


エティエンヌ・アンリ・ジルソン(Étienne Henri Gilson、1884年6月13日 - 1978年9月19日)は、フランスの哲学者。E・ジルソンと略記されることも多い。指導教官ルシアン・レヴィ=ブリュール (Lucian Lévy-Bruhl) に勧められたことから、デカルトの研究を開始する。そして、1912年に、デカルトの定立した概念がいかに中世に定立された概念に依拠しているかを文献を詳細に比較して分析した『スコラ哲学=デカルト哲学索引』 (Index scolastico-cartésien) を発表する。その上で、近代ないし近世哲学と中世哲学との連続性を主張して、暗黒の中世的な哲学史観に転換を迫り、中世哲学の研究で業績を上げた。コレージュ・ド・フランスで、アンリ・ベルクソンの講義を聞き、トマス・アクィナスの研究を始めた。そこから、中世西洋哲学には、古代ギリシア哲学にはない、存在優位の思想があると主張して、両者の異質性を強調した。エミール・ブレイエ (Emile Bréhier) らは、物理学や数学にキリスト教的物理学やキリスト教的数学が存在し得ないのと同じように、キリスト教的哲学 (philosophie chrétienne) は、過去には存在しなかったし、本質的に存在し得ないと主張した。これに対して、キリスト教的哲学を肯定する立場から、論争を繰り広げた。ジルソンによれば、哲学には、形式的本質と歴史的実在の二つの秩序がある。そして、キリスト教的哲学は、歴史的実在としての秩序に属し、その意味で過去に存在したし、イスラム哲学、ユダヤ哲学と共に、哲学史の研究対象になると説いた。
出典:wikipedia
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