SS 433は、これまで観測された中で最も風変わりな恒星系である。食連星かつX線連星であり、主星はおそらく恒星質量ブラックホール、もしかすると中性子星であり、伴星は後期のA型主系列星と推定されている。またSS 433は最初に発見されたマイクロクエーサーである。SS 433の命名は、初めて星表に収録したケース・ウェスタン・リザーブ大学の天文学者ニコラス・センデュリュークとブルース・ステフェンソンによる。強い輝線を持つ恒星として、1977年版の星表に433番目に収録されたため、この名前が付けられた。SS 433は食変光星でもあるため「わし座V1343星」という変光星としての名前も持っている。SS 433は、約1万歳と推測されている超新星残骸のW50(マナティー星雲)の中に位置している。主星は、W50を形成した超新星爆発を起こした恒星の核が崩壊した残骸である。SS 433は、わし座の方角に地球からは約1万8000光年の距離にある。可視光線の相対光度は14等級で、X線源、電波源にもなっている。伴星は急速に質量を失っており、降着円盤が形成されている。降着円盤は高温に熱せられてらせん状に主星に落ち込み、円盤の上下方向に回転の軸に沿って強いX線と熱い水素のジェットを噴出している。ジェットを構成する物質は光速の25%の速度で進む。伴星はおそらく元々の主星の質量より小さかったと考えられており、そのため寿命が長くなっている。質量は太陽質量の3倍から30倍と見積もられている。主星と伴星は互いの周りを非常に近い距離で、約13.1日の周期で公転している。主星からのジェットは降着円盤と垂直に放出されている。ジェットと円盤は、軸の周りを79°傾斜して歳差運動している。ジェットと軸の間の角度は約20°であり、歳差周期は約162.5日である。歳差運動によって、ジェットは時に、より地球向きの方向や地球と逆向きの方向に噴き出すことがあり、観測される可視光線に赤色方向、青色方向のドップラーシフトを引き起こす。また、歳差運動によってジェットのらせんは拡大している。ジェットが超新星残骸の分子雲と衝突することで、W50(マナティー星雲)は引き延ばされた形に歪んでいる。2004年に行われた超長基線アレイによる42日間連続の観測で、ジェットについて新しいデータが得られ、理解が進んだ。ジェットの一部は、噴き出した直後に分子雲の物質に衝突し、光を発しているようだった。ジェットが衝突する物質は、置き換わる時もそうでない時もあり、ジェットの明るさが変動する原因となっていた。SS 433のスペクトルは、ドップラーシフトだけではなく特殊相対性理論の影響も受けていた。即ち、ドップラーシフトの効果が除いても、恒星系が地球から遠ざかる真の速度と比べて、時速約1万2000kmに相当する赤方偏移が残り、これは時間の遅れによるものだと考えられている。また相対論的運動はジェットの原子を励起して振動を遅くし、放射は赤方偏移する。
出典:wikipedia
LINEスタンプ制作に興味がある場合は、
下記よりスタンプファクトリーのホームページをご覧ください。