、国籍選択の際に名前は変更しない場合と、苗字を英語に翻訳したものを登録して使う(NowakをNewman、KrawczykをTaylorに改名など)場合がある。さらに、市民権取得の際に、それまでの名前と全く関係のない別名に変更する事が可能である。日本でも、台湾のジュディ・オングは当初、翁玉恵(おきな たまえ)という名前にして帰化したが、現在は翁ジュディとしているように、日本とも出身国とも異なる名前にする事も不可能ではない(ただ、彼女は台湾時代からジュディという英語名を持っており、全く無関係の名前というわけではない)。また、日本の国籍を持たない人が日本に帰化するとき、国籍を取得したことを分かって貰うために改名を行う場合がある。これは、帰化もしくは国籍を選択する際に薦められる行為であって、必ずしも日本風の名前に変更する必要は無い。現在でも、帰化した際には日本風の姓名(通名含む)が必須であるという誤解が根強いが、これは、帰化申請の書類を提出する際に、名の欄へ記入できる文字は日本語(日本の常用漢字・人名用漢字・平仮名・片仮名)のみとなっていることが拡大解釈されていると思われる。ただこれは、例えば日本人がアメリカに帰化するならば、申請書類には当然アルファベットで自分の氏名を記入しなければならない事と同じである。日本への国籍変更の際に一般的な改名の方法は、自分の姓に適当な漢字を当てる方法である(例:ツルネン・マルテイ(弦念丸呈)や三都主アレサンドロ、クロード・チアリ(智有蔵上人)、ドナルド・キーン(鬼怒鳴門)など)。その他、元々日本風の苗字を持っている日系人の場合は、それをそのまま使う方法がある(例:宮沢ミシェル、田中マルクス闘莉王など)。また二重国籍者の場合、日本人の親の姓(婚姻により姓が変更されている場合は旧姓)を用いる方法もある(例:マーク・パンサー(酒井龍一)など)。さらに日本人と結婚したり、日本人と養子縁組をして帰化した場合、配偶者あるいは養家の姓を使用する方法もある(例:白井貴子、ボビー・オロゴン(近田ボビー)など)。力士の場合、日本人も外国人も、本名とは異なる四股名を貰う。この四股名を帰化した時の本名とする場合がある(例:KONISHIKI(小錦八十吉)、武蔵丸光洋)。長年用いてきた四股名であればアイデンティティーの一部となっている事がほとんどなのでこの方法を用いる力士は多い。また、日本人と結婚した外国人力士の場合、帰化する際妻の名字を本名とするケースもある。戦中は日本国籍を取得していない外国人に対しても、強制的に日本風の名前に改名させるケースも見られた。代表例はヴィクトル・スタルヒンで、彼は無国籍の「白系ロシア人」であったが、日露間の感情悪化から「須田博(すた ひろし)」に改名させられている。在日コリアンで日本人風の通称(通名)を用いている者は多く、帰化する際に通名を本名とする者も多い。一方で帰化する際にそれまでの名前を用いる者や、旧本名とも通名とも異なる名前に変える者も存在する。英米法諸国・地域においては改名に関する制約が緩やかである一方、大陸法諸国・地域においては改名は厳しく制限される。アメリカ合衆国では、州によって異なるものの、ルイジアナ州を除くほとんどの州では原則として住民は任意の姓名に改名することができる。大多数の州では法的手続によらない改名を認めているものの、銀行や政府機関に改名を認めさせるのには裁判所の決定()を受ける必要がある。改名の申立てには詐欺的その他の違法な目的による改名でない旨の書面を提出する必要があるほか、改名の希望に関する一定程度合理的な説明を求められることがある。一方ケベック州(カナダ)においては大陸法が採用されているため改名の手続は非常に厳しい。民事身分理事官(Directeur de l'état civil)による許可が必要であり、姓名の変更を必要とする重大な理由(motif sérieux)が要求される。芸名、ペンネーム、ハンドルネーム、ニックネームなどの変更は、特に公的な申請や手続は必要ないので、人気の出ない芸能人などが頻繁に芸名を変更する、すなわち改名する例がしばしば見受けられる。またそれなりに知名度のある芸能人などでも、運気の上昇を狙って改名する場合がある。この他、師弟関係の解消や所属していた芸能事務所からの離脱などから与えられた芸名の返上を求められて芸名の改名を迫られたケースは少なくない。かつて戦中には英語調の芸名が敵性語であり時勢にそぐわないとされたり、宮家・忠臣を揶揄するなどの理由で「軽佻浮薄」とされ、芸名を強制的に改名させられたケースもある。また、改名は同時に披露による宣伝効果などを期待できるので行われることも多い。ただし、それまでの名前と新しい名前に何らかの関連性がないと、同一人物だと分かってもらえない可能性があるので、漢字を変える、漢字表記を仮名表記に(もしくはその逆もあり得る)改めるなどの程度に留まる事が多い。最近では「藤岡弘、」「本田美奈子.」「サンプラザ中野くん」「北芝憲.」等のように記号を用いる場合もある。こうした改名は日本人だけに留まらず、プリンス、T-ARA(日本デビュー当初)などは読み方不明の固有のシンボルマークを用いた時期があった。このような改名の理由について、本人からは確たる説明がなされないことも多いが、自己顕示による行為であると考えるものは多い。芸名の改名の場合は、次のような例もある。またスポーツ選手等の場合、同姓同名も多いため、本名での登録からニックネームでの登録名に変更する場合がある(登録名は後から来た同姓同名者に命じられることが多い)。Jリーグでは、本名が長く本国でも通称での登録が普通に行われる競技文化があるブラジル人選手を除き、ニックネームでの登録は原則として認められていない。ただし双子の選手などは紛らわしくファンも登録されている苗字以外で呼ぶ事が多いので、ニックネームでの登録を認めるように主張している者もいる。なお現在も、ユニフォームに名前を表示する際は通称でも構わず、横浜FCでは三浦知良のユニフォームにはKAZU(カズ)、途中入団した三浦淳宏はATSU(アツ)で表示されている。団体、法人の名前の変更はイメージアップなどを目的として行われる。1980年代に元々の漢字表記での団体名、法人名をカタカナの略称やブランド名などに変更したり、英語表記の新団体名、法人名に変える事がブームになった。またJRグループをさきがけとして“J”と言う文字を使用した法人名・略称が1990年代初頭に流行した。さらに、INAX、オリックス、エニックスなど語尾に「X」をつけることも流行している。こうした団体名や法人名の改名においては、時流に合わせた改名が行われることが多い。イメージアップを意図した改名例として、アダルト系雑誌の発行元である英知出版と名称が偶然同一だったこともあり「エッチ大学」という蔑称で呼ばれるなどした英知大学が、聖トマス大学に名称変更したケースがある。こうした流行とは関係なく、多国籍企業や複数の国で販売されている商品は、国外に出ることによって全く変わった意味で取られてしまうことにより改名を迫られる場合が多い。但し企業の都合や問題解消により日本名がそのまま用いられることもある。例:古くは飛鳥時代晩期の令制国制定によるそれ以前の国・県からの分割・統合による改名や、奈良時代の分立による制定、明治時代の北海道への令制国名の制定(計11国)が行われた。国家の名称の変更としては、政体の変更以外の理由ではブルキナファソ(旧称オートボルタ)、ミャンマー(旧称ビルマ)、ジョージア(旧称グルジア。ロシア語発音を拒否し英語呼称へ)、コートジボワール(旧称象牙海岸。フランス語呼称へ統一)などの例がある。飛鳥・奈良時代の分割による改名が行われた他に、明治時代の郡区町村編制法に伴う分割により改名された。廃藩置県後に制定された県は、明治時代の2度の統合により少なからず改名されている。市町村合併によって、新たな自治体名に改名される例が多い。こうした自治体名の改名は明治期以後に始まったことではなく、江戸時代以前の自然発生的な町村でもおこなわれてきた。江戸期以前の町村名の改名の記録は紛失している場合が多いので、元々地名の縁起や意味が判らなくなっているものが多いのではないかと見られている。市町村合併により、合併前の自治体名を大字にする例の他、住居表示の実施、土地区画整理、都市再開発にて改名される場合も多い。
出典:wikipedia
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