FMEA(えふえむいーえー、)は、故障・不具合の防止を目的とした、潜在的な故障の体系的な分析方法である。FMEA(意味:故障モードとその影響の解析)は、「設計の不完全や潜在的な欠点を見出すために構成要素の故障モードとその上位アイテムへの影響を解析する技法」である。フォルトツリー解析(Fault Tree Analysis)FTAがトップダウン手法であるのに対し、FMEAはボトムアップ手法という違いがある。FMEAは, FTA,HAZOP, デザインレビューとともにIECの国際規格になっている。故障モード()は「故障状態の形式による分類。例えば、断線、短絡、折損、摩耗、特性の劣化など」であり、「故障そのものではなく、故障をもたらす不具合事象の様式分類である。」別の言葉で言えば、製品システムを構成する項目(item)の構造的な(根源的な)破壊をいう。一方、故障とは機能障害である。何もなくただ機能しないということはありえなく、その製品が機能しない原因となる不具合が必ずある。この故障(機能障害)を引き起こした不具合、これが故障モードである。全く用途も構造も異なる機器でも、電気回路を内蔵している限り、例えば「断線」ということが起こる"かもしれない"。機器やそのモデルごとに起こりうる故障を全て考えるのは一般的に不可能であるが、故障を引き起こす不具合、つまり故障モードは類型的に分類できる。また、ある製品の新しいモデルがどう故障しやすいか直接予想することは難しい。しかし、断線などの故障モードはどうして起こるか、どれくらい起こりやすいかある程度予想が可能である。それで、故障モードから故障にいたるメカニズムを手繰っていくことで「故障の質的予想を系統的に統一的に行うことが可能になる」。これが故障モードを考える意味である。製造工程についても故障モードを考えるが(工程FMEA)、この場合、部品をつけなかった、正しい手順でつけなかったというような、その工程で行うべきと決められていることに違反することが故障モードになる。結果として生ずる不良やトラブルは「影響」であって故障モードとは言わない。FMEAは1940年代にアメリカ陸軍が正式に導入した。その後、航空宇宙開発の分野では、製造量も少なく費用のかかるロケット技術において、間違いをなくすために使用した。例えばアポロ計画でも使用している。アポロ計画でのHACCPプロセスに適用され、その後、HACCPは食品業界全体に普及した。人間を月に送り、安全に地球に帰還させる方法を開発する際、つまり1960年代にはFMEAを導入する重要な原動力があったわけである。1970年代になると、フォード が、ピントの問題後、安全と規制遵守のためにFMEAを自動車業界に導入した。自動車業界では、FMEAを製造プロセスにも適用し(PFMEA または工程FMEA)、故障を引き起こす恐れのある工程を量産開始前に検討し始めた。FMEAは、1950年ごろのジェット機開発(アメリカ合衆国:グラマン社)の際、操縦システムの信頼性評価のために、最初に使用されたともいわれている。日本では1970年ごろから一般に使われるようになった。FMEAは、最初は軍が発展させた手法である。現在では半導体、食品、 合成樹脂、ソフトウェア、医療健康などを含む各種産業で広く用いている。FMEAはまた、米国自動車工業会(AIAG、自動車産業行動委員会と訳す)の先行製品品質計画(APQP)のプロセスに取り入れ、製品開発及び製造プロセス設計の際にリスクを低減することに役立てている。APQPでは、製品と製造工程に対する影響(故障)を拾い上げるために、潜在的な原因を考えなければならないことになっている。リスクの度合い(RPNと呼ばれる指標)に基づいて対策しなければならないことを決め、対策した後に再度リスクの度合いを評価する。自動車業界では,ISO 9000の技術仕様を定めたISO TS 16949でFTA, FMEAを参照しており幅広く取り組んでいる。トヨタ自動車ではFMEAを「故障モードに基づく設計レビュー(DRBFM:Design Review based on Failure Mode)」をGD(GDキューブ:良い設計、良いディスカッション、良い観察)の一部として取り入れている。現在、このDRBFMはアメリカ品質協会が対応しており、詳細な手引きを提供している。FMEAは、下記のような流れで行う。石田勉は「FMEA実施の仕組みについても改善を重ねていくことが大切」と述べている。FMEAは、適用する範囲によっておおまかに、設計FMEA(製品設計FMEAとも呼ぶ)・機能FMEA・工程FMEA(プロセスFMEAとも呼ぶ)の3つに分類している。設計FMEA(設計故障モード影響解析:Design FMEA)は、製品設計段階で用いられる。製品を成す部品・ユニット毎に単純化された故障モードを挙げ、これらの故障モードが製品に及ぼす影響を予想することにより、潜在的な事故・故障を設計段階で予測・摘出する。さらにこれら故障モードに対して故障が発生する確率、発生した場合の影響の大きさ及び、発生の見つけにくさなどを評価・採点,ランク付けを行い重大な事故・故障を予防する。なお、「ランク付け」について、次のような欠点を指摘する説もあり、最近は、ランキングではなく絶対評価をする方法を採用することもある。機能FMEAとは、「ハードウェア及びソフトウェアの機能構成に着目して行うFMEA」を言う。工程FMEA(工程故障モード影響解析:Process FMEA)は、「作業及び管理のプロセス要素に着目して行うFMEA」である。製造工程における故障発生の原因・仕組みを設計段階で追求し、工程の改善を行うために工程管理部門が用いる。設計FMEAと違うところは、まず、準備するものが、QC工程図・作業手順書・設備仕様書など、工程の理解に必要な書類になること、次に、故障モードの抽出の視点が製品そのものでなく、製品を製造するための物(例えば、人、材料、設備、方法、環境)に向くことである。例えば、人の作業を必要とする工程では、ヒューマンエラーを考慮する必要がある。
出典:wikipedia
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