バルガンシクロビル（Valganciclovir、商品名：バリキサ）は、サイトメガロウイルスに対する抗ウイルス薬の一つである。ガンシクロビルを-バリンでエステル化し、プロドラッグとしたものである。下記に伴うサイトメガロウイルス感染症好中球数500/mm未満又は血小板数25,000/mm未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者には禁忌である。重大な副作用として添付文書に挙げられているものは、である。その他、“警告”欄に一時的又は不可逆的な精子形成機能障害、妊孕性低下、催奇形性、遺伝毒性、発癌性が記載されている。腸管及び肝臓のエステラーゼに因り速やかに加水分解されてガンシクロビルに変換され、サイトメガロウイルス感染細胞内でプロテインキナーゼ（UL97）にリン酸化されてガンシクロビル一リン酸になり、更にリン酸化されて活性型のガンシクロビル三リン酸になる。ウイルスDNAポリメラーゼがDNAを合成する際にデオキシグアノシン三リン酸（dGTP）と競合的に拮抗し、DNA合成が停止する。バルガンシクロビルを慢性疲労症候群の治療に用いた研究が有る。ヒトヘルペスウイルス-6（HHV-6）又はエプスタイン・バール・ウイルス（EBV）抗体陽性で神経認知症状及び消耗性疲労を示す慢性疲労症候群患者12名に、オープンラベルで6ヶ月間バルガンシクロビルを投与した結果、その内9名（75％）で症状が改善し、フルタイムの勤務に復帰出来、ウイルス抗体価も減少した。だが30名の患者を対象にした二重盲検臨床試験の結果は明瞭ではなかった。多角的疲労評価尺度（Multidimensional Fatigue Inventory）の一つであるMFS-20の値はバルガンシクロビル群と偽薬群との間で差があったが、統計学的に有意ではなかった上、抗体価にも差が付かなかった。然し2次解析の結果、評価尺度の一部で有意差が付いていた。サイトメガロウイルスに感染した多発性膠芽腫患者25名にバルガンシクロビルを投与した結果、2年生存率は90％であった。

出典:wikipedia