『朝鮮王朝実録』(ちょうせんおうちょうじつろく)は李氏朝鮮の初代太祖の時から純宗に至るまで27代519年間の歴史を編年体で編纂した1967巻948冊の実録。かつては『李朝実録』(りちょうじつろく)と呼ぶことが多かった。李氏朝鮮時代の政治、外交、軍事、経済など各方面の史料を記載しているといわれる。1997年(平成9年)にはユネスコの世界の記憶 (Memory of the World) 計画に登録された。李氏朝鮮では高麗王朝の伝統を受け、春秋館及び芸文館を常設して時政を記録した。1413年(太宗13年)に太祖実録15巻を編纂したのを始め、歴代国王の実録を編修し、文禄・慶長の役以前までは実録を漢城の春秋館及び忠州、星州、全州の史庫に各1部ずつ保管していた。各地に保管された実録は豊臣軍による文禄・慶長の役の際に多くが失われた。全州史庫の実録だけは内蔵山に移して後世に伝えられた。1603年(宣祖36年)実録の再刊行とされる作業が行われ、太祖から明宗までの13代の実録、804巻を3部ずつ刊行した。この時に印刷した3部と全州史庫にあった原本、再出版の時の校訂本など5部の実録を、1部は以前のように春秋館に置いて、他の4部は江華島の摩尼山、太白山、妙香山、五台山に史庫を新設して1部ずつ分けて保管するようになった。以後、妙香山史庫は茂朱の赤裳山に、摩尼山史庫は江華島に鼎足山史庫を新たに作って移管している。大韓帝国は1905年(光武9年)、春秋館本を奎章閣に移管し、地方所在の実録もその管轄下に置いたが、1910年(明治43年)、韓国併合によって奎章閣は廃止され、その図書は朝鮮総督府に集められた。1911年(明治44年)には太白山史庫本と江華島史庫本も総督府に集められ、赤裳山史庫の実録は蔵書閣に移管された。この時、五台山史庫本は東京帝国大学に寄贈されたが、1923年(大正12年)の関東大震災のため殆ど燃失している。1930年(昭和5年)に鼎足山本と太白山本は奎章閣図書とともに京城帝国大学に移され、第二次世界大戦後ソウル大学校図書館に所蔵された。蔵書閣にあった赤裳山本は朝鮮戦争の時に北朝鮮側に移され、金日成総合大学図書館に所蔵されているといわれる。鼎足山史庫の実録は、現在ソウル大学校中央図書館に保管され、太白山本が総務処政府記録保存所釜山支所(釜山広域市蓮堤区巨堤洞)で保管されている。2006年(平成18年)7月14日、東京大学は五台山史庫本47冊をマイクロフィルムに収録し、原本をソウル大学校・奎章閣に寄贈(ソウル大は還収と呼ぶ)した。最後の二巻『高宗実録』と『純宗実録』は日本統治時代の1934年(昭和9年)に編集され、朝鮮総督府の影響下にあったとされる李王職により編纂された。このため韓国では、朝鮮王朝実録の編纂規例に合わない、日本人の見解に沿った記述が多過ぎるとして実録に含めない見解があり、その場合『朝鮮王朝実録』は哲宗まで25代472年間の1893巻888冊となる。この二巻は大韓民国指定国宝や世界の記憶からも外されている。日本では学習院大学東洋文化研究所が1953年(昭和28年)から1967年(昭和42年)にかけて高宗実録、純宗実録を含む『朝鮮王朝実録』全56冊を刊行した。この東洋文化研究所版(普及版と呼ばれている)は現在でも販売されている。1997年(平成9年)に新潮社から『朝鮮王朝実録』の日本語訳が刊行されたが絶版になった。この日本語訳は2012年(平成24年)にキネマ旬報社から復刊された。大韓民国では1968年(昭和43年)に国史編纂委員会が復刻本を刊行し、また近年、ソウルシステム社が『朝鮮王朝実録』CD-ROM版を発売している。北朝鮮では1980年代に(全400巻)、韓国でも1994年(平成6年)に朝鮮語訳がそれぞれ刊行された。その後、国史編纂委員会が朝鮮語訳の著作権を買い、2005年(平成17年)12月22日よりインターネットにおいて無料で読むことができるサービスが始まった。
出典:wikipedia
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