『機動戦士Vガンダム』(きどうせんしヴィクトリーガンダム、英題: "MOBILE SUIT VICTORY GUNDAM")は、サンライズ制作のテレビアニメであり、『ガンダムシリーズ』の1つ。1993年(平成5年)4月2日から1994年(平成6年)3月25日まで全51話がANN系で毎週金曜日17時00分 - 17時30分に放送された。「Vガンダム」、「Vガン」と略される。平均視聴率は3.92%。ガンダムシリーズのテレビアニメとしては第4作目にあたるテレビシリーズ。SDガンダム世代の小学生に受け入れやすくするため、主人公の年齢は13歳と従来のシリーズから引き下げられ、同じ理由から旧作ガンダムを知らない世代でも理解できるよう、旧作とはほとんど関連を持たない内容になっている。これまでのテレビシリーズでは、物語の出発点がスペースコロニー(宇宙)であったのに対して本作では地球となっているが、これは「ガンダム=宇宙」というイメージを払拭するためである。こうした意図から物語開始から1クール近くにわたってヨーロッパが舞台となっており、主人公達が宇宙に上がるのは15話である。監督の富野由悠季によると、本作はテレビアニメの原点に戻って、楽しいロボットアニメ、かつ当時の子供に流行のRPGを意識し、主人公が中心のシンプルかつマンガチックな作品を目指していたという。物語序盤は明朗活発な主人公ウッソ・エヴィンが幼なじみのシャクティ・カリンや憧れの女性カテジナ・ルースを守るためにガンダムに乗り込み、トリッキーな戦法で敵を打ち負かすというシンプルな活劇としての方向付けがなされていた。しかし物語が進むにつれ、宗教を背景とした民族主義など重いテーマに比重が置かれるようになっていく。序盤に部下をガンダムに殺され、復讐に燃えていた敵の部隊長が、ガンダムのパイロットがまだ子供であることに驚愕し、「子供が戦争をしてると、みんなおかしくなってしまう」と言い残して自決するが、ストーリーが進むにつれ、その言葉の通りに登場人物の多くは戦争という特異な環境にさらされ続けた結果、精神的に追いつめられていき、捕虜にした主人公に拷問と称して手錠をかけたまま二人で入浴し、自分たちの仲間になるように強要する女性や、女性の上司が主人公を惑わすために女性部隊に裸に近い格好でガンダムと生身で戦うように強要するなど、奇怪な行動をとるようになっていく。また、ギロチンで主人公の仲間の首がはねられたり、敵のパイロットが非武装の民間人の虐殺を楽しむような描写や、戦闘の際に機体を破壊するのではなく、コクピットを潰したりビームサーベルで中のパイロットを焼き殺すなどの残酷描写がある。未成年の多くが視聴できる時間帯であるにもかかわらず性的な描写も見られる。元々自身の作品を褒めること自体稀である富野だが、本作については後年のDVDボックスが発売された際、付属のブックレットに掲載された富野のインタビュー記事において「このDVDは、見られたものではないので買ってはいけません!!」と記述している。(『機動戦士Ζガンダム』のDVDにおけるインタビューでも同様のコメントをしている)。尚、これは本文中において「本当にそういうポスターを張り出してみると、このDVDはきっと凄く売れるでしょう」と締めくくられてる。また、Blu-rayボックス発売発表時にも「全否定したいと思っている作品。このような結果になったのは、全て監督(自身)の責任である。何かの間違いでこのBlu-rayを見た人は、何がダメなのかを探してみて欲しい。そこから気付ける人が1人でもいればBlu-rayとして出した意味がある」とコメントしている。一方で、逢坂浩司によるキャラクターデザインは本作の救いだったと語っている。また、本作の結末について『機動戦士Vガンダム大辞典』では「とっても好きなエンディングなんですよ」と語っているが、他方『∀の癒し』では「現実に対する恨みつらみをこめたもので、何より作品として終わらせるというものになっていない」とも語っている。主役機Vガンダムのデザインにはカトキハジメを起用。シンプルなデザインながら、合体変形機構を持つ玩具性の高いものとなった。敵メカニックは宇宙人をコンセプトとしており、ビームローター、MS乗用一輪車、巨大バイク戦艦など、従来とは一線を画す設定が取り入れられた。特徴的なネコ目状のカメラアイは遮光器土偶がモチーフとなっている。音楽は千住明が担当し、本作のサウンドトラックは、アニメとしては当時珍しいフルオーケストラを起用した。スタッフはもちろん作曲家を褒めることもほとんどない富野は、曲の収録風景を見学に行って「幸せだ」と感じたという。千住は「Vガンダムを担当するに当たって、自分のもつ引き出しをすべて出し切るつもりで臨んだ」と語っている。また千住はアルバム「機動戦士Vガンダム〜交響組曲第二番 THOUSAND NESTS」(演奏:ポーランド放送管弦楽団、指揮:アンソニー・イングリス)を自身の代表作として語っている。オリジナルサウンドトラックはCDで3枚が発売されており、千住の手がけたサウンドトラック以外にも、1巻の「野辺の花」の後半パート(前期オープニングテーマ「STAND UP TO THE VICTORY〜トゥ・ザ・ヴィクトリー〜」のアレンジ版、次回予告で使用)や、挿入歌「ひなげしの旅のむこうに」「いくつもの愛をかさねて」などが収録。ただし、上記の「野辺の花」のピアノバージョンなど、未収録曲が10曲ほど存在する。ウッソ役には当時19歳の新人で、本作が声優デビュー作となる阪口大助が抜擢された。また、次作『機動武闘伝Gガンダム』の主人公ドモン・カッシュを演じる関智一がトマーシュ・マサリク役で出演。関は、本作が声優としての本格デビュー作に当たる。このほか各話のゲスト声優にも『新機動戦記ガンダムW』のヒイロ・ユイを演じた緑川光など、後の平成ガンダムシリーズ3部作のメインキャラクターを演じる声優が数多く出演している。アイキャッチはハロとウッソの愛犬フランダースが、回が進むごとに動き出すアニメーション形式が取られている。提供クレジットはリガ・ミリティアのメンバーが集合しているイラストになっている。制作時の仮題は「新機動戦士ビクトリーガンダム」。第1話の絵コンテはこのタイトルになっている。当初は劇場版『機動戦士ガンダムF91』のテレビシリーズ化が予定されていたが、同作の商業的不振により、企画を練り直した本作が制作された。本作はSDガンダムを支持する小学生などの新しいファン層を開拓することによって、当時マニア化、高年齢化していたガンダムファン層の活性化を図る目的があった。しかし難解な内容のため、本来の対象であるはずの小学生からは支持されず、結局旧来のガンダムファンがファンの中心となり、関連商品の購買層も高齢化した。本作のビデオソフトの当時のアンケートによると当時の購買層は20歳代前半の男性で、ちょうど中学生の頃に『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』を見ていた世代に当たるという。本作が放映された1993年はリアルガンダムのプラモの売上が倍増しており、落ち込み気味だったSDガンダムの不振を補い、バンダイ模型部門の売上を伸ばした。しかし販売個数としては1000万に満たず、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が公開された1988年と同程度に留まり、さらに本来取り込みを狙っていた小学生層の支持獲得にも失敗した。特に後者が大きな要因となり、次作として企画されていた「ポルカガンダム」は製作中止。結果としてそれまでの宇宙世紀シリーズとは全く異なる新シリーズである『機動武闘伝Gガンダム』への制作に繋がっていくことになる。なお本作はサンライズとしては赤字だったものの、LDの好調により制作費を回収することができた。『アニメージュ』1994年5月号においてバンダイビジュアルの高梨実は、本作はVTR・LD合わせて各巻平均1万5千本を販売したとコメントしている。高梨はTVアニメシリーズをソフト化した場合、通常は各巻平均約4千本ぐらいであり、それらに比べ本作の売り上げはかなりいいと述べている。なお当時バンダイがサンライズ買収を予定しており、サンライズ上層部は主力作品であるガンダムの人気を再燃させることで、より有利に買収を行わせようと意図していた。富野はこの事実を知らずに製作に入ったと後年述べており、そのことについて今でも当時のサンライズ上層部からの謝罪が無く許せないとも語っている。宇宙世紀0153年、地球圏を統治している地球連邦政府は形骸化し、宇宙に存在する各サイドは連邦政府の統制を離れた独自の道を歩み始め、各地で紛争が勃発する「宇宙戦国時代」に突入していた。そのなかでもサイド2に存在するザンスカール帝国はギロチンによる恐怖政治と、救済と慰謝を基調とするマリア主義を掲げて急激に民衆の支持を獲得し、地球に向けてベスパと呼ばれる帝国軍を派遣した。ベスパはヨーロッパの都市 ラゲーンを制圧下に置いた後、地球侵攻のための拠点とする。また、ザンスカール帝国への抵抗活動を続けている組織 リガ・ミリティアの構成員たちも、それに対抗してヨーロッパで散発的な抵抗を始めた。こうした中、ヨーロッパの都市 ウーイッグ近くに存在するカサレリア近辺にてパラグライダーを操っていた主人公の少年 ウッソ・エヴィンはベスパのMS(モビルスーツ) シャッコーと、リガ・ミリティア所属のマーベット・フィンガーハットが操縦する小型戦闘機との戦闘に巻き込まれ、シャッコーに引っかかり取り付いたあげく、ベスパのエースパイロットのクロノクル・アシャーを引き摺り落としてMSを奪って操縦する。この活躍を目の当たりにしたリガ・ミリティアの面々は、自分たちの反攻のシンボルとして作り上げた「ヴィクトリーガンダム」のパイロットとしてウッソを迎え入れる。ウッソはカサレリアの仲間たち、そして幼馴染のシャクティ・カリンを守るためにリガ・ミリティアに参加するが、戦いは熾烈さを増し、オイ・ニュング伯爵のギロチン刑や、ガンイージを駆る女性部隊・シュラク隊のメンバーが次々と戦死していく様など、生々しい戦場の現実を見せつけられる。そしてオデロ・ヘンリークをはじめとする友人たちも、戦いの激化とともにMSパイロットや後方支援要員として戦いに身を投じる。一方、MSを奪われたクロノクルはウッソをライバル視し、執拗に狙い続ける。そして、戦場となったカサレリアで、ウッソが憧れている女性であるカテジナ・ルースを誘拐。当初は反抗的だったカテジナだったが、子供まで平気で戦場に狩りだすリガ・ミリティアに嫌悪感を抱いていたことや、ザンスカールの理想に共感したこともあって、自ら志願してザンスカール軍に入隊。超人的なスピードで軍人としてのスキルを上達させ、女王マリア・ピァ・アーモニアの親衛隊にまで上り詰めた。こうしてウッソは初恋の人を敵に回しただけでなく、ファラ・グリフォンやルペ・シノといった敵の女性達からも狂気じみた敵意や愛情をぶつけられることになる。終盤になり、ウッソは、シャクティがマリアの実子であり、ザンスカールの最終兵器「エンジェル・ハイロゥ」を起動させるキーとなっていることや、両親がリガ・ミリティアの幹部で、自身をいずれその戦力とさせるべく育てたことなどを知る。過酷な現実、多くの大人や仲間の死を乗り越えつつ、ウッソはニュータイプとして覚醒し、狂気に取り憑かれたカテジナと彼女を戦争に巻き込んだクロノクルとの決着を付けるため、そしてシャクティと共に日常へと戻るために最終決戦に挑む。モビルスーツやモビルアーマーなど機動兵器に分類されるものはそれ以外のものについてはもともとの構成ではVガンダムが初登場するのは第4話を予定していたが、第1話から主役MSが登場しないことにスポンサーが難色を示したため、Vガンダム初登場の回(元々の第4話)を第1話として、第2話から第4話はそれ以前の話(元々の第1話~第3話)をシャクティが回想するという構成になった。※朝日放送やチューリップテレビを除く遅れネット局のうち、青森朝日放送・新潟テレビ21・長野朝日放送は木曜17:00 - 17:30に、秋田朝日放送・山形テレビは金曜16:30 - 17:00に、東日本放送は水曜17:00 - 17:30に、福島放送は木曜16:30 - 17:00に、琉球放送では金曜16:00 - 16:30にそれぞれ放送された。放送終了後の1994年9月24日にVHS、10月21日にLDが発売。また、音声がモノラルからステレオに変更されている。VTR・LD合わせて各巻平均1万5千本を販売した。2004年1月23日に全話を収録したDVDが発売された。2010年9月24日に初回限定生産で価格を下げた『G-SELECTION 機動戦士Vガンダム DVD-BOX』が発売された。2015年にはBlu-rayボックスが発売。ボックス1(第1話から第26話まで収録)は7月24日に、ボックス2(第27話から最終話まで収録)は9月25日にリリースされた。VHS最終巻及びDVDボックスには映像特典としてアイキャッチを全て繋げた『アイキャッチャーの実態』が収録されている。富野由悠季により著述された全5巻の小説が角川スニーカー文庫より刊行されている。アニメ版と大まかな設定は一緒だがストーリーは異なる部分が多く、性的なシーンやセリフが多数見られるのが特徴である。一例としては、カテジナがザンスカールの科学者から強化は受けるものの、精神が比較的安定しており、TV版の狂気が鳴りを潜めている。代わりにファラの出番が大幅に増え、ウッソと互いに恋愛感情に近い台詞を話すなど、カテジナからヒロインの役割を奪い気味である。ラストに、エンジェルハイロゥが暴走して戦場の全てのMSと戦艦を取り込もうとするなど、TV版とは異なる結末である。こちらにはV2ガンダムが登場せず、それに相当するものとしてVガンダムのミノフスキードライブ装着タイプであるセカンドVが登場している。また、『機動戦士ガンダムF91』の殺人機械バグが登場する。雑誌『コミックボンボン』掲載された岩村俊哉作画の作品。アニメでのシリアスな雰囲気は極力排除されており、ギャグやスーパーロボット的なアクション展開、型破りな行動を取るウッソや他のキャラクター(性格がかなり異なった者もいる)など、読者年齢層に沿った内容に変更されている。その一方、ウッソを守って死んでしまうオデロの言葉や、ウッソと父ハンゲルグの親子の絆など、アニメ本編には無い場面も存在する。具体的な違いとして以下のものがある。『月刊少年エース』の前身である『少年キッズ』に掲載された長谷川裕一のサンライズ公認スピンオフ作品。本作で、ウッソは「木星じいさん」ことグレイ・ストークと名乗る老人と遭遇する。ジオングに似た金色のMSが敵として登場し、外伝のオリジナルキャラクターのヒロインが青いV2ガンダムに搭乗する。なお、雑誌掲載時のタイトルは『機動戦士Vガンダム外伝 脱出計画編』であったが、単行本化の際には『機動戦士Vガンダム外伝』(1995年)、『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス』(2012年)にそれぞれ改題されている。雑誌『MS SAGA』に掲載されたことぶきつかさの作品。原作のエピソードをパロディにしたギャグ仕立てとなっている。『スーパーロボット大戦シリーズ』を筆頭に本作が登場するゲーム作品は無数にあるため、ここでは本作を題材に単独商品化された作品のみ記述する。1994年3月11日にスーパーファミコンでバンダイより8,800円で発売された。1/144、1/100、1/60の3スケールで展開、モビルスーツが小型化されて初の1/144サイズモデルである。1/144では、Vフレームという独自の内部構造を採用し、初心者でも大変作りやすいモデルとなっている。また、同スケールでZガンダム以来久々となる武器セットが発売され、HQ(ハイ・クオリティー)という独自のグレードも一部見られる(V2バスターガンダムとゾリディアの2種のみ)。ガンプラでは珍しく台座(後のアクションベース)が付属しており、可動範囲の広さも相まって、躍動感あふれるポージングで飾ることが出来る。1/100はHG(ハイグレード)モデルとして数種展開しているが、本編では同時装着で登場したアサルト及びバスターユニットは分割装着した状態でそれぞれ発売されている。1/60はHGExと銘打たれているが、V2ガンダムのみというラインナップ。また、MSinPocket(モビルスーツインポケット)という1/144サイズの完成品も発売され、1/144、1/100ともに未キット化のゾロがクロノクル専用機の赤とともに商品化されている。ヴィクトリーガンダムとV2ガンダムは長らく完全変形するキットが無かったが、2009年12月には1/100マスターグレードで完全変形するヴィクトリーガンダムVer.Ka。翌年の7月ではコア・ブースターVer.Kaが発売され、この2機を組み合わせる事でVダッシュガンダムも再現出来るようになっている。またHGにおいても2013年から2015年にかけてヴィクトリー・Vダッシュ・v2・v2アサルトバスターがHGUC名義で発売され、プレミアムバンダイではv2ガンダム用の光の翼(ピンクと青の2枚セット)が販売された。全日本模型ホビーショー2015にてv2ガンダムVer.Kaが2015年12月に発売される事が発表された。同年11月のイベントで変形機構が公開され、専用の光の翼もプレミアムバンダイで販売される予定である。v2ガンダムの追加装備であるアサルト・バスターも今後開発を進めるとの事。テレビ放送を記念して三井グリーンランドで行われたイベント。三井グリーンランド決戦!VガンダムVSボーリアンのタイトルで行われた。内容は巨大Vガンダムを除いてはオリジナルストーリーでVガンダムと敵ロボットのボーリアンが戦うこととなっている。この時に製作されたVガンダムは10m前後で実際の設定よりも小さい。当時のグリーンランドの広報担当によれば、わざとガンダムが見えるようにトレーラー輸送で日本縦断し、口コミによる宣伝効果を狙った広報活動も行われていた。敵役のボーリアンはアメリカのスタジアムショー用のメカをレンタルした物。
出典:wikipedia
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