スラップ奏法(-そうほう)は、ベースの演奏方法のひとつ。スラッピング(slapping)、チョッパーとも言う。「"Slap"」とは英語で「(平手で)打つ」という意味の動詞である。コントラバスでは主にクラシック音楽以外のジャンルにおいて使用される。いずれの奏法も弦を指板上に叩き付ける事でスネアドラムのリムショットのような音が鳴り、通常の音色(実音)に打楽器的な表現を加える事が出来る。古くは拡声器の無い頃ビッグバンドでベース奏者が大音量を出すために用いたが、後にロカビリー、サイコビリー、ジャイヴ、ウエスタンスウィング、ブルーグラス、カントリー等で多用されるようになる。エレクトリックベースにおいてのスラップ奏法は、親指で弦を叩くようにはじく動作=サムピング(英:"thumping")と、人差し指や中指で弦を引っ張って指板に打ちつける動作=プリング(英:"popping")があり、この二つの動作を組み合わせる事で打楽器のようなパーカッシブな効果が得られる。基本的な弾き方としてはサムピングで低音弦、プリングで高音弦を奏する。誕生以来、主にファンクで聞かれたが、現在では様々な音楽ジャンルの楽曲で使われているようになった。ラリー・グラハムは自身がドラムレスのバンドで低音弦のサムピングをバスドラム、高音弦のプリングをスネアに見立て奏したのが始まりだと語っている(ただし彼はスラップという言葉は用いず「Thumbpin`& pluckin`」と呼ぶ)。しかし、スラップの元祖には異論が多くあり、同時期の音楽シーンで自然発生したのではないかとの見方もある。楽器を腰より上に構えるか(ラリー・グラハム、マーカス・ミラー等、ファンク、フュージョン系に多い)、腰より下に低く構えるか(フリー、TMスティーブンス等、ロック系に多い)で親指の角度と共に奏法が大きく変わる。そのため、低く構えるベーシストの中にも複雑なスラップ奏法の際にはモニタ・スピーカや台に足を乗せ、高く構えた時と同様の高さに持ち上げるベーシスト(ロバート・トゥルージロ等)もいる。日本におけるスラップ奏法の始祖は、ザ・ドリフターズのいかりや長介(後年近田春夫が「それは自分が広めたデマだ」と発言した)、細野晴臣、田中章弘などの名前が俗説として挙げられる。ただし前述した自然発生的な側面や、米軍基地でアメリカ人の演奏を見てスラップ奏法を始めたベーシストも多く、厳密な定義は難しい。その反面、スラップ奏法を日本で著名にした曲は明らかになっており、1975年発表のティン・パン・アレーのアルバム『キャラメル・ママ』に収録された「チョッパーズ・ブギ」(ベースは後藤次利)とされている。日本においてスラップのことを俗に「チョッパー」と呼ぶのはこの曲が起源である。題名における「チョッパー」はヒッピーの別称であったが、当時の日本にはスラップ奏法に特有の呼称が無かったため、「チョッパー奏法」として広まる事になる。また、オートバイのチョッパースタイルという説もある。ほどなく日本の音楽界に広がったフュージョンブームの影響もあり、特定の年齢層はスラップ奏法を「チョッパー」という名称で呼ぶ事が多いが、英語では「Slapping & popping」または「Thumbpin' & pluckin'」と呼ばれるのが一般的。ただし、ラリー・グラハムが自身の教則ビデオ内でスラップなど他の名称と並べ「チョッパー」という呼称も紹介していたことから、英語圏でもこれらの名称が混在して使われていた可能性も否定できない。昨今の一部の教則本などでは「スラップ」と「チョッパー」を別の演奏方法として紹介する場合もあるが、その定義は曖昧である。2014年のTV番組「魁!四弦組合」でハマ・オカモトとKenKenが語ったところでは、親指を弦に打ち付ける時に親指が下を向いているのは「スラップ」上を向いているのは「チョッパー」としていた。この時ハマとkenkenは親指が下を向いているという事でスラップ、ゲストの亀田誠治は上を向いているという事でチョッパーと定義していたが、これも裏付けの無い独自的な解釈である。スラップ奏法は瞬時に高いエネルギーの信号を発生させるため、ロック等で顕著な大音量で弾いた際にスピーカーを故障させたり、真空管を用いたアンプに至ってはアンプその物を故障させる可能性がある。また、スラップ以外の奏法時と音量の落差が激しいのは音楽的にも好ましくない事が多い。そのためスラップ奏法を行う際は右手のコントロールで確実にダイナミクスを調整するか、音量を抑えるリミッター、コンプレッサー等のエフェクターを使用して過大入力を防ぐ事を考慮しなければならない。
出典:wikipedia
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