ひかりレールスターは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が山陽新幹線の新大阪駅 - 博多駅間で運行する「ひかり」の一種の車両および列車愛称である。本項では、同列車用に開発された新幹線700系電車7000番台についても記す。東海道新幹線に比べ、需要の小さな山陽新幹線を任されたJR西日本にとって、最も売り上げの見込まれる京阪神と北九州市・福岡市間の輸送では、両都市とも比較的空港へのアクセスが良く、1995年の阪神・淡路大震災後は、しばらく山陽新幹線が不通状態にあったことも重なって航空会社がシェアを伸ばしていた。このためJR西日本は、発足当初から山陽新幹線へのてこ入れを図り、0系を12両に短縮して普通車座席の横2列+2列化など車内を改良し、新大阪駅 - 博多駅間を最速2時間59分(途中岡山駅・広島駅・小倉駅に停車)、平均3時間10分足らずで結ぶ「ウエストひかり」を投入し、沿線主要都市間を結ぶ速達列車を増発した。しかし、「のぞみ」の山陽新幹線直通運転開始後は、「のぞみ」を待避する必要があるため、所要時間が3時間10 - 30分程度にまで延びていた。このように車両性能の限界から速度向上が望めない0系を使い続けることには限界があり、また運行コストの削減も急務であった。そこで当時最新の700系を投入して抜本的な改善を図るため、2000年3月11日から「ひかりレールスター」が運転を開始した。「ひかりレールスター」という列車名は、走行する姿を「レール上を駆け抜ける流星の様なイメージ」で表現したことが由来である。また、当時は「インテリジェント・サルーン」という呼び名があった。従来の「ひかり」や「のぞみ」とは別の扱いを受けている。企画・開発にあたってはマーケティングリサーチをもとにして行われた。その結果、利用者の大きな支持を得ることができ、京阪神 - 福岡間において航空からシェアを奪還することに成功した。「顧客志向」へのJRの脱皮が実を結んだ例である。2011年3月の九州新幹線鹿児島ルート全線開業に合わせて運転が開始された直通列車は別途「さくら」の愛称が付与され、停車パターンは「ひかりレールスター」を踏襲する形で運行を開始。これに伴って「ひかりレールスター」は「さくら」に置き換えられる形で本数が半減された。その後もN700系(S編成8両)の増備が進むにつれて「ひかりレールスター」の愛称が付与されない「ひかり」への置き換えが進み、この「ひかり」も2012年3月17日のダイヤ改正ではN700系(S編成8両)の増備完了に伴う「さくら」の増発によって同列車に置き換えられることとなった。2013年3月16日現在、山陽新幹線区間で完結する「ひかり」の定期列車は下り2本、上り3本を残すのみとなり、そのうち「ひかりレールスター」は夜間の下り1本と午前中の上り列車2本まで縮小された。2016年現在「ひかりレールスター」として運行される列車は全て通過駅が少なく新大阪駅 - 博多駅を3時間半以上かけて走行するタイプであり、博多駅発岡山駅行きに至っては新下関駅と厚狭駅の2駅しか通過しない。なお、臨時列車などでは山陽新幹線内完結の「ひかり(レールスター)」も引き続き運転されている。2013年3月16日現在、山陽新幹線区間のみで完結する定期「ひかり」は下り2本、上り3本で、うち博多駅→岡山駅上り列車1本及び博多駅 - 新大阪駅の1往復が「レールスター」として運転されている。本項では便宜的にこの5本をまとめて記載する。停車駅での案内放送や車内放送は、「ひかり○○○号 レールスター」と案内される。JR東海が管理する新大阪駅では「ひかり○○○号」と、「レールスター」とアナウンスされないが、発車標には「レールスター」の表示がある。市販の時刻表では「ひかりレールスター。8両編成(グリーン車マーク)なし」(交通新聞社版)、「〔ひかりレールスター〕で運転」(JTBパブリッシング版)という注釈が記載される。ながらく毎時1 - 2本の運行であったが、九州新幹線全線開業にあわせた2011年3月のダイヤ改正で、半数以上を九州新幹線直通列車の「さくら」(N700系7000・8000番台)に差し替えたため、本数は従前よりほぼ半減し、毎時1本程度運転となった。その後N700系S編成の増備が進んだことから、ダイヤ改正を待たずに順次N700系S編成に置き換えられ、同年12月1日以降の700系E編成での「ひかり」運用は2往復にまで減少、2012年3月17日のダイヤ改正で現行の上り1本のみの運転となった。なお、かつては「ひかりレールスター」と「さくら」は通しの列車号数を使用していたが(列車番号は「ひかりレールスター」が号数+2000で区別されている)、2012年のダイヤ改正より「ひかりレールスター」が使用していた540 - 580号台は「さくら」専用の号数となり、「ひかり(レールスター)」は新たに440 - 443号台の号数が付与されることとなった。かつて新大阪駅では、大半の列車が南端にある20番線に発着していた。そのため東海道方面への乗り換えは同じホームで乗り換えが可能な新神戸駅、岡山駅を推奨されることが多かった。また博多駅でも大半の列車は13・14番のりば(2010年より15・16番のりばに改称)から発車し、ホーム上には「ひかりRail Star(ロゴマーク)のりば」と車体のカラーリングをあしらった電照看板が設置されていた。そのほかの停車駅にも「Rail Star(ロゴマーク)停車位置」と、ダークグレーとサニーイエローの帯を配した乗車目標が記されていた(新大阪駅では単に700系8両とのみ表示)。2011年3月以降はN700系8両編成と共用の乗車目標となっている。700系7000番台(E編成)が使用されている。E編成は東海旅客鉄道(JR東海)所有のC編成およびJR西日本所有のB編成と仕様が大きく異なる点が多数存在するため、山陽新幹線内限定運用として区別されている。車両自体は行先表示器などには東海道新幹線内の駅名表示も準備するなどして走行可能であるが、JR東海側が16両貫通編成以外の旅客営業運転での入線を認めない方針から鳥飼車両基地への回送以外での入線実績はない。700系E編成を充当する「こだま」が新大阪駅 - 博多駅間に1日4往復、新大阪駅 - 広島駅間に1日1往復ほか、1日に下り12本、上り10本の計22本が運行されている。元々は間合い運用的に少数のみ運行されていたが、「さくら」の増発による「ひかりレールスター」の減便に伴い、運用に余力が発生した700系7000番台を「こだま」への運用に振り向けることとなったもので、押し出される形で「こだま」で運用していた100系を運用から離脱させ、ダイヤ改正時点で4両編成(P編成)の運用が終了した。現在700系E編成の定期「ひかり」運用は1日3本に留まり、大半が「こだま」および博多南線で運用されている。また、東海道区間で異常気象などにより大幅な遅れが見込まれるときは、東海道新幹線からの直通列車を新大阪で打ち切り、これに接続する「のぞみ」号が運行されることがあり、こののぞみ号に充当されることがある。逆に7000番台E編成の故障や車両検査の際は700系B編成(3000番台)500系V編成がそれぞれ代用運転されることがある700系E編成が「こだま」で運用される場合、当初は指定席は8号車のみの設定であり、4 - 7号車の「サルーンシート」は自由席だった。2012年3月17日のダイヤ改正より、指定席が8号車から5・6号車に変更されたことで8号車が自由席になった。さらに、2014年3月15日ダイヤ改正より、4号車も一部の列車を除き指定席となった。このため「こだま」では8号車コンパートメント席部分は灯りが消されている。コンパートメント席の扉の開閉はできるが利用はできない。また、全般検査を施行する際に、順次外側から施錠できるように改造されており、改造済みの編成ではこだま運用時は施錠される。そのため夜間走行時は車両内後部は薄暗くなっている。乗降の扉は従来通り開閉されているのでコンパートメント席付近の通路の通行は可能である。。博多南線運用でも同様の措置をとっているが、かつては8号車のコンパートメントも自由席として利用できた。また「サイレンスカー」の設定は当初から行われていない。E編成は8両編成であることから、最繁忙期には16両編成の500系W編成などが代用運転されることがあった。台車は500系と同一品を装着し、これは後に登場した16両のB編成も踏襲している。東海車C編成用の台車と歯車比(C編成2.96に対しE編成2.79)が異なるため、制御装置の特性を変更して起動加速性能を合わせている。700系の動力性能により、最高速度はB編成・C編成運用の「のぞみ」と同一の285km/hで、かつ途中停車駅での後続列車の待避は一部を除き原則行われていない。新大阪駅 - 博多駅間の標準所要時間は2時間45分で「のぞみ」と比べて6 - 22分の差でしかなかった。そのため、「さくら」が登場する前の山陽新幹線の指定席利用者は、座席の快適性や指定席特急料金が「のぞみ」よりも安かったこともあって「レールスター」を指名する客が多く、「レールスター」の指定席は常に満席に近い状態で、「のぞみ」よりも先に売り切れることもあった。走行速度が285km/hに達すると、車内案内表示器に「Rail Star(ロゴマーク) ただいまの速度は285km/hです。We are now travelling at 285km/h.」と表示される。なお、500系では300km/hで表示されたが、N700系では表示しない。従来までの東海道・山陽新幹線車両に採用されてきた白地の青帯ではなく、500系に類似した、グレー地にダークグレーとサニーイエローの帯をサイドに配したカラーリングとなった。また、「ひかりレールスター」ロゴが1・3・5号車のトイレ区画と7・8号車のデッキ区画、運転席脇に表記されている。8両編成で、全車両が普通車となっている。このため0系「ウエストひかり」12両編成と比較すると専務車掌の数を半減することができた。1 - 3号車の自由席車は700系B編成普通車座席とほぼ同等設計であり、座席は他の新幹線車両と同一の横3列+2列の5アブレストとなっている。シートモケットは深緑色を採用している。4 - 8号車の指定席車の座席は0系「ウエストひかり」編成を踏襲した横2列+2列の4アブレストであり、座席幅のみならず、隣席間の肘掛がゆったりしたグリーン車並のものであることが人気をよんだ。グリーン席との主な差異はシートピッチが他の普通車と同じ1,040mm(グリーン車は1,160mm)であるのと、フットレスト、読書灯、FMラジオが装備されていない程度である。JR西日本ではこれを「サルーンシート」と呼称している。シートモケットは青色。またC、B編成グリーン車同様の暖色系の蛍光灯を使用した半間接照明を採用している。これにちなんで運行開始直後の2001年冬季のキャッチコピーは、「冬は、ホットレールスター」というものであった。また、大人2名が小児を連れて8号車の隣同士の2席を確保した場合、肘掛に取り付けて小児を座らせる「チャイルドクッション」と呼ばれる簡易椅子の貸し出しも無料で行われていた。2003年10月1日から10月14日まで上下各5本で「チャイルドクッション」の無料貸し出しが試行され、その後本格導入されたが2011年3月11日をもって終了している。従来は6号車が喫煙席であったが、2012年3月17日のダイヤ改正で6号車も禁煙車に変更され、700系E編成は全車禁煙となった。2004年7月までは5号車も、2011年3月11日までは2号車も喫煙席であった。また、喫煙車両のデッキに設置されていた灰皿は、2007年1月末までに撤去された。3・7号車デッキには清涼飲料水の自動販売機が設置されていたが、2012年3月17日でサービスを終了した。このほかにも、「旅指南」と呼ばれるタッチパネル式時刻表検索機(プリントアウトも可能)が設置されていたが、2008年3月14日をもってサービスを終了した。16両編成の車両や九州新幹線直通用N700系(後者はグリーン車のみ)で行われている、FMラジオでのミュージックサービスはE編成では行われていない。これはグリーン車がないほかの山陽新幹線専用車両である100系・500系V編成も同様である。4 - 8号車の進行方向最前列の座席に設定されている(一部のぞく)。デッキとの間を仕切る壁に大型テーブルとコンセントを備えており、ノートパソコンなどが使用しやすくなっている。特急券は基本的に通常の指定席とは別枠で発売されている。なお、オフィスシートはその後に製造されたほかの700系編成にもフィードバックされ、2001年(平成13年)度以降に製造されたすべての700系編成(C編成はC25編成から、B編成は全編成)に採用されている。8号車の新大阪寄りに、簡易仕切り壁を設けた4人用個室が4室ある。コンセントは1室に1か所で、消灯できる天井灯とテーブル灯が設置されている。3人もしくは4人ならば人数分の運賃・指定席特急料金で利用することができ、2人でもグリーン車並みの料金で利用できる。フルムーンパス(2名での利用が可)など一部のものを除いて、特別企画乗車券(トクトクきっぷ)の類は使えない。また、エクスプレス予約やe5489サービスによる座席指定はできない。ただし、JR西日本の電話予約サービスでは、J-WEST会員・非会員共に指定ができる。さらに、J-WEST会員向けのネット割引特急券である「eきっぷ」(エクスプレス予約の「e特急券」を除く)から、この個室へのみどりの窓口での乗車変更は、その乗変条件である「同一設備」とみなされるため、「同一日・同一区間・同一経路」の「eきっぷ」をネット(e5489)で3~4名分購入後、窓口や券売機で全員分を発券し、窓口で乗変すれば割安な「eきっぷ」料金で利用できる。また、乗降客の少ない「ひかりレールスター」以外での運転の場合は、防犯上の観点からコンパートメントは「業務用室」扱いとなり、使用禁止となる。1999年10月2日から「ひかり」359号・365号・354号・362号で、静かな車内環境の創出を目的とした「サイレンスカー」の試行が行われ、この結果好評だったため、「ひかりレールスター」では4号車に本格設定された。始発駅発車前と終着駅到着直前、および災害や事故発生など異常時を除いて車内放送が流れないほか(通常の乗車列車名、次駅名は、車内案内表示器で確認可能)、車内販売の声かけも行われない。また車内検札に関してもサイレンスカーにおいては座席後ろに設置の「チケットホルダー」にあらかじめ乗客が特急券を差し込んでおくことで車掌の声かけを省略させるというものであった。そして乗客にも車内静粛への協力をよびかける文がテーブル裏などに記載されており、車内での携帯電話使用マナーが問題となっていた当時、エクスプレス予約やe5489plusなどで通常の指定席とは別枠で発売されていたが、この車両が自由席である場合や、最繁忙期には設定されなかった。その後「チケットホルダー」はJR西日本の山陽新幹線専用車両や在来線特急車両(これらは座席枕カバーの後部に縫いつけ)に採用されたものの、先に「セントラルライナー」で採用していたJR東海や東海道新幹線に乗り入れるJR西日本の新幹線車両では「乗車券類の紛失につながる」として採用にはいたらなかった。また、山陽新幹線では2005年より順次自動改札機を導入し、結果「のぞみ」には採用されず、九州新幹線直通「みずほ」「さくら」にも受け継がれることもなく2011年3月11日をもって廃止された。以下の特別列車が設定されたことがある。ミレニアムイベントの一つとして、2000年12月31日から2001年1月1日の間に特別に運行された列車である。新幹線では通常運行の行われない午前0時を回って列車が運行された。広島駅 - 博多駅間に1往復が設定され、下り(「ひかり」389号)は広島駅発車と同時に、上り(「ひかり」388号)が新関門トンネルを通過する際に午前0時を回る(すなわち21世紀を迎える)ダイヤ設定がされた。停車駅は下りは徳山駅・小郡駅(現在の新山口駅)・小倉駅、上りが小倉駅・小郡駅であった。2003年の日本シリーズが阪神甲子園球場を本拠とする阪神タイガースと、福岡ドームを本拠とする当時の福岡ダイエーホークス(現在の福岡ソフトバンクホークス)の間で行われることになったことから、日本シリーズを盛り上げようという大阪市と福岡市からの要望を受けて運行された。E1編成の1号車(博多寄り先頭車)にタイガースの、8号車(新大阪寄り先頭車)にホークスのシンボルマークが車体に装飾され、2003年10月15日 - 17日の「ひかり」344号・365号・378号・385号で運用されたほか、臨時列車として、10月18日・19日には「ひかり」389号が、10月21日・22日「ひかり」390号にも運用された。2000年3月11日の営業運転開始前に宣伝用のテレビCMが放映され、楽曲はカーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド」が使用されていた。愛里が出演した家族連れ向けにコンパートメントをアピールしたバージョンと、ビジネスマン向けにサイレンスカー、オフィスシートをアピールしたバージョン(テーブルでノートパソコンを操作するビジネスマン、座席であくびをしながらくつろぐ女性)があった。その後JR西日本のフラッグシップとして、500系に代わってさまざまなCM、ポスターに登場している。2003年にはJRグループの共同CM「日本の旅は、列車です。」に登場し、JR東海代表の700系C編成と「競演」を果たした。
出典:wikipedia
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